【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話(番外編)です
今回はワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
桃視点→青視点
組織から借り受けた、もう使われなくなったとある学校。
古びた建物は少しでも暴れればすぐにでも脆く崩れそうだった。
その校庭の真ん中に立ち、3対3で対峙する。
俺の両隣にはりうらとしょうちゃん。
向こう側にはあにきとほとけっちと、まろ。
「じゃあゲーム形式の訓練の説明するね」
手に革製のグローブを装着しながら、俺はぐるりと周囲を見回して話し始める。
「制限時間は1時間。その間に鬼側の俺らが、あにきたち3人を捕まえたら勝ちね」
言って、ポケットから小さい桃色のスタンプを取り出した。それを5人に向けて掲げて見せる。
「全員自分のカラーのこれ持ってると思うけど、このスタンプ押されたら捕まったってことだから。あと当たり前だけど相手を殺したり大怪我させたりした時点でそのチームの負け」
おっけー?と5人を順番に見やると、一様に頷きが返ってくる。
そんな中、ほとけっちが「はーい質問」と手を挙げた。
「捕まった人はどうなるの? そこで戦線離脱?」
「お、いい質問」
人差し指を向けて、ほとけっちを指さす。
にやっと笑って俺は言葉を続けた。
「スタンプ押された人は、そのまま鬼になってもらう。子どもの頃やらなかった?増え鬼みたいな」
答えた俺に、ほとけっちは目を見開いて「え!」と声を上げる。
明らかに狼狽えたような、困ったような顔をして眉を下げた。
「それってじゃあ、例えば逃げてる途中にあにきに会って、味方だと思って近寄ったらもう既に捕まって鬼になってる場合があるってこと!?」
「そうだね」
「えーそんなの疑心暗鬼になるじゃん…! 味方にも疑いの目を向けなきゃいけなくなるやつ…!」
「逃げる方に味方なんていないと思った方がいいよ」
あっさりと答えて言うと、俺はもう一度全員に目を向けた。
「さて、じゃあ開始しますか。逃げる時間は5分。そこから1時間、逃げ切れた人の勝ち。全員捕まったら俺らの勝ちね」
よーいどん。
タイマーをスタートさせながらそう言うと、あにきとほとけっち、それにまろは同時に地面を蹴って走り出した。
「結構広いよね、この学校」
5分のタイマーが鳴るまでの間、りうらが刀を腰に据え直しながらそう言った。
「校舎だけで4棟あるからね。あとは体育館、武道場、プール…施設まで入れたら数えきれない」
「うわー、探すだけでも大変そうやん」
舌を出しながら言うしょうちゃんは、その手にナックルダスターを嵌め直している。
「まぁでも、1時間もあるんでしょ? 捕まえればこっちの人数は増えていくわけだし」
そう言ってりうらは、生意気な最年少らしく口角を上げて不敵に笑んだ。
案外楽勝じゃない?なんて、なんでもないことのように言って笑う。
全く、いつでもどこまでもこいつは自信溢れる主人公キャラを地で行くらしい。
「2人共、通信器ちゃんとつけておいて。鬼側は連絡取り合えるんだから」
確認でそう口にしながら、俺は自分も耳にはめたイヤホンに触れる。
装着し直すようにぐっと更に押し込んだ。
「おっけー」
2人がこくりと頷いたとき、ちょうどタイマーがピピピと規則的な機械音を鳴らす。
「さて、行きますか」
屈伸したり足を斜め前に伸ばしたりと思い思いの準備運動を終わらせた後、俺たち3人は拳を突き合わせてから3方向へ散った。
こうも広いと、爆弾の意味もあまりなさそうだななんて思う。
設置したところでピンポイントに相手がその場にいないと意味がない上、爆破なんてしたら目立って他のターゲットにもこちらの居場所がバレてしまう。
念のためにといくつか用意はしてきたけれど、無駄になりそうだ。
代わりに俺は銃を手にした。
かくれんぼならある程度何とかなっただろうけど、今回は逃げる側もずっと移動し続けているかもしれない。
こうも広い敷地内では、確かにしょうちゃんが言っていた通り探し当てるだけでも骨が折れそうだ。
理科室、音楽室、普通の教室…手あたり次第扉を横にスライドさせては中を確認する。
だけど気配すら感じられず、そのほとんどが徒労に終わってしまった。
やがて、10分を経過したところでイヤホンからざざ、と雑音が聞こえてきた。
耳を澄ますとあの無駄にいい声が耳朶をくすぐるように打つ。
『ほとけっち確保したよ』
『りうちゃんっ、今のはずるいよ…!!!』
報告するりうらの向こう側から、きゃんきゃん喚くようなほとけっちの声も聞こえてくる。
それに苦笑いを漏らしながら「了解」と答えたけれど、しょうちゃんから返ってくる声はなかった。
…ということは、今通話に応じられない…? 近くにターゲットがいるか、はたまた戦闘中か…。
走りながらもそんなことを考えていると、それから3分くらいしてからまた雑音まじりの音が耳に届いた。
「はぁはぁ」と荒れた息がASMRのように近い距離で聞こえてくる。
『…ゆうくん……確保…っ』
……どんだけ暴れて抵抗したんだよ、あにき。
しょうちゃんにここまで完全に息を上げさせるなんて。
「おっけー、じゃあ後は全員でまろを探しますか」
にやっと笑って言って通信を切ると、俺はすぐそこの教室とトイレの中まで確認する。
だけどその時、ふと違和感に気づいて立ち止まった。
レザージャケットのポケットを上から叩く。
「……ん?」
そこに入れておいたはずのスタンプがなくなっていた。
どこかで落とした…? でも今からそれを探しに行くなんて時間はかけていられない。
「…ま、何とかなるかな」
楽観的に声を弾ませて言ってから、再び地面を勢いよく蹴った。
こういうときは下手に動かん方が得策やろ。
そう思って屋上に身を潜めた。
ここへ来る間、壁が崩れる音やら何かがぶつかる大きな音やらが聞こえてきた。
多分あにきかほとけ…いや、もしかしたら2人共捕まったかもしれない。
ないこが爆弾でも使用してくれれば場所が分かりやすいんやけどな。
さすがにそこまで考えなしではないらしい。
まぁでも、うまくいけばここに身を潜めていれば1時間やり過ごせることもあるかもしれない。
こっちは時計すら持たされていなくて時間の感覚すら怪しいけれど、恐らくタイムリミットまでは後20分ほどだろう。
仮に見つかったとしてもこの広い屋上ならどうとでも逃げられる。
塔屋の陰に身を潜めていたけれど、今のところここへ誰かが近寄る気配もない。
たまに身を乗り出して校舎の下や外を確認する。
このままなら見つからずにすみそうだ。
「楽勝やん」思わず小さく呟いた時、ゴリ、と後頭部に何かが押し当てられる感覚が伝わった。
「何が楽勝だって?」
「!!?」
楽しそうに弾ませた声に、驚いて後ろを振り返る。
足音にも、気配にすら気づかなかった。
いつの間にそこにいたのか、俺の後ろに立つないこはこちらに銃を向けて笑っている。
「…いつの間に…」
「ある程度探して絞れてきたら、まろの行きそうなとこは何となく分かるよ」
ベランダとか屋上とか好きじゃん、なんて続けて唇が弧を描いた。
かくれんぼじゃなくて良かったと、心底思う。
かくれんぼだったら見つかった今の時点で終わりだ。
だけどこれは鬼ごっこだろ? 実力行使をしてでも、捕まらなければいいだけの話だ。
そう思った瞬間には、ダンと地面を重く蹴ってないことの間合いを詰めた。
「おわっ」と声を上げて、こちらが振り下ろした拳をピンク色の髪が寸前で避ける。
「今本気で殴ろうとしただろ、まろ!」
「当たり前やん、本部にも報告する本気の訓練やろ? 殺したり大怪我させたりせんかったらえぇんちゃうかった?」
言った瞬間、ないこが反撃を繰り出してきた。
細くて長い足が俺の顔をめがけて振り上げられる。
ブンと風を切るような音。
それをしゃがんで避けて、同時にないこのもう片方の足を払った。
「…うわっ」
バランスを崩したないこの体が、前へ倒れ込みそうになる。
その肩をグッと掴むと、俺は塔屋の壁にその細い体をガンと押し付けた。
「…っ」
痛みに顔を歪めたないこが、声にならない声を上げる。
壁にその体を押し付けたまま、俺はふーっと息を吐き出した。
さて、ここからどうしようか。とりあえずないこをここに縛りつけておけばまだ逃げられる。
そう思って使える道具を探ろうと、自由な方の手でウェストポーチの中を探ろうとした。
…その時、だった。
「…、い、た…っ」
俺に押さえつけられながらも、ないこはゆるりと左手を挙げて自分の頭に持っていった。
後頭部に触れたかと思うと、それが次の瞬間には真っ赤に染まる。
レザーグローブを装着した掌にはドロリとした赤い液体が付着していて、俺は思わず目を見開いた。
「…え、ない…」
眉間の皺を濃くして痛みに耐えようとするないこを見下ろし、その名を呼びかけた声が震える。
後頭部からこんなに出血するほど強く打ち付けたつもりなんてなかった。
そう思って掴んでいた手をわずかに緩めてしまったその瞬間、目の前のないこの瞳がギラリと光ったのが分かった。
「! しま…っ」
「甘いね、まろ」
口角を持ち上げて笑んだように見えたそのピンクが、再び足を振り上げる。
膝による一撃が俺の鳩尾に炸裂し、思わず前方に崩れ落ちそうになりながら一歩退がってしまった。
その隙を見逃さず、ないこは間髪入れずに俺の首にラリアットをするように腕を叩きつけてくる。
勢いよくその場に押し倒され、床に打ち付けた背中と肩に激しい痛みが走った。
「血糊だよ、血糊。持ってて良かった」
楽しそうに言いながら、べ、と舌を出して真っ赤に染まった手をこちらに見せつけてくる。
そうして倒れた俺の上に馬乗りになって笑った。
「まろは俺に甘すぎるよ」
「うっせ」
こんなに細身なのに、手と足をふさぐようにして乗りかかられると身動きすら取れない。
本来なら担ぎ上げられるくらい軽いはずなのに。
「でも俺、さっきどこかにスタンプ落としてきちゃったんだよね」
下から見上げたないこは、そんなことを言いながらもちっとも困った様子は見せない。
それどころか嬉しそうに恍惚と笑む。
「だから、代わりにこれでいっか」
言った瞬間、ないこが体を折るようにして覆い被さってきた。
「え」と目を見開いたその時、さっきまで笑みを浮かべていた唇が自分の首元に吸い付いたことに気づく。
じゅっと音を立てたそれに、「…い…っ」と上がりかかった声を何とかこらえた。
少し歯を立てられ、きっとそこには桃色のスタンプに似た華が咲いているに違いない。
「俺らの勝ちー」
笑いながら立ち上がり、ないこは血糊で汚れていない方の手を差し出す。
盛大なため息をつきながらその手を取ると、ぐいと引っ張り上げられた。
制限時間を迎えた音が鳴った直後、全員がスタート地点に戻ってきた。
紫色のスタンプを頬につけられたあにきと、真っ赤なスタンプを10か所くらい顔に押されたほとけがそこにいる。
「…あれ、ないちゃんが持っとったスタンプってそんな形やったっけ」
目を丸くしたしょにだが、俺の首元を見てそんな言葉を口にした。
そんな天然とも取れなくはないような言葉に、ないこが後ろを向いて必死で笑いをこらえている。
「…ないこ、家帰ったら覚えとけよ」
ちっと舌打ちまじりに周りに聞こえないように囁くと、あいつはピンクの目を細めてまた楽しそうに笑った。
「えー俺何されんの? まろのえっちー」
「脳みそ湧きすぎやろ、あほか」
呆れたように返して、帰り支度を整えて歩き出した他のメンバーに続く。
それに半歩遅れてついてきながら、ないこは今度は声を上げて笑っていた。
血糊まで用意して嘘をついたこと、一瞬でも本気で心配させたことを絶対後悔させてやる。
反省して「ごめん」と言うまでしつこく攻め立ててやろうか。それこそ泣いて懇願するまで。
そんなことを思ったけれど、口にはしてないはずのそんな心の声が聞こえたのかもしれない。
ないこが隣で嬉しそうに小首を捻ってこちらを見上げてきた。
「でも結局、まろは俺のこと泣かせられないもんね、甘いから」
全て見透かしてくるようなピンク色の眼差し。
図星を言い当てられた気がして、俺は「調子に乗んな」とだけ唇を歪めて言い放った。
コメント
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ERRORが更新されるとは思っていませんでした✨ 続々と捕まる中で青さんの居場所に勘づく桃さんは流石の関係です…💕 血糊で騙そうとするのも青さんが桃さんを大切しているところをついていて…それにスタンプの代わりにそんなものつけちゃって…、!!キュンとしちゃいますっ😖💞 本日も元気が出てしまいました…明日も頑張れそうですっ、投稿ありがとうございました!!