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あ、これ夢だ。
そう実感する夢は1度もなかったけれど何故かそう感じ取れた。
いつものベットの心地で、よく見る天井、よく聞く目覚まし時計、何も変わらない風景だけど夢だった。
ゆっくりと上半身を起こしてベットから出て、軽くトントンとジャンプをしてみた。感触はほほ現実と言っていいほどに忠実であり、息、心音、瞬き、夢ではありえない仕草があった。
洗面台で鏡を見てみると映らなかった。というより反射していないのである。ちょっと光沢している金属みたいな置物に変わってしまっていた。
自分のスマホ画面を見てみたらどこもおかしな所はなく、休日の土曜日、とても普通だった。
スマホを立ったまま見ていたらお腹がグゥと鳴ってしまったので朝食を食べようとしたが、ふと思った。夢なのにお腹が減る?
試しに食パンに私の好きなイチゴジャムを付けて食べてみたところ、味がする、腹が満たされる、おいしい。
感覚が次々と目覚めていき、気づいた時には食パンを完食。
「夢なの…?」
私はそう疑問になり外の状態を確認しに行った。
AIみたいに場面が急に変わったり登場人物がとつぜん増えたり減ったりなどそういうことが起きるかもしれないということを願ってマンションから近い公園へ歩いていった。
公園には子供と親御さんらしき人達が居た。
特に要件とかは無いので声をかけて質問したりするという他人から見れば変人な行動はしたくないので公園の周りをぐるっと一周して様子を伺っているとおかしな点がひとつあった。奇妙にも、全員が笑っている。それもおたふくみたいな薄気味悪いほどに。
「お、沙知じゃん、ここで何してんの?」
恐怖で心を包まれていた時、突然声をかけてきたものだから
「ピャ…」
とか変な声を出してしまった。
声で誰か分かるけど突然声をかけられたら誰でもこんな風になるであろう。
「ひかり…脅かさな…」
そう言って安心できるようにひかりの顔を見ようとしたらひかりも薄気味悪く笑っていた。
私の驚いた声に笑ったのかは知らないけど、ひかりはこんな笑い顔なんてしないはずだった。
「誰…?」
思わずそう言ってしまった。
「え?突然どうしたんだよ?オレに決まってんじゃん。同僚のひかりだって。
それになんだよ、ピャwってw」
こういういじってくるタイプはひかりそっくりだけど顔が全てを否定する。
「あ..あぁ、ごめんちょっと焦ってて…
なんだか幻覚とか、夢..?みたいなの見てるのかも…」
「え?どゆこと?」
「ご..ごめん!また話は後で!!」
この薄気味悪い顔を見ているとなんだかこちらの気分が悪くなってくる。早くこの夢から覚めたい。逃げ走っているうちに段々足が遅くなってきている気がする。急に奥行が激しくなって何もかもが小さくなってるように見えてくる…
いつの間にか私は駅に居た。
急に場所が変わったのかもしれない、あまりよく見てなかったから分からなかったけどこれは夢のせいなのだろうか。
気分が悪くなってきているせいで立つのが辛くなってきた。
フラフラとよろめいて四つん這いになり、軽石のようなものを触っているような気がする。
もしかしたら線路に落ちてしまったのかもしれないと思い、戻ろうと無理やり立ち上がろうとした。
ふと首を上に傾けると大勢の人達がこちらを覗いていた。全員が薄気味悪い顔でスマホを画面に構えて見る人もいればずっとこちらだけを見ている人もいる。
駅内がざわつき始めてきた。
多分私が線路上にいるからだろうと思い早く、早くここから出ないと…と思ったのも束の間、
線路の向こう側から音が聞こえてきた。
まずい、まずい、ヤバい、焦りが私の手と足を狂わせ、やっと立てたというのに、その場で転けてしまった。
誰か手を伸ばしてほしいと、私が手を伸ばした。
何も手に感触は無く、ただ無を掴んでいる。
もう一度上を見上げてみると、哀れみなのか喜びなのかよく分からない顔が何人も何百人も居た。
その後の私自身はしらない。
ただただ、嫌な走馬灯であっただけである。