ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。今はまさに夏真っ盛りとなりました。暑いです。私も公務以外ではワンピースで過ごしています。けど、暑いです。
買い物に行って二ヶ月が過ぎましたが、あの頃からベルが変です。休暇で出掛けるようになりました。いや、別に休暇の過ごし方に口を挟むつもりはありません。でもこれまでは農園で鍛練をしたりルイをしごいたりして過ごしていましたので、ちょっと気になります。
いや、ベルは大人です。或いは恋人が居るのかもしれません。だとするなら察することが出来なかった自分が恨めしい。もっと休暇を増やした方が良いのかな。セレスティンに相談してみましょう。
さて『暁』も大きくなりましたし、更なる福利厚生の向上を目指さねばなりません。今の待遇でも充分に満足してくれていますが、働きには報いねばなりません。安心してはいけないのです。日々改善が必要なのです。
で、何をしようかと言えば身体を清める方法を取り入れてみようかと。
帝国では水浴びや温めたタオルで身体を洗うのが一般的です。私も小さい頃からそれは変わりません。
そこに手を加えたい。参考にしたのは、愛読書帝国の未来。先ずは身体を清める薬品?である石鹸と呼ばれるものの開発です。方法は記されていますし、案外簡単に作ることが出来ました。それで、取り敢えず私が使ってみました。
うん、泡が凄い……ふぅ、さっぱりしました。気持ちよかった。
本によれば、これでバイ菌?なるものを駆逐できて清潔になるとか?よく分かりませんが、気持ち良かったので量産してみんなで使いましょうか。好評なら売り出してみても良いかな。
次です。東方の書に曰く、彼方では温かいお湯に浸かり身を清めるのだとか。水浴びではなくお湯。どんなものか分かりませんが、取り敢えず試してみましょうか。
さて、お湯を貯めるために人が入れるだけの大きな入れ物を作る必要があります。んー、取り敢えず木で作ってみますか。形は長方形、木の板と釘を用意して簡単に作ってみましょう。トントントン。ハンマーの音が心地良い。
「またなにか作ってんな、シャーリィ」
ルイが来ました。
「お風呂を作ります」
「お風呂?水浴びの事か?」
「とにかく手伝ってください」
「あいよ」
トントントン。二人でやると簡単ですね、共同作業です。
「お前力無いなぁ」
「女性なので男性に腕力で劣るのは当たり前です」
「いや、それにしても弱すぎだぞ」
「ルイが力持ちなら問題ありません」
「お、おう」
何故か頬を赤らめました。不思議です。そうこうしている内に長方形の浴槽?なるものが出来ました。これなら人が入れるはず。
「なんだこれ、デカい棺桶か?誰か殺るのか?」
「違います」
発想が凶悪なのはご愛嬌。さて、ルイが来てくれたので手間が省けました。今度は魔石の出番です。
二年前に手に入れてルイにプレゼントした水の魔石。大きいだけあって容量も多く二年間ルイと色々試しましたがマーサさんに魔力充填をお願いしたのは一回だけ。長持ちです。
で、この魔石。水を自在に産み出すのですが、温度も自由自在であることが分かっています。水不足とは無縁ですね。
「ルイ、これにお湯を貯めてください。火傷しない、触っても悲鳴を上げない程度の温度で」
「いきなり難しいな!?シャーリィも確認してくれよ?」
「当たり前です。ルイに任せたら大変なことになりそうなので」
「おう、頼むぞ」
ルイと調整しながらお湯を貯めていきます。うん、意外と早く貯まりましたね。
「これをどうするんだ?水を貯めとくとか?」
「これに入ります」
「は?」
「ですから、これに浸かります」
「これに?水浴びじゃなくてか?」
「そうです。試してみたいので入りますよ、ルイ」
「俺も?って!服を脱ぐな!分かった!分かったから!せめて隠せ!」
私の個人的な工房、誰も来ないと思いますけどね。ルイ相手には良いのかと?今更ですよ。
で、観念したルイと一緒に入ります。ルイが先に入って座り、私は後ろから抱きしめられるような体勢で入ります。あっ、これ。
「ふぃぃー……意外と気持ちいいな、これ」
「同意します。身体全体が暖められて気持ちが良い」
これがお風呂ですか。お湯に浸かるなんて発想はありませんでしたが、これは気持ちが良い。身体を清めながらリラックス出来る。東方人恐るべし。未開の蛮族だなんて蔑むことはできません。これは素晴らしい発明だと思います。
「これいいなぁ、シャーリィ」
「毎日入りたいくらいですね、ルイ」
「ああ、鍛練の後とかに入ると気持ちいいだろうなぁ」
「確かに、汗を流すのにも最適かもしれません。冬場は更に気持ちが良いでしょうねぇ」
「寒い時には最高だろうな、これ」
寒い冬の日のお風呂ですか、想像しただけでも気持ち良さそうです。
お湯を用意する術はありますし、大きなもの…そうですね、石とかを敷き詰めたものを作れば一度にたくさんの人が入れますね。皆の保養施設として最適のではと思います。喜ばれそう。
「けど、最初に身体を洗う方がいいだろうな」
「お湯が汚れてしまいますからね、その辺りのルールも作らないと」
ルール作成と大きなお風呂の開発、これを成せれば皆に娯楽を提供出来そうです。やはり間違いではなかった!
…ん。
「ちょっとルイ、お尻に堅いものが当たっているのですが」
ジト目で見上げてみます。
「仕方ねぇだろ!こんな状態、男なら誰だってなるに決まってる!」
慌ててますね、可愛い。
ふむ、そんなつもりはありませんでしたが……興が乗りました。このまま致してしまいましょうか。今日は予定もありませんし。
「好きにして良いですよ。その代わり、明日は手伝って貰いますからね」
「お、おう。分かった、ちゃんと加減する」
そう言ってルイはより強く私を抱きしめ、私は身を委ねるのでした。お湯とは違う安心できる暖かさを身体全体で感じられます?
……当然長く湯に浸かっていましたので二人揃って逆上せて湯冷めしたのは言うまでもありません。がっでむ。くしゅんっ!
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