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道化としての私とはなにか

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道化としての私とはなにか

12 - 第12話吊された男の記録

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2022年10月24日

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見を述べるのは控えよう。

しかし、彼のような男は、この世にもういないだろう。

彼は自分の才能を信じていたし、 それが他人にも伝わると信じていた。

だから、誰にも理解されない苦悩を抱えて生きていた。

そんな彼を救える人間などいないだろうと思っていたよ。

結局、彼を救うことができたのは彼自身だけだったのだ。

私には想像することもできないほどの絶望的な孤独の中を 生き抜いてきた男だけが知る真実が、そこにはあったんだろうね。

私はあの男のことが好きだよ。

だからこそ、あいつのことをもっと知りたいと思う。

だが、きっとそれは叶わないことだとも思う。

奴の心にはいつも深い闇がある。

その深淵に潜む何かに触れれば、こちらまで引き込まれてしまいそうだ。

触れてはならないものに、触れるべきではないのさ。

それでもなお、奴のことを知りたいと願うならば、覚悟を決めろ。

決して目をそらさず、最後まで見届ける。

冷静沈着さ、誠実さ、信念を貫く意志の強さ。

理知的な判断力、決断力、行動力、分析力、洞察力。

失敗してもくじけない強い精神力を持ち続ける。

「あのね……お兄ちゃん……」

『うん?』

「お兄ちゃんが何を考えてるかわからないけど……

きっとあたしのことじゃないよね?」

『えっと』

「だから気にしないで!」

『あぁ、わかったよ』

「それと……ありがとね!お兄ちゃん」

「おーい!朝だよぉ~♪起きてぇ~!!」

「うわ!?」

布団を思いっきり剥ぎ取られた俺は、驚きのあまり飛び起きた。

目の前には、妹が立っていた。

「おはようございます」

俺の妹―――咲夜は満面の笑みを浮かべながら言った。

その顔からは、天使のような可愛らしさを感じる。

しかし、騙されてはいけない。こいつは、悪魔の生まれ変わりなのだから。

「ねぇねぇ、早く支度しないと遅刻しちゃいますよぉ?」

時計を見ると、針は既に8時半を指していた。

学校まで歩いて10分くらいなので、今すぐ準備すれば間に合うはずだ。

「ほらほら、急いでください。私、もう先に行っているんで!」

そういうと、妹の咲夜は部屋を出ていった。

俺は慌てて着替えると、朝食を食べることなく家を出た。

今日は、久しぶりに実家に帰ろうと思う。

両親にも会いたいし、弟とも話をしたい。

それに……あの娘の様子を見ておきたかった。

「あら~! 久しぶりじゃない!」

玄関を開けるなり、母さんが出迎えた。相変わらず元気そうだ。

「お帰りなさいませ、旦那様」

続いて出てきたのは父さんだ。いつも通りの仏頂面である。

「ただいま」

「随分と大きくなったわねぇ。見違えたわよ」

「うん、もう高校生だからね」

「そういえば、今日はどうして帰ってきたの?」

「ちょっと話があってさ」

「お父さん、何か知ってる?」

父さんは何も言わずに首を横に振った。

こういう時は大抵知らないふりをするのだ。昔から変わらない。

「まあいいわ。とりあえず上がりなさ――」

その時、家の奥の方からドタドタと足音が聞こえてくる。

この慌ただしい歩き方は間違いなく弟のものだ。

案の定、現れたのは弟の姿。

彼は姉さんのことを見下していたんだろう。

それはもう、昔からね。

そんな彼が今更、何をしに来たのか。

僕たちはこれから先も、きっと分かり合えないよ。

彼は僕たちとは違う生き物だから。

彼も気づいているはずだろ? 僕らがわかりあえるはずがないってことくらい。

それでもなお、彼は歩み寄ろうとしている。

けれど残念ながら、それは無駄なことだよ。

なぜなら僕は彼とは反対の存在だからさ! 彼のような存在になりたいとは思うけどね。

でも僕には僕の生き方があるんだ。

だって僕は、この世界の創造主なんだぜ!? それにしても、君は実に面白い奴だよ。

退屈しなくて済むよ、ほんとに。

だけどそろそろ潮時かなぁ~。

残念ながら、君じゃあ役者不足だ。

舞台に立つ資格はないんだよ。

君の役目はもう終わったんだ。

ご苦労さん。

お疲れ様。

よく頑張ったわね。

えらいわ。

すごいじゃない。

天才。

秀才。

才能豊か。

あなたならきっと、素晴らしい人物になるでしょう。……本当にそうなれるのかしら? ねぇ、もしも私があなたの人生を全て奪ってしまった

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