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そんなこんなで過ごしていると、この二人の約百年にもなる戦争は我が国の勝利で終了しました。
捕虜となっていた私と奥様は無事解放され、自国に帰ることができました。
それから暫くもせず、奥様が植民地を作り、そこの国のドールと化身が私達の家に来ました。
「奥様、私、恋、してしまったのかもしれません」
奥様と私の二人だけのティーパーティー中、私がそう言葉をこぼすと奥様は驚きの余りか、珈琲を吹き溢しそうになっていました。
「だ、誰なんだ」
驚いた奥様が唯一言えた言葉はその一言だけでした。
「り、隣国の、」
奥様がゴクリと息を呑む音が聞こえました。
「隣国のドールの英厳です」
「は?」
私が言い終わると、奥様は開いた口が閉じなくなったようで、口をパクパクしています。
「あ、あの、ブリテン島の所の英厳か」
「はい」
確かめるようにして奥様は私にそう尋ねましたが、答えは一つしかありません。
「彼奴の何処が良いんだ?」
奥様がそんな質問をしてきました。
答えは幾らでも有りますので、話すのは少し大変かもですね。
「あの赤薔薇のような瞳や、少し低めの声、棘々しい言葉と受け取れるものの裏には優しい想いがあったりする所、もう、全てに惚れたと言っても過言ではありません」
全部言ってしまうとそれはそれで少し恥ずかしいものですね。
「まさか、お前が恋するとは、生涯孤立無援だと思っていたというのに」
感心したように奥様は声を漏らしました。
「仕方ないじゃないですか。それに、私の創作意欲を湧かせたのも彼なんですから」
私の口から発せられるさらなる事実に奥様は驚きの連続のようです。