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#ご本人様には関係ありません
柔太郎が泣きそうな顔をしたあの日から数日。
やっぱり俺たちの関係は何も変わらず。
俺は相変わらずあいつに会えば苦しいくせにどこか嬉しくて、『早くこいつを諦められたらどんなに楽なんだろう』と考える日々で。
バラエティー番組の収録とかになると、やたらと【さのじん】アピールをしようとするこいつに、『人の気も知らないで…』と悪態をつく。
そんな俺たちのやりとりを見ながら「やっぱ好きだねぇ~」と囃し立てる柔太郎はどんな気持ちなんだろうか。
俺が柔太郎の立場だったら、今の俺よりもしんどいんじゃないだろうか。
最近柔太郎の目の下にメイクでギリ隠せるか隠せないかくらいのクマができているのも気になっているところなのだが、仕事が忙しくて寝れていないだけかもしれないのに、『俺のことで悩んでる?』なんて無粋なことは聞けない。
ーーーーーーーーーー
マネ「今日のスケジュールなんですけど、YouTubeの撮影をする予定だったんですが…ちょっと山中くんが体調不良でお休みになりましたので、佐野さんはこの後ドラマの撮影、塩崎さん、曽野くんはバラエティ番組の撮影に行きます。吉田さんはもともとこの動画撮影以外はオフになっていましたので、個人の練習とか打ち合わせなどがあれば入れますがどうされますか?」
マネージャーさんから告げられた柔太郎の体調不良。
他のメンバーも「柔太郎、大丈夫かな」「珍しいなぁ~。収録終わったらなんか持って行こか?」「いや、体調悪いんやったら俺らが行って逆に気ぃ遣わせてもやない?」と滅多にない柔太郎の体調不良を心配している。
あの目の下のクマから察するに寝不足だろうか。
いや、柔太郎のことだから寝不足を理由に休むことはないだろう。
それこそ「俺よりもスタッフさんのほうが大変だし、勇ちゃんはもっと寝る時間がない中でいろんなことやってるんだから俺だけが甘えるなんてできない」って日頃から言ってるし。
……。
マネ「吉田さん?どうされますか?このままオフにされても全然大丈夫ですよ」
仁『…すみません。このままオフにしてもらいたいのと、ちょっとお願いがあるんですけど…』
そんなこんなで俺は今、柔太郎の住んでいるマンションに来ている。
『体調悪い時に俺が行くともっとしんどくなるか?』とかも考えなくはなかったが、料理が下手な柔太郎がおかゆとかを作って食べるとかも考えられないし、何なら冷蔵庫に食材どころか水分が入っているかも危うい。
いろんなことを天秤にかけた結果、『柔太郎に最低限の栄養補給をさせる』ということを優先することにした。
マンションのエントランス。
少し緊張しながらマネージャーさんに教えてもらった柔太郎の部屋の番号を押す。
しばらく応答がなかったため、もう一回番号を押すと、
柔「…え…?仁ちゃん…?どした…?」
いつもより掠れた小さな声で戸惑っているような柔太郎の声が聞こえた。
仁『…マネージャーさんから「山中くんが体調不良です」って聞いて…お前ほっといたらご飯とか平気で抜きそうだし、薬も飲まなさそうだから、とりあえずの食料と水分、あと薬持ってきた』
俺がそう告げると「えー…あー…」と未だ困惑した様子の柔太郎。
やっぱり困らせたか。
仁『…俺が来て困らせたならごめん。嫌だったら荷物だけ置いて帰るから…』
柔「嫌じゃない!…嫌じゃないんだけど、っ…」
仁『…無理はしなくていいよ。ごめん、急に押しかけて』
柔「違うんだって…!…今ロック開けるから。
俺の部屋の番号知ってるんだよね?何階かもわかってる?」
仁『わかってるよ。…ほんとに大丈夫?無理してない?』
柔「…無理はしてないよ。待ってるね」
その言葉とともにオートロックの扉が開く。
教えてもらった階までエレベーターで上がり、目当ての部屋まで足を進める。
インターフォンを押す手がわずかに震えているのに気付かないふりをして控えめに1回押す。
ーガチャ
少しだけ開かれた扉の向こうから顔を覗かせた柔太郎は、すっぴんだったこともあってクマが色濃く目の下を占領していて、明らかに体調が悪いことを物語っている。
柔「…ごめんね、ちょっと見た目ひどいし、部屋もひどいことになってるけど、よかったら上がって」
熱もあるのか少しだけ赤みを帯びた柔太郎の顔。
俺とは違って二重のくせに切れ長の目はわずかに潤んでいて、苦しそうで。
仁『いや、それは全然大丈夫なんだけど…ほんとに俺が中に上がって大丈夫?かなりしんどいでしょ?』
体調が悪い柔太郎に、俺にまで気を遣わせたくなくてそう尋ねた。
柔「…しんどいからこそ、仁ちゃんにそばにいてほしい。…今日だけでいいから、甘えてもいい?」
俺の左頬に添えられた柔太郎の手は熱によっていつもより熱くて。
拒むこともできた。
でも、
この時の俺にはあいつのことなんて頭になくて、
目の前にいるこいつの力になりたくて、
甘えさせてあげたくて、
仁『…いいよ』
左頬に添えられた手に、自分の手を重ねる。
少しだけ息を詰まらせた柔太郎は先程までの潤んでいた目に僅かに欲情の色をのせて、
重ねた手を強く握りなおして、
柔「…リビング、いこ」
俺を中へと招き入れた。
ーバタン
後ろから聞こえた扉の音がやけに耳に響いた
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