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《プロトタイプ視点》
目の前にいるドッグデイは鎖に繋がれていた。
「…何があった?」
僕は声をかけた。
「何も知らないの?キャットナップがやったんだ。僕が君に『反逆』したからだってさ。」
「キャットナップが…!?」
「君の差し金じゃないの?」
「違う、私はこんなことになっていることを知らなかった!!今鎖を外すからちょっと待っててくれ__」
ドッグデイを繋いでいる鎖を外そうとすると、ドッグデイはそれを止めた。
「今そんなことされてもキャットナップが怒るだけだよ。」
ドッグデイは諦めたように言った。
「じゃあ私はどうすればいいんだ…?君を見捨てたくないんだ。」
僕は本気でドッグデイを助けたかった。
「…僕の両足、持っていってよ。」
「…は?」
「…もしもそうすれば、キャットナップは満足する。……僕ね、本当にキャットナップのことが大好きなんだ。キャットナップがおかしくなる前までは、友情より強い絆で結ばれてた。……だからこそ、キャットナップに傷つけられたり殺されたりすると思うと心が壊れそうになるんだよ…。」
ドッグデイは悲しそうに言った。
そうだ、キャットナップが狂ってしまう前は、2人はかなり仲が良かった。
その友情が壊れかけていると思うと、僕にはどうすることもできなかった。
「それに、キャットナップと君に従えば、またキャットナップとの仲は元通りになるはずだから…。お願い、やって。僕の両足を持って行ってよ。」
ドッグデイは一生に一度のお願いをするかのように言った。
「しかし、私も君を傷つけたくないんだ!君はそうだと思えないかもしれないが、少なくとも私は君のことが友達として大好きなんだ!!だから…」
「…やっぱり君は面白いね。君は僕のこと、友達だと思ってくれてるんだ。…ありがとう。君のその気持ちは、君が僕の両足を持っていった後にしっかりと受け取るよ。」
僕は絶望した。
「…本当に、やらなきゃ駄目なのか……?」
「うん、やらなきゃダメだよ。キャットナップの行動を少しでも止めるためだよ。キャットナップは僕と君の共通の友達だろ?」
「…あぁ、だが…!!」
「お願いだから、僕の両足を持って行ってよ。どれだけ痛くて苦しくても僕は気にしない。」
ドッグデイはすでに覚悟を決めているようだった。
「……すまない、ドッグデイ……!!」
僕は自分の鋭い爪を使った。
《ドッグデイ視点》
「ハハ…思ったよりも早かったね。その分痛みもマシ……そんなわけないか…」
痛みで涙が流れる。
プロトタイプはやるべきことをやってくれた。
でも、これで良かったとは思えなかった。
プロトタイプは咽び泣いている。
僕が頼んだことなのに、どうして罪悪感を持つんだろう?
「ドッグデイ……すまない……許さないでくれ、私を許さないでくれ……!!」
「許さないも何も、僕が自分から頼んだことなんだから自分を責めないでよ……」
僕は少し呆れてしまった。
プロトタイプはそれでも泣き続けていた。
「…やっぱり、頼むべきじゃなかった…?」
「私が君を傷つけたんだ、全部僕のせいだ……僕がキャットナップを止められなかったせいだ……」
…プロトタイプの口調が変わった。
この弱々しい口調がプロトタイプの本性なんだろう。
プロトタイプが自分の安全のために性格すら隠してきたのだと思うと、僕は自分のしたことに後悔した。
「ごめん、プロトタイプ…お願いだから、自分を責めるのをやめてよ…」
プロトタイプは黙り込んでしまった。
「…僕たち、友達だろ?きっと大丈夫だよ、この状況を乗り越えられるさ。」
プロトタイプは僕の目をじっと見ていた。
「……もしもまた会えたら、君の足を必ず返すよ。」
「それはありがたいけど、そんなことしていいの?」
「あぁ、友達ならそうするのは当然だ。」
「…そういえば、これからどこに行くのさ?」
「…『来訪者』を待つんだ。」
「そっか。頑張ってね、プロトタイプ。」
「…あぁ、頑張るよ。生きて会おう、約束だ。」
「うん、約束だよ。」
僕たちが約束を交わした後、プロトタイプは去っていった。
僕は少しだけこの状況に希望を持つことができた。