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5.なんで星願side
別に好きじゃない。
でも一つだけ気になることがある。
堀山くんは、なんでそんなに話しかけてくるの?
なんで私の名前は呼ばないの?
話しかけられる時は、
『ねえねえ』
『お前さぁ』
周りとの扱われ方の違いに飽き飽きする。
今はダンスに集中したいから話しかけてこないでよ。
『ひとりすきなん?』
突然聞かれた。
ひとり……
私からしたらなりたくてなるものでは無い。
でも、
いまは1人くらいが落ち着いてちょうどいい。
誰かに期待して辛い思いもしないし、
何かに後悔することもない。
だから私は
『嫌いじゃない』
そう答えた。
春の温かさが感じられる季節になった頃。
本番が近づいてきた。
堀山くんたちともあと一週間の仲。
もう、気にしない。
私には関係ないから、そう言い聞かせた。
本番が間近になればなるほど、
未来と堀山くんの距離が遠ざかったように見えた。
なんで、2人仲良かったじゃん。
また、私なにかしちゃったかな。
過去
『星願のせいでさ、光と話す機会減っちゃった。』
トイレの水道前で泣きながら話す友達の声。
私が個室にいる時だった。
いつも、光と紗奈は2人でいた。
そんな中に私は転校してきた。
その日に光と席が近くなったこともあり、仲良くなった。
光と紗奈と3人で過ごすことが増えた
でも3人組は難しいもので、いつの間にか私は光と居ることの方が多くなっていた。
紗奈が嫌とかいう訳じゃなくて、自然的に。
そして、紗奈が光とあまり話さなくなってから、すぐ。
トイレで泣いてる紗奈の声が聞こえた。
他の子に背中をさすられながら話を聞いてもらってる様子で、
私は個室から出ることが出来なかった。
でも紗奈の話を聞いて、おもった。
“私がいなければ2人はまだ仲良かったのかな
“私が転校してこなければ紗奈は泣かずに済んだのかな。
そんな事が頭をよぎった。
この日から私は人との深い関わりを取るのを辞めた。
誰にも言わず、みんなから離れた。
もう。誰も傷つけたくない、
私のせいでまた堀山くんと未来の関係が悪くなったのであれば、
そう考えるだけで苦しくてたまらなかった。
『ごめん、なさい。』
涙を堪えながら発した声は
1番聞かれたくなかった人に聞かれた。
『お前どうしたん。なんで泣きそうなの。』
堀山くん、
本当なら全部言って泣きまくりたい。
でも出来ない、
返事もせずに走って逃げた。
逃げることしか私にはできなかった。