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もう二度と失わない。だから、見つけてみせるけんな。
今日は雨が降っている。窓に雨の水滴がついていて、その水滴に俺の顔が写っている。
「みんないない、、」
俺が一人で店に残されるのはこれが初めてだった。いつもは誰かと話していたから賑やかだったこの店も最初に出会った時みたいに時計の針が鳴り続けている。カチカチと、俺の心臓の音も同じ鼓動で鳴っている。ドクンドクンと。
そうするとだんだん外の雨も激しくなっていく。ザァーと雨が鳴り続けている。ソファに体を預けて瞼を閉じる。そこにはやっぱりみんなの姿があった。笑顔でこちらを向いている。俺は、あぁ救われたんだなっ!!
ガクン。
視界がブレる。そこには誰ももういなくて、そこにはただ死体が山積みになっていた。ただ視界は赤くなっていて、手を見ると赤い何かで塗りつぶされていた。
「はっ」
違う、違うっ。もう救われるんだ。俺は、違う。化け物なんかじゃない、違う、違うんだって!
『何が違うんだよ、お前はただの』
違う、違う。あいつらが変えてくれるんだ。あいつらが救ってくれるんだ。
過呼吸になる。息ができない。空気が吸えない。光がない、誰の声もしない。孤独、ただの孤独。ただ雨の音と俺の鼓動が鳴り響く。時計なんてあったのかも忘れるくらいに自分の心臓が響く。視界がぼやける。倒れ落ちる。違うと否定したくてもそうだと肯定する自分が現れる。
『お前は、ただの人殺しで』
どこからか聞き覚えのある声がする。俺の背後から声が聞こえてくる。違う、違う!
『ただの人形で』
俺は感情のある人間だ。違う、違う。こんなのデタラメだ!
『ただの化け物だろ』
ようやく終わった。やっとあの人を幸せにできるんや。そう思ってあの人がいるお店に足を運んだ。すると、
「おかしい、いない、いないぞ」
と雲雀先輩が言った。扉の前、気配を察したのか先輩はそう言ったんやけど、
「そんなことあるはずないやないっすか。いるはず、、」
と思ってドアノブに手をかけた。鍵をかけたはずの扉は本来開かないはず。けれど、
「なんで、開いとるん、、、?」
僕たちは怖くなって、一斉にお店に入って行った。けれど、そこには誰一人いなかったんや。
「探すぞ!!」
奏斗先輩の大きな声に僕は驚きながらも、返事をした。
「「「「「はい!!」」」」」
絶対に見つけてやるけんな。絶対に幸せにしてやるけんな。絶対に!!
NEXT 12月18日