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す、すごい………やはり語彙力が…私と桁違いだ……… レッド!ブルー!多分やりすぎだ!…と言いたいけどナイスだった、と内心思ってます☆
すまない先生→す Mr.赤ちゃん→緑 Mr.ブラック→黒 Mr.銀さん→銀 Mr.レッド→赤 Mr.ブルー→青Mr.バナナ→黄 Mr.マネー→金
海テラスカフェで腹を満たし、心地よい満足感に包まれた8人は、ついに水族館最後の目的地であるお土産ショップへと足を踏み入れた。店内は、幻想的な青い照明と、色とりどりの海の生物たちのグッズで溢れ返っている。
緑「うわぁぁ! お魚さんがいっぱいだぜー!」
赤ちゃんは目を輝かせ、真っ先にショップの奥、自分よりも大きなシャチやイルカのぬいぐるみが山のように積まれたコーナーへとドタドタと走っていった。
銀「おい、赤ちゃん! 走ると危ないって言ってるだろ!」
銀さんが苦笑しながら後を追うが、ふと隣の棚に並ぶ「精密潜水艦工作キット」が目に留まった。
銀「……待てよ、精密潜水艦工作キット、すげぇな…。俺の工作の参考になりそうだ……」
銀さんの職人魂は一瞬で火がつき、気づけば赤ちゃんの背中から意識が逸れてしまっていた。
一方、中央のキーホルダーコーナーでは、マネーとバナナが真剣な顔で棚を覗き込んでいた。
金「はぁぁぁぁっ! 見ろバナナ! この『イルカクリスタル』! ひとつ2500円……ふむ、この水族館にしてはなかなか筋の良い品ではないか! この光沢、まさに俺に相応しい!」
マネーが手に取ったのは、小さな青い宝石が瞳にはめ込まれた、繊細な銀細工のイルカだった。
黄「ほう、確かに悪くない。この繊細なイルカの作り。僕はこれを買おう」
金「バナナもそれにするのか!俺と同じだな!」
黄「お前もこのキーホルダーを買うのか」
金「そうだ!貴様俺と同じ物を選ぶとはセンスがいいな!」
黄「別にお前に褒められても嬉しくはないが…」
二人は2500円という、少しリッチな価格のキーホルダーを買い、各自カバンに付けた。キラリと光る双子のイルカは、海で泳ぐいでいるように揺れた。
そのすぐ隣で、レッドとブルーの兄弟も何やら真剣に選んでいた。
赤「おい弟、これ見てみろよ。このサメ、強そうでかっこいいぜ!」
レッドが手に取ったのは、真っ赤な瞳をしたワイルドなサメのキーホルダーだ。
青「お、いいな兄貴。じゃあ俺はこっちの青いサメにするわ。色違いで持つのも悪くないだろ?」
二人は笑い合い、お互いのイメージカラーである「赤と青の色違いのサメのキーホルダー」を手に取った。2人のキーホルダーを見つめる瞳は、何やら大切な人を思い浮かべているようだった。
「ん……? うぉっ!」
短い声。
しかし、店内にはマネーの「はぁぁぁぁっ!」という笑い声や、レッドとブルーの威勢のいい会話が響いており、その小さな声に気づく者はいなかった。
数分後。
赤「よし、そろそろ行くぞ! おーい、赤ちゃん! お目当てのぬいぐるみは決まったか?」
レッドが満足げにカゴを抱え、シャチのコーナーへ歩み寄った。だが、そこには誰もいない。床には、大きなシャチのぬいぐるみが、ぽつんと寂しそうに転がっている。
赤「……あ? 赤ちゃん? どこ行ったんだ、あいつ」
レッドが周囲を見渡すが、視界に入るのは見知らぬ家族連ればかりだ。
赤「おい、銀さん! 赤ちゃん、そっち行ったか!?」
銀「えっ? いや、ずっとそこにいたはずだけど…」銀さんがキョロキョロと周りを見渡す。
青「……兄貴、またトイレにでも駆け込んだんじゃねーの?」
ブルーが呆れたように笑いながら歩み寄る。
赤「いや、あいつ『絶対このデカいシャチ買うぜ!』って意気込んでたんだぜ?」
マネーとバナナも、さっき買ったばかりのイルカを揺らしながら集まってきた。
金「はぁぁぁぁっ!あの赤ん坊、俺たちに内緒でもっと大きなぬいぐるみを探してるのではないか?」
黄「やれやれ、Mr.赤ちゃんを一人にするとすぐこれだ。まぁ、どうせすぐそこら辺のガチャガチャコーナーか、出口のアイス自販機の前辺りにでもいるだろう」
そこへ、貝殻のフォトフレームを大事そうに持って戻ってきたすまない先生が、不思議そうに首を傾げる。
す「みんな、どうしたんだい? お土産は決まったかな……おや、赤ちゃんは?」
銀「先生、赤ちゃんがいなくなっちゃって。どうせすぐ見つかるとは思うんすけど、いくら呼んでも返事がないんすよ」
銀さんが困ったように頭をかきながら笑う。
す「ふむ……。お土産に夢中になりすぎて、出口の方へ行っちゃったのかな? まったく、自由だなぁ」
先生がのんきに笑ったその時、ブラックが静かに口を開いた。
黒「……皆さん、騒ぎすぎです。あんなに目立つ格好をしているんです、その辺を歩いていればすぐに見つかりますよ。迷子センターに届けるまでもなさそうです」
赤「いや、でもよブラック、どこにもいねーんだぜ?」
レッドの言葉を遮るように、ブラックは手元の端末を操作し始めた。
黒「実は皆さんに内緒で、最初にお渡しした地図の裏側に、超小型のGPSを仕込んでおいたんです。……まぁ、バナナには即座に見破られましたけど」
黄「当たり前だ。あんな不自然な厚み、僕の目が誤魔化せると思ったのか?」
バナナが腕を組んで鼻で笑う。ブラックは、流石ですね、と言い再び端末に目を向ける
黒「なので、居場所くらいはすぐに判明しますよ。……ほら、赤ちゃんの反応は現在……え?」
冷静だったブラックの眉がピクリと動いた。画面上の赤い点は、一般客が立ち入れないエリア……『ろ過機械室』。水族館の最下層にあるバックヤードを示していた。
黒「……GPSの反応が止まりました。銀色の防音壁に囲まれた、スタッフ専用のコントロールルームだと思われます。……皆さん。どうやらこれは、ただの迷子ではないようですね」
す「……手分けして探す必要はなくなったね」
すまない先生の瞳から穏やかさが完全に消え、鋭い光が宿った。
他の皆も、次々に事の事態を察したようだ
す「……よし。レッド、ブルー。この先は君たち二人に任せてもいいかな? 変装が得意な君達なら、ほかのスタッフさんにバレないと思うんだ」
先生が二人の肩を叩くと、レッドは不敵な笑みを浮かべ、ブルーはジャケットの裾を直した。
赤「へっ、当たり前だぜ先生!俺たちがサクッと連れ戻してやるよ」
青「よし兄貴行こうぜ! 赤ちゃんを取り戻しに!」
二人は一瞬でどこからか調達してきた「水族館スタッフ」の制服を身に纏った。その手際の良さは、まさに変装のスペシャリストだ。
す「じゃあ僕たちは、警察への連絡と……あ、まだレジに通していないお土産の支払いがあるからね。そっちを済ませてくるよ」
すまない先生がフォトフレームを抱え直す。
先生の指示で、マネーは長蛇の列に並んで会計を引き受け、先生、ブラック、バナナ、銀さんの4人は警察とスタッフへの対応に回った。
地下へ続く階段を駆け下りると、そこは巨大な排水管がうねり、重低音の機械音が響く「ろ過機械室」だった。ブラックのGPSが示す銀色の防音扉の前。中から犯人たちの笑い声が聞こえてきたその瞬間、レッドの目が鋭く光った。
赤「……弟、右は任せたぜ」
青「了解。左は俺がやる」
赤「さ、どうやって登場しようか…」
青「普通に扉開けたらいいんじゃねぇの?」
赤「いや、そうしたらなんかこう、かっこよさが足りねぇ」
青「かっこよさとかいらねぇだろ!?仲間のピンチだぞ!?」
赤「どうせならかっこよく登場したいだろ?」
青「えぇ…」
大分深刻なこの状況に似合わない会話を続ける2人。しかしその会話は終わりを迎えた
赤「よし、せーの!で扉蹴り飛ばすぞ」
青「結局かっこよさ重視か…まあいいけど」
赤、青「せーの!!」
ドォォォォン!!
扉が紙切れのように蹴破られた。中には、椅子に縛り付けられた赤ちゃんを囲む二人の男。
赤「お疲れ様でーす! 害虫駆除の時間だぜ!!」
レッドの声とともに、二人は弾丸のような速さで踏み込んだ。
「なんだてめぇら! スタッフが何の用だ!」
青「用だと? 俺たちの仲間を連れ去った罪は重いぜ……!」
ブルーが吠えると同時に、レッドは一人目の男が放ったナイフを紙一重でかわし、その懐に潜り込む。
赤「俺たちの仲間を連れ去りやがって!結構めんどくせぇ事になったんだよ!」
レッドの豪快なアッパーカットが男の顎を跳ね上げ、宙に浮いた男の胸元にブルーが電光石火の追撃を入れる。
青「赤ちゃん! 今助けるからな!」
ブルーが叫びながら、二人目の男の背後に回り込む。男が振り向きざまに拳を振るうが、ブルーは軽やかなステップでそれを制し、壁を蹴って高く跳躍した。
青「これでおしまいだ!」
空中から放たれたブルーの踵落としが、男の脳頂を正確に捉える。
「ガハッ……!」
男は崩れ落ちるように床に沈み、一人目の男もレッドの強烈なボディーブローを食らって、二人揃って白目を剥いて気を失った。
緑「ん……? おぉっ! レッド! ブルー!」
自由になった赤ちゃんが、二人の胸に飛び込む。
青「無事だったか赤ちゃん!」
緑「ほんとありがとよ!」
「でも…やりすぎじゃね?」
赤ちゃんは、気を失って倒れている2人の男に目を向けた。体の至る所に痣や傷ができていた
赤「そんぐらいしねぇと気がすまねぇんだ」
青「そうそう!少しやりすぎが丁度いいんだ!」
3人は鉄の階段を登ってスタッフ専用フロアから出ていった
数分後。
赤「はい、こちらです。不審者が暴れていたので取り押さえておきました」
駆けつけた警察官の前に、スタッフ姿のレッドとブルーが涼しい顔で現れた。二人は完璧な変装と演技で警察を案内し、ボコボコになって気絶した犯人たちを連行させていった。
「ご苦労様! 君たちがやってくれたのか。助かったよ」
警察官の言葉に、二人はキリッとした敬礼で応える。警察官たちは、この「優秀なスタッフ」の正体が、実は犯人をなぎ倒した本人たちだとは夢にも思わなかっただろう。
ようやくレジを終えたマネーの元へ、全員が合流する。
す「おかえり! みんな無事でよかった」
す「レッド、ブルー、ありがとな!」
すまない先生はにっこり笑った。レッドとブルーのカバンには、さっき買った赤と青の色違いのサメのキーホルダーが、誇らしげに揺れている。
夕暮れの駐車場、8人の晴れやかな笑い声が響き渡った。
す「さあ、帰ろう! スクールに着くまでが、遠足だからね!」
全員がスクールバスに乗り込んだ時、丁度水族館の閉園を告げるオルゴールが辺りに響いた。
バスの窓から見える水族館が夕闇に溶けていく中、8人の手元には、今日という日の最高の思い出が夕日に照らされ光っていた。
〜.Fin.。o○〜