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塾講師 💜
生徒高3(回想 : 高2) 💛
⚠💛➔💜
fkiw気味
地雷🔙
side.💛
[岩本ってすげぇ頭いいよな!!]
[しかも塾行ってないんだろ?]
高3になった春。
クラスメイトにそう言われる。
俺は塾に行く意味なんて見出せなかった。
人生で一番憧れる人。
俺のモノにしたいと思った人。
その男にもう会えないのだから。
俺のことを認めてくれて、
俺のことを見てくれる。
そんな男に出会ったのは、
それが最初で最後だったんだと思う。
高2年の冬。
俺は、やっぱり勉強が嫌いだった。
学校の授業では、
窓の外を眺めていることが多かったし、
先生が黒板に書いたものを
ノートに写しても、
その意味まで考えることはなかった。
書いてるだけ偉いだろう。
テスト前も少しだけ勉強して、それで終わり。
塾に通い始めたのも、
自分の意思ではなかった。
[岩本はこんな所も分からないのか…。]
[困った困った笑]
塾にいるのはクソ講師ばかり。
俺を下に見て、バカにして。
こっちは頭悪いから塾行かされてんだよ。
もう、塾へ行くのもバカバカしかった。
けれど、そんな俺の前に、
ある国語教師が現れた。
深澤辰哉、といった。
💜「岩本、ここ、分かる?」
💛『…知らねぇ』
💜「んじゃあ、分かるところまで戻ろ!」
💜「ここは?」
怒らない。
呆れない。
分からないなら、
分かるところまで戻ってくれる。
💜「え!ここわかんの!」
💜「じゃあいけるよ!もう一回頑張ろ」
こんな俺でも問題が解けた。
理解できた。
あぁ、此奴は教えるのが上手いんだろうな。
塾講師なんて、天職なんだろうな。
最初はそう思っただけだった。
俺はいつしか、
少しずつ授業を聞くようになっていた。
先生に質問するようにもなった。
宿題もちゃんとやるようになった。
💜「お、今回は全部やってきたじゃん。」
💛『…説教される時間がもったいねぇから』
💜「んははっ、偉いよ、自信持って。」
偉いよ。
その一言が嬉しかった。
たったそれだけで、次の授業まで頑張れた自分がいて、少し気持ち悪かった。
いつの間にか俺は、勉強そのものよりも、
先生に「偉い」と言ってもらうことを
楽しみにしていた。
💜「照、今日も自習?」
別に特別気に入られているわけではない。
だけど2人で居るときは、
彼は俺のことを名前で呼んでくれた。
💛『…家帰ってもやることないから』
💜「だから勉強するの?」
💜「偉すぎるでしょ笑」
💜「…でもね、無理しすぎはダメだよ。」
そう言って椅子に座る俺の頭を
ポンポンと撫でてくれた。
💛『…っ、』
💜「さぁ照。でももう塾閉める時間。」
💜「補導される前に帰りな。わら」
💛『…はい。』
寂しいと思う自分がいた。
だから気づいてしまった。
…先生が好き。
💛『…さようなら。』
💜「ん!また明日!!」
そう気づいたときには、
もうどうしようもなかった。
ある日。
先生がいなかった。
俺は心配になって、
授業なんてまともに聞けなかった。
いつもの先生じゃなくて、知らない人が来た。
[今日は深澤先生、体調不良でお休みなので、
私が授業しますね。]
体調不良だった。
俺はますます心配になった。
自習していたある時の話を思い出した。
「俺、昔からなにかと身体弱いんだよね笑」
💛『…くそ』
貴方がいない塾に意味なんてなかった。
早く体調が治りますように。
次の週には、
元気になった先生が授業をしてくれた。
💜「あれ岩本、
いつも8割取れるのに今日は低めだね、」
💜「ほんとに先週授業聞いてた?」
聞けるはずもなかった。
頭の中には貴方のことしか無かったから。
💛『…それなりに』
💜「せっかく頭いいんだから、
ちゃんと聞いて成績あげなよね??わら」
💛『…はい。』
少しその言葉が寂しかった。
やっぱり俺は、
先生にとってただの生徒でしかなかったから。
三月。
高校2年の最後の授業。
その日も、いつも通りだった。
先生は授業をして、
俺の質問になんかにも答えてくれて、
最後に宿題を出した。
💜「じゃあ、今日はここまで。」
💛『これ…提出来週?』
💜「うん。ちょっと多いけど、頑張って。」
そう微笑まれては、俺の、
頑張る以外の選択肢は砕け散っていた。
💛『…分かった』
いつもの会話。
いつもの授業。
だから俺は、何も疑っていなかった。
疑えなかった。疑いたくなかった。
授業が終わり、
教室にいた生徒たちが次々と帰っていく。
[先生!また来週!]
💜「おう。元気でな。」
[深澤先生!春期講習っていつから?]
💜「俺もわかんない笑
予定表見たら?」
そんな声が飛び交う。
そんな中、俺はまた先生と2人になる機会を狙い、自習室へ向かった。
一人座って、宿題に手をつける。
暫く独りだった。
いつも来る時間に、彼は姿を見せない。
💛『…。』
するとドアが開く音がした。
遅くなってでも、先生は俺の元に来てくれた。
💜「…照。」
💛『…。』
また国語を教えてもらえるんだ。
そう思った。
―違った。
💜「…塾長から、話聞いた?」
💛『…?』
俺は気に留めず、ただ脳天にハテナを浮かべながら、問題を解き続けた。
💜「…聞いてない、みたいだね。」
少し寂しそうな彼の声が、
俺の脳裏に反響する。
💜「照。俺ね。」
💜「…春期講習から、
隣県に校舎異動することになった。」
💛『…!』
俺はその手を止めた。
異動…?
春期講習からってことは…今日が最後…?
💜「…黙っててごめん。」
俺は先生と目を合わせた。
彼は寂しい目をしていた。
そんな顔を見たのは、初めてだった。
それでも口角は優しく上がっていた。
いつもと同じような笑顔。
でもその目は笑っていなかった。
💛『…っ、』
言いたいことは、いくらでもあった。
どうして今日まで黙ってた。
もっと早く教えてくれればよかったのに。
そうしたら。
そうしたら俺は、先生ともっと話した。
質問なんてなくても、
質問を作ってでも話した。
今日が最後の日だと分かっていたなら。
💛『…先生、』
そこまで言って、声が止まった。
彼はいつものように笑う。
💜「…どうした?わら」
💛『…今まで、ありがとうございました』
そんなありきたりな言葉しか出てこない。
そんな自分が悔しかった。
💜「…こちらこそ。
照は本当に頑張ってるよな。」
その言葉だけで、泣きそうになった。
それでも俺は、
ポーカーフェイスを突き通した。
💜「3年になっても、この調子で頑張れよ」
💛『…はい。』
💜「じゃあな」
彼は職員室に向かって歩いていく。
💛『…、』
終わってしまうのが嫌だった。
なにか言葉を紡いで、
彼を繋ぎ止めていたかった。
思わず声を出した。
💛『“深澤”先生!』
すると、彼は振り向いた。
💜「…!」
💜「…初めて。嬉しいな。」
💛『え、?』
情けない声が出た。
💜「照が先生、じゃなくて、
深澤先生って呼んでくれたの、初めて。」
そんなどうでもいいことを覚えててくれている。
それだけで、俺の心は揺れた。
💜「ありがとう。」
💜「…俺、照に一番期待してるから。」
💜「頑張って。」
💛『…はい、』
ここまで来て、それしか言えなかった。
彼は職員室に、今度こそ入っていった。
冬の冷たい風を浴びる。
何度も涙を我慢した目には、
潤いが残っていた。
先生は何も知らない。
先生に会うまで、
勉強なんてどうでもよかったこと。
先生に褒められたくて、
初めて机に向かうようになったこと。
先生に会うのが楽しみで、
塾に通うようになったこと。
そして。
―先生が好きだったこと。
全部、知らない。
それが虚しくて、しょうがなかった。
もっと、先生に褒めて欲しかったな。
もっと、先生に撫でて欲しかったな。
もっと、もっと、もっと…
もう、叶わないけれど。
💛『好きだった、』
夜空に向けて小さく呟く。
俺の呟きは、そんな空に吸い込まれていったのだった。
💚{…る!}
💚{…かる!}
💚{ひかる!!!!}
目を開けると、目の
前には学級委員が立っていた。
💛『あ…』
💛『やべ、寝てた、』
💚{もう…それで頭いいのずるい、}
💛『ごめん』
時計を見れば、最終下校時刻を過ぎていた。
💛『…帰ろ。』
💚{うん、}
俺は阿部と一緒に教室を出た。
💚{あんだけ寝てて、
成績学年2位とか信じらんねぇ…}
💛『1位阿部なんだからいいだろ笑』
💚{俺は努力の結晶!!}
そんな会話をする。
駅のホームに2人。
俺の目に映ったのは、
ありえない事実だった。
💜「んー、今日も疲れたぁっ!!」
💛『…は、』
目の前には、伸びをする深澤先生がいた。
彼は駅内に向かっていく。
💚{…照?}
💛『ごめん、戻ってくるから』
俺はそう言って、ダッシュで彼を追いかけた。
💛『はっ…はっ…』
彼の腕がすぐそこにある。
俺は思わず掴んだ。
💜「ひぃっ!?」
💛『はぁっ…深澤…っ、先生!』
忘れられてたらどうしよう。
誰?だなんて言われたらどうしよう。
シカトされたらどうしよう。
様々な不安が俺を襲う。
でも返ってきた答えは、優しかった。
💜「…照、?」
俺の目には涙が滲んだ。
💛『深澤先生…』
💜「久しぶり。元気してた?」
💛『…はい、』
その時、俺の後から声がした。
💚{照!荷物置いてくなし!}
💜「ありゃ?わら」
💛『あ…ごめん』
💚{って、こんにちは。
俺は阿部亮平って言います。}
💜「俺は深澤辰哉。」
💜「照の…塾の先生。」
少しその紹介の仕方が嬉しかった。
まだ俺の塾講師でいてくれるんだ。
阿部は俺のことを指さして、言った。
💚{…こいつ、すごいんですよ}
💚{勉強もできて運動もできて、}
💚{成績学年2位ですよ。}
💚{ずっとずっと…}
💚{国語だけはテスト、
意地でも100点取ってるんですよ、}
💚{この前98で凹んでたし}
💛『っ、阿部!!』
それは言わなくてよかっただろ…!
その一部始終を見ていた先生は、微笑んだ。
💜「ふふ…」
💜「…照、頑張ってるんだね。偉いや。」
💜「俺も嬉しい。」
💛『…!』
偉い。
そんな言葉が、また彼から聞けるだなんて
思っていなかった。
深澤先生は俺にゆっくり近づく。
💜「流石…俺の一番お気に入りの教え子。」
そう言って、俺の頭をポンポンと撫でた。
💛『…。』
💜「阿部くん…だっけ?」
💜「いつも照と一緒にいてくれてんでしょ、」
💜「…ありがとね。」
💜「これからもお願い。」
💜「こいつすぐ…無理するからさ。」
阿部にも礼を言う。
💜「じゃあ俺…用事あるから。」
💜「じゃあね、また会ったら、声かけて。」
彼はまた歩き出した。
俺は手をだしたが、辞めた。
こうして彼は、
また届かない場所へ行ってしまった。
💚{…照、よかったの?}
💚{なんか言いたげな顔してた}
好き、だなんて言えたらよかったな。
💛『いや…言わない方がいい気がした。』
言わずに、
俺が貴方のお気に入りの教え子で
居られるなら。
💚{…はぁ?}
💛『まぁいいから。』
💛『ほら、かえんぞ。』
💛『荷物持たせたし、
遅いからラーメン奢ってやる』
💚{ほんと!?やった!}
こんな形だって、悪くないんだ。
fin.
失恋というか…
諦めっていうか、なんか違うのできましたね…
コメント
7件
やっぱり夫婦は最高すぎる…😭✨️
はぁ、、良質なfkiw💜💛
💛➡︎💜ってこういうことかぁ… でもまた会えてよかった🥲
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junp_
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#ふかいわ
junp_
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