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ゆ め ⑅
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り お .
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#星のつぶ
星空きらら
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第三話
君が隠していたこと
──────────
yaから連絡が来なくなって 、 三日が経った 。
最初のうちは 、 仕方がないと思っていた 。
忙しいと言っていたのだから 、
連絡ができない日だってある 。
そう自分に言い聞かせていた 。
けれど 、
jp「 … 今日も来てない 」
スマホの画面を見つめ 、 jpは小さく呟いた 。
最後に送ったメッセージには 、 既読がついている 。
jp『 また時間できたら遊ぼうね ! 』
それに対する返事はまだない 。
たった数日 。
それだけなのに 、 ひどく長く感じた 。
以前のyaなら 、 忙しくても一言くらい送ってくれた 。
ya『 今日こんなことあった ! 』
ya『 これ見て 、 めっちゃおもろい ! 』
ya『 jp 、 暇 ? 』
そんな何気ないメッセージが 、 毎日届いていた 。
今思えばあれは当たり前なんかじゃなかった 。
yaが 、 自分と話したいと思ってくれていた証拠だった 。
jp「 … 俺 、 贅沢だったのかな 」
毎日話せることも 。
隣で笑ってくれることも 。
全部 、 当たり前だと思っていた 。
失って初めて 、 その大切さに気づくなんて
遅すぎた 。
──────────
その日の夕方 。
jpは 、 偶然yaの姿を見かけた 。
jp「 … yaくん ? 」
少し離れた場所にyaが立っていた 。
誰かと話しているらしい 。
声をかけようとして 、 一歩踏み出した 。
けれど 、 その足はすぐに止まった 。
_「 … jpさんとは最近どうなん ? 」
聞こえてきたのは自分の名前だった 。
jpは思わず物陰に身を隠した 。
聞くつもりなんてなかった 。
ただ 、 自分の名前が聞こえたから 。
それだけだった 。
ya「 … うーん 」
yaが困ったように笑う 。
ya「 普通 、 かな 」
_「 普通 ? 」
ya「 うん 。 最近ちょっと話すようになった感じ 」
jpの胸がぎゅっと締めつけられた 。
最近ちょっと話すようになった 。
その言葉が 、 頭の中で何度も繰り返される 。
自分にとっては 、 何年も一緒に過ごしてきた
大切な相手なのに 。
yaにとっては 、 最近知り合った人と変わりないのだ 。
_「 … そっか 」
相手が何かを言った 。
けれど 、 jpの耳にはもうほとんど入ってこなかった 。
jp「 … 俺 、 帰ろ 」
小さく呟いて 、 その場を離れようとした 。
そのとき 、
ya「 … でもさ 」
yaの声が聞こえた 。
jpは足を止めた 。
ya「 … なんか変なんだよね 」
_「 何が ? 」
ya「 jpさんといるとさ 」
ya「 知らないはずなのに懐かしい感じがするんだ 」
jpは息を止めた 。
ya「 初めて聞く話なのに前にも聞いたことがある気がしたり … 」
ya「 一緒に笑ってるとなんか安心するんだよね 」
yaは少し困ったように笑った 。
ya「 でも 、 思い出そうとすると何も出てこないんだ 」
沈黙 。
ya「 … だから 、 ちょっと怖い 」
その言葉を聞いた瞬間 、 jpは動けなくなった 。
怖い 。
yaも怖かったのだ 。
自分と同じように何かを失っていることが 。
何も知らないまま知らない感情だけが残っていることが 。
_「 … そっか 」
相手の声が聞こえた 。
_「 無理に思い出そうとしなくてもいいんじゃない ? 」
ya「 … うん 。 そうだよね 」
yaは少しだけ笑った 。
ya「 ありがと 」
その会話を最後まで聞かず 、 jpはその場を離れた 。
胸の奥がぐちゃぐちゃだった 。
嬉しかった 。
yaの中に自分との時間が少しでも残っているのなら 。
それだけで嬉しかった 。
でも 、 同時に怖かった 。
もしyaが思い出したら自分のことをどう思うんだろう 。
以前のように笑ってくれるのだろうか 。
それとも 、
忘れていたほうがよかったと思われるのだろうか 。
jp「 … 俺 、 何考えてんだろ 」
答えは出なかった 。
──────────
その夜 。
jpはどうしても眠れなかった 。
何度もスマホを手に取っては置く 。
yaに連絡したい 。
声が聞きたい 。
会いたい 。
でも迷惑かもしれない 。
そう考えるたび 、 指が止まった 。
jp「 … 一回だけ 」
小さく呟いてメッセージを打った 。
jp『 ya 、 元気 ? 』
たったそれだけ 。
送信ボタンを押したあと 、 jpはスマホを伏せた 。
返事を待つのが怖かった 。
既読がつくのも 。
返事が来ないのも 。
以前のような返事が来ないのも 。
全部怖かった 。
それでもしばらくしてスマホが震えた 。
慌てて画面を見る 。
ya『 元気だよ ! jpは ? 』
その一言に 、 思わず息が漏れた 。
よかった 。
嫌われているわけじゃない 。
まだ話せる 。
jp『 俺も元気 ! 最近忙しい ? 』
送信 。
すぐに返事が来た 。
ya『 うん 、 ちょっとね 』
それだけだった 。
以前なら 、 きっとそのあとに続きがあった 。
何が忙しいのか 。
今日は何をしていたのか 。
そんな話を 、 何時間も続けていた 。
けれど 、 今は違う 。
会話が続かない 。
jp「 … そっか 」
jpはスマホを見つめた 。
もう少し話したい 。
でも 、 何を聞けばいいのかわからない 。
何を話せば以前のように笑ってくれるのかわからない 。
まるで 、 好きな人と初めて会話をするみたいだった 。
いや 、 初めてよりもずっと苦しかった 。
自分はyaのことを知っている 。
好きなものも 、 苦手なものも 、
嬉しいときの顔も 、 悲しいときの声も 。
全部知っているはずなのに 、
今のyaが何を考えているのかだけはわからなかった 。
──────────
数日後 。
jpはyaに会いに行くことにした 。
突然会いに行ったら困らせてしまうかもしれない 。
それでも 、 もう我慢できなかった 。
一目だけでいい 。
元気な顔が見たい 。
そう思っていた 。
待ち合わせ場所に着くと 、 yaはすでに来ていた 。
ya「 あ 、 jp ! 」
その声を聞いただけで胸が熱くなる 。
jp「 ごめん 、 待った ? 」
ya「 ううん ! 今来たとこ ! 」
yaは笑った 。
二人で並んで歩き始める 。
最初は他愛もない話をしていた 。
最近見た動画のこと 。
ゲームのこと 。
いつもと変わらない会話 。
けれど 、 jpは気づいていた 。
yaがときどき何かを言いかけていることに 。
jp「 … yaくん ? 」
ya「 え ? 」
jp「 何か言いたいことある ? 」
yaは少し驚いた顔をした 。
ya「 … なんでわかったの ? 」
jp「 なんとなく 」
本当はわかっていた 。
yaが何かを隠しているときの癖 。
言いにくいことがあると 、 少しだけ視線を逸らす 。
昔からそうだった 。
ya「 … 俺さ 」
yaは足を止めた 。
ya「 jpに聞きたいことがあるんだ 」
jp「 … うん 。 何 ? 」
yaはしばらく黙っていた 。
そして 、 ゆっくりと口を開いた 。
ya「 … 俺たちって昔どんな関係だったの ? 」
jpの心臓が大きく跳ねた 。
jp「 … え ? 」
ya「 写真を見せてもらったときからずっと気になってて 」
yaは自分の手を見つめた 。
ya「 俺あんなに楽しそうに笑ってるのに 、 」
ya「 何も思い出せないんだよね 」
jp「 … うん 」
ya「 でもjpは俺とのこといっぱい覚えてるでしょ ? 」
jpはゆっくり頷いた 。
jp「 … うん 。 いっぱい覚えてるよ 」
ya「 … そっか 」
yaは少しだけ笑った 。
ya「 ねぇ 、 教えてよ 」
その目がまっすぐにjpを見つめる 。
ya「 俺たち 、 どんなふうに仲良くなったの ? 」
jpはすぐには答えられなかった 。
話したいことならいくらでもあった 。
初めて一緒に遊んだ日のこと 。
何でもないことで笑い転げたこと 。
落ち込んでいた自分をyaが励ましてくれたこと 。
そして 、
二人で交わしたあの約束 。
ずっと一緒にいよう 。
何があっても離れないでいよう 。
忘れないでいよう 。
全部話したかった 。
けれど 、
jp「 … 俺たちは 」
声が震えた 。
jp「 … すごく 、 仲良かったよ 」
yaは黙って聞いていた 。
jp「 毎日のように話してたし 、 一緒に遊んでた 」
jp「 何でもないことでも二人で笑ってた 」
ya「 … うん 」
jp「 yaが落ち込んでるときには俺が話を聞いたし … 」
jp「 俺が落ち込んでるときはyaがそばにいてくれた 」
言葉にするたび胸が苦しくなった 。
こんなにも大切な時間だったのに 、
今は自分しか覚えていない 。
jp「 … 俺にとっては 、 すごく大切な人だったよ 」
最後の言葉はほとんど囁きだった 。
yaは何も言わなかった 。
ただ 、 じっとjpを見つめていた 。
ya「 … そっか 」
しばらくして 、 yaが呟いた 。
ya「 … 俺 、 そんなに大切にされてたんだね 」
jpは首を横に振った 。
jp「 … 違うよ 」
ya「 え ? 」
jp「 大切にされてたのは俺のほう 」
yaは驚いたように目を見開いた 。
jpは笑おうとした 。
けれど 、 うまく笑えなかった 。
jp「 … だからさ 」
声が震える 。
jp「 … お願いがあるんだ 」
yaは静かに頷いた 。
ya「 … 何 ? 」
jpはyaを見つめた 。
jp「 … また俺と仲良くしてくれない ? 」
言ってしまった 。
ずっと言いたかったこと 。
jp「 前みたいに全部思い出せなくてもいい 」
jp「 俺のことを忘れてても仕方ないってわかってる 」
それでも 。
jp「 … もう一回俺と仲良くなってほしい 」
yaは驚いた顔をしていた 。
jpは俯いた 。
jp「 … ごめん 。 こんなこと言われても困るよね 」
ya「 … 違うよ 」
yaが小さく呟いた 。
ya「 … 困ってない 」
jpは顔を上げた 。
yaは少しだけ寂しそうに笑っていた 。
ya「 … 俺もjpといると楽しいよ 」
ya「 だから 、 これからも一緒に遊ぼう ? 」
その言葉を聞いて 、 jpはようやく笑えた 。
jp「 … うん 」
嬉しかった 。
また一緒にいられる 。
また笑い合える 。
それだけで十分なはずだった 。
なのに 、
ya「 … あ 、 そうだ 」
yaがふと思い出したように口を開いた 。
ya「 俺 、 もう一つ聞きたいことがあるんだけど 」
jp「 … 何 ? 」
yaは少しだけ迷ってから言った 。
ya「 … 俺たちって何か約束してた ? 」
jpの笑顔が止まった 。
jp「 … え ? 」
ya「 なんかね 、 最近変な夢を見るんだ 」
yaは自分の手を見つめた 。
ya「 誰かと指切りしてる夢 」
jp「 … っ 」
ya「 相手の顔はよく見えないんだけど … 」
yaは困ったように笑った 。
ya「 … すごく大切な約束だった気がするんだ 」
jpは何も言えなかった 。
指切り 。
ずっと一緒にいよう 。
あの日二人で交わした約束 。
忘れたはずの記憶が夢の中に残っているのだろうか 。
ya「 … jp ? 」
yaが不思議そうに顔を覗き込む 。
ya「 … 何か知ってるの ? 」
jpは唇を噛んだ 。
教えたい 。
今すぐ全部教えたい 。
あの約束は 、 俺たちのものだったんだって 。
でももし教えてしまったら 、
yaはどう思うのだろう 。
自分が忘れてしまったことを責めるのだろうか 。
思い出せない自分を嫌いになるだろうか 。
それとも 、
jp「 … ごめん 」
jpはゆっくりと首を横に振った 。
jp「 … わからない 」
嘘だった 。
全部覚えている 。
一語一句忘れてなんかいない 。
それでも今は言えなかった 。
ya「 … そっか 」
yaは少し残念そうに笑った 。
ya「 ごめんね 、 変なこと聞いて 」
jp「 … ううん 」
jpは拳を握りしめた 。
jp「 … 気にしないで 」
その言葉を口にした瞬間 、 胸の奥が痛んだ 。
yaはまだ何かを隠している 。
そして自分もまた 、
yaに言えないことを抱えてしまった 。
──────────
帰宅後 。
jpは引き出しの奥から一枚の写真を取り出した 。
二人で指切りをしている写真 。
yaが嬉しそうに笑っている 。
その隣で自分も笑っていた 。
写真の裏には二人で書いた文字が残っている 。
『 ずっと一緒 ! 約束 』
jp「 … ya 」
jpは写真を見つめた 。
jp「 … 思い出してよ 」
声が震えた 。
jp「 … お願いだから思い出して 」
もう一度あの頃に戻りたかった 。
何も怖くなかった頃に 。
当たり前のように隣にいてくれた頃に 。
そして 、 二人で同じ約束を信じていたことに 。
jp「 … 俺 、 まだ待ってるから 」
写真を胸に抱きしめる 。
jp「 … ずっと待ってるから 」
そのとき 、
スマホが震えた 。
yaからのメッセージだった 。
ya『 今日はありがとう ! また遊ぼうね ! 』
jpは何度もその文章を読み返した 。
そして 、 ゆっくりと返信した 。
jp『 うん ! また遊ぼうね ! 』
送信ボタンを押す 。
少しだけ安心した 。
まだ 、 繋がっている 。
まだ 、 終わっていない 。
そう思いたかった 。
──────────
yaもまた 、 一人でスマホを見つめていた 。
画面にはjpとのやり取り 。
そして 、 机の上には一枚の古い写真 。
jpが持っていたものとは別の写真だった 。
写真の中で二人は笑っている 。
その裏にはかすれた文字が残っていた 。
『 もし忘れても 、 嫌いにならないでね 』
yaはその文字を指先でなぞった 。
ya「 … 俺 、 何を忘れちゃったんだろう 」
誰にも聞こえない声で呟く 。
そして 、 写真を裏返した 。
その目には 、 涙が浮かんでいた 。
──────────
第三話
完
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第四話 ― 消えてしまった記憶