”オノレオ・ザ・デッドキング”は地獄の覇者であり、
命ある(なくても)リア充を憎み、破滅に導くべく日夜様々な企みを企てる悪の帝王である。
そんな彼は今、百里(ツクモイチアマルサト)海岸の片隅にある砂浜にコーナーポストを立て、ロープを張っただけの粗末なリングにて絶体絶命の危機に晒されていた。
「おお~っと!”グレイテスト・ゴッドブリッジ”がロープを巧みに使い”デッドキング”をコーナーに拘束した!!」
「解説の”クロス・ワード”さん、これは……」
「いや、俺も初めて見るんでこの後の展開は予想しかできないけど、これは必殺技(フェイバリット・ホールド)の流れではないでしょうか!?」
「ああ!”グレイテスト・ゴッドブリッジ”が”デッドキング”から左前側のロープに向かって駆けだしました!そしてロープにぶつかる直前、身体を反転させてロープの反動を利用してドロップキックの態勢で自らを射出した!?
飛んで行く、飛んで行く!一本の槍の如く、!”グレイテスト・ゴッドブリッジ”の槍先が”デッドキング”の心臓を射ぬかんとばかりに飛んで行く!!!そして今!!!槍が”デッドキング”を捕えた!!??
”デッドキング”、コーナーポストに張り付けられて……動かない!動けない!!これは決着か!!!???」
中継役の中継さんの熱い実況が響く中、一人の幼女の声援が”グレイテスト・ゴッドブリッジ”に向けられる。
「アナタ、おめでとう~」
「いけません!ムラサキ!!!そもそもボクは君の兄の様な者であると何度も……!?」
「クックックックック…… いけませんなぁ、”シャイニング・Genjiプロジェクト”を現世に蘇らせようとは……
カミハシシスベシ、ジヒハナイ」
「……誤解です!?」
「ロリコンの使徒が何か言っているようですね。これが”NANBAN”にカブれた者の末路……やはり攘夷。
この”オノレオ・ザ・デッドキング”の名に於いて尊王攘夷の大号令を……」
「……何を言っているんですか!!!」
”グレイテスト・ゴッドブリッジ”(ロリコン)が何か言っているが、たうぜん聞く耳など無い。
ゆらぅりと立ち上がると、
「おおっと!”デッドキング”立ち上がった!!」
「威力は申し分なかったと思うんだが、直後のアレはいけねぇな。アンナン聞いちまったらオチオチ倒れている訳にもイカンだろう。
やっちまえ、オノレオ」
「我が配下達よ、冥府より来たれ!!!!!」
「”デッドキング”の号令でリングの両脇に突如地下に続く坂が出現!?何かが登って来ました!……アレは一体なんでしょうか、
”クロス・ワード”さん?」
「ヨモツイクサだと思うんですが、彼らを加勢させたら反則負けですし……おおっ!これは…何だ!?
組体操の要領で”デッドキング”配下のヨモツイクサ達がリングの周囲に櫓を組んでいる!?」
「リングを振り返りますと、”デッドキング”が”グレイテスト・ゴッドブリッジ”(ロリコン)を殴り倒し、お返しとばかりにリングロープで五体を引き裂くかのように”グレイテスト・ゴッドブリッジ”(ロリコン)を拘束しています!!!
そして人間櫓をスルスルと登っていきます!そして頂上に到達し……あっ!リングを覆う様に聳え立ち、
リングに蓋をするように覆われていた天井部分に今、穴が出来ました!!!」
「穴から……両膝立ちの態勢で”デッドキング”が落ちてきた!!
両手に板の様な物を……看板!?看板を抱えて落ちてきている!!??」
「勿論、落ちる先は拘束されている”グレイテスト・ゴッドブリッジ”がいる!
5………4………3……2…1、弾着、今!!!!!」
ズドオオオォォォォンンンン……という轟音と共に砂柱が上がり、立ち上がった砂埃が晴れた後には、
異様な達筆で書かれた「炉裏魂 此処に滅ぶ」という御触書の板が立てられた前方後円墳めいた砂塚から両手両足頭を出して失神し
た”グレイテスト・ゴッドブリッジ”と砂を払う仕草と共に立ち上がる”オノレオ・ザ・デッドキング”の姿があった。
カンカンカンカンカ~ン!!!
急遽レフェリーに抜擢されたADさんが鳴らすゴングの音が鳴り響く。
コーナーポストに登りイベント戦のリベンジを果たし勝利を勝ち誇る俺。
動員手当を求めてリングに群がるヨモツイクサ達。
必死に神橋君を掘り起こそうとする子供達。
生放送で流した映像の反響に頭を悩ませる中継さん。
戦ったのが自分でなくて良かったと胸をなでおろす十文字君。
夏の海辺で発生したバカ騒ぎを遠くからジト目で眺める露理葉さん。
……俺達の夏はまだこれからだ!!!!!
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