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大スライム討伐編(本格的な本文イメージ)
草原の奥。ぬらり、と地面を揺らしながら現れたのは、家ほどもある巨大スライムだった。
透明な体の奥で光る核が、どくどくと脈打っている。
「うおお……デカすぎだろ!?」
「普通のスライムの十倍はあるぞ……」
『ボス感やばw』
『BGM脳内再生余裕』
『キャベツ勇者、いきなりラスボス戦w』
りもこんは剣を構え、にやりと笑う。
「ふっ……俺の宿敵だな」
「いやお前の宿敵はキャベツだろ!」と、ふうはやが即座にツッコむ。
りもこんが勢いよく突撃!
しかし、斬りつけた剣はズブリと呑み込まれそうになり、必死に引き抜く。
「ぐ、ぐわあああ!? キャベツより飲み込み力すげぇ!!」
『剣まで消化されそうwww』
『胃袋対決で負ける勇者w』
スライムが弾むように跳ね、ふうはや目がけて襲いかかる。
「やべっ――!」
その瞬間、りもこんが体を張って割り込み、剣を突き立てた。
「ふうはやには指一本触れさせねぇ!」
『おおっ!?』
『勇者っぽい!勇者っぽいぞ!』
『初めてカッコいいシーンきた』
全身全霊の力を込め、りもこんが剣を振り下ろす。
「必殺――キャベツ斬り・改ッ!!」
ズバァァン!!
大スライムの体が真っ二つに裂け、どろりと地面に崩れ落ちる。
……その断面から、なぜかキャベツの切れ端がぴょろんと飛び出した。
『キャベツwwwwww』
『結局キャベツに助けられてる』
『キャベツ斬りは伊達じゃなかった』
りもこんは剣を掲げ、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「見たか! これぞ勇者の力――そしてキャベツの勝利だ!」
「勇者の部分だけ主張しろよ!」と、ふうはやが頭を抱える。
こうして、大スライム討伐は奇跡と渾身の一撃により成功を収めたのだった。
小説本文(大スライム討伐報告)
ギルドに戻ってきたりもこんとふうはや。
討伐証明の大きな魔核をドンとカウンターに置いた瞬間、周囲の冒険者たちがざわついた。
「おい……あれ、大スライムの核じゃねぇか!?」
「初心者があんなの倒せるわけねぇだろ!」
『証拠デカすぎw』
『確かにラスボス感ある』
『キャベツ勇者、また奇跡起こしたか』
受付嬢は目を瞬かせ、魔核をじっと確認すると、深々とため息をついた。
「……本当に討伐成功です。依頼達成、おめでとうございます」
りもこんは胸を張り、ドヤ顔で叫ぶ。
「ふっ……俺の“キャベツ斬り・改”が炸裂したからな!」
その瞬間、ギルド中が爆笑に包まれる。
「技名ダサすぎだろ!!」
「結局キャベツなのかよ!!」
『必殺技:野菜依存w』
『切り抜きタイトル【勇者、キャベツでボス撃破】確定』
ふうはやは額を押さえながらも、少し笑みを浮かべていた。
「……まぁ、でも今回はマジでお前の一撃だったなw」
冒険者たちの笑いの中に、わずかに拍手も混ざる。
爆笑されながらも、りもこんは初めてほんの少し“勇者として”認められ始めていた。