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もしも、学校の転校生が「世界を創った神様」だったら?
最強。
無敵。
――けれど、その肌には「呪い」の刻印。
幾何学模様が光る時、二人の「最強」が暴れ出す、 最強兄妹の学園ファンタジー。
――2作目の連載、スタートです。💐
読み進めて不快に思った方は自衛お願いします。🤳🏻🪖
『エテルノの双響 〜最強兄妹は、痛みを抱いて学園に通う〜』
第1章:最強兄妹の来訪
魔法学院の朝は、ひどく騒がしい。
行き交う生徒たちの無邪気な笑い声、廊下のあちこちでパチパチと弾ける初歩的な火花。そんな「人間」の営みを、ゼイル・エテルノは少し眩しそうに目を細めて眺めていた。
「……ねえ、ゼル。この校舎の術式、あちこち綻びが見えます。少し、歩きにくいですね」
隣を歩く妹、ゼシアが静かに呟く。
彼女は周囲の好奇の視線を一切気に留めず、凛とした足取りで廊下を進む。黒地に金の刺繍が施された制服の袖口を、少しだけ窮屈そうに直しながら。
「はは、そうだね。でも、それが彼らなりの精一杯なんだ。あまり厳しいことを言わないでおくれよ、ゼシア。僕たちは今日から、ここの『生徒』なんだから」
ゼイルは王子様のような柔らかな微笑みを浮かべ、すれ違う女子生徒たちに軽く会釈をする。それだけで廊下に黄色い悲鳴が上がったが、彼は慣れた手つきで右腕をさすった。
制服の厚い生地の下。
彼の右腕には、血管をなぞるようにエメラルドグリーンの直線と正方形が組み合わさった紋様――「呪印」が刻まれている。
学院の門をくぐり、この世界の希薄な魔力に触れた瞬間から、肌に描かれたグリッド線がジリジリと嫌な熱を帯び始めていた。
(……ああ、やっぱり熱いな。回路が過負荷を起こしているみたいだ)
不意に、焼けた鉄を押し当てられたような「熱」が右腕を走る。
ゼイルの眉が、ほんの一瞬だけ苦痛に歪んだ。
「ゼル、またですか?」
ゼシアが足を止め、心配そうに兄を見上げる。彼女の瞳もまた、微かに紫色の光を帯びていた。
「大丈夫だよ。少し、この世界の風が僕を歓迎しすぎているみたいだ。……君の方は?」
「……ええ。私も、少しだけ。手首のブロックがピリピリと……、落ち着きません」
彼女の左手首にも、服の下で紫電の四角形が脈打っているはずだ。
もとは一つの神だった存在が、二人に分かたれた際の「魂の断面」。それがこの無機質な幾何学模様の正体であり、彼らが魔法を使うたびに支払わなければならない代償。
二人は、自分たちが創ったこの箱庭で、ただ静かに「人間」を観察したかった。だが、世界はそれを許さない。
「おい、そこの転校生! 随分と余裕しゃくしゃくじゃねえか」
行く手を阻むように、数人の上級生が立ち塞がった。
中心にいるのは、この学院で「天才」と持て囃されている貴族の嫡男だ。指先にバチバチと下品な火球を灯らせ、ゼイルを威嚇する。
「エテルノなんて聞いたこともない家名だな。どこの田舎の没落貴族だ? 跪いて謝るなら、その生意気な顔に傷をつけずに済ませてやるよ!」
周囲の生徒たちが息を呑む。
しかし、ゼイルは困ったように首を傾げるだけだった。
「没落、か。……まあ、あながち間違いじゃないかもしれないね。僕たちの家は、もうずいぶん前に『終わった』はずだから」
「ふん、減らず口を! 」
上級生が、溜め込んだ火球を至近距離から放とうとした、その瞬間。
ゼイルの右腕に、鮮烈なエメラルドの直線が走った。
「……あまり、僕の妹の前で騒がないでくれるかな。風が、汚れてしまうから」
ゼイルが指先を軽く、優雅に一振りした。
刹那――廊下に、物理法則を無視した「絶対的な暴風」が吹き荒れた。
轟音。
上級生たちの体は、まるで紙屑のように一瞬で後方の壁まで吹き飛ばされ、そのまま空間に貼り付けられたかのように動かなくなる。
「が、はっ……な、なんだ、この魔法は……!」
「魔法? ……いや、これはただの『整理』だよ。散らかったゴミを、隅に寄せただけさ」
ゼイルが微笑む。だがその肌には、すでに正方形が4つ並んだ緑の紋様が浮かび上がり、デジタル回路のように不気味な明滅を繰り返していた。
「っ……あ、っつ……! 」
ゼイルが短く息を漏らし、右腕を押さえる。
風を編むほどに、幾何学的なラインが肉体を焼く。
「ゼル、やりすぎです。……ほら、私の左手も痺れてきました」
ゼシアが歩み寄り、ゼイルの右手に自分の左手を重ねる。
紫の雷と、緑の風。
二つの属性が混ざり合った瞬間、荒れ狂っていた気流がピタリと止まり、デジタルな紋様は静かに肌の下へと沈んでいった。
「……ふぅ。ありがとう、ゼシア。助かったよ」
「いいえ。……ですが、これでは目立ちすぎましたね」
二人は何事もなかったかのように、呆然とする生徒たちの間を通り抜けていく。
「おい、今の見たか……? 魔法陣もなしに、あんな風を……」
「エテルノ……何者なんだよ、あいつら……」
ざわめく廊下。
その光景を、物誤からじっと見つめる女性がいた。白衣を纏ったメアリ先生は、手元の魔導端末に表示された「測定不能」の文字を見て、顔を青ざめさせていた。
「……エテルノ。世界を創った、失われた神の氏族……まさか、本当に」
その呟きは、誰に届くこともなく喧騒に消えた。
最強の兄妹の、あまりに「普通」を目指した学園生活が、今、最悪の形で幕を開けた。
記録官Xから観測者の皆様へ贈る、二つ目の作品です。一話目は少し問題があり途中で終わってしまいましたが、今作はきっとおわらない…はず、です。本作は全20章での完結を見据えて執筆しています。最後まで失速せずに一日一章で駆け抜ける予定ですので、お付き合いいただけると嬉しいです。それでは、また次回に。🍁
ついでに
私の作品に出てくる主人公的な人(男)が同じような性格なのは私の好みです。
あと、魔法を使うと腕に痛みが走るのは完全に私の癖です。許してくださいませ。()