テラーノベル
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エレベーターを降り、立ち止まった。
きっと今、みんながいる部屋の扉の前にいるのだろう。
柔「今ドアの前だよ」
勇『やばい…超緊張してる..』
柔「大丈夫だって笑…きっと…大丈夫。じゃあ入るよ」
小さく頷けば、柔太朗が扉を開けた。
今の俺には、みんながどこに座っていて、どんな服装で、どんな表情なのか分からない。
底知れぬ不安を持つも、心配かけまいと笑顔でいた。
柔「みんなおはー」
舜「おはy…えぇ!?」
太「え…?はや,,と…?え、ねぇちょっと待って…」
仁「…!?」
勇『みんなおはよう!久しぶり!』
そう言うと、一人俺の方へ歩いてくる気配がした。
それが誰なのか、直ぐにわかった。
視線もあっているか分からない、どの距離感にいるのかもわからない
探り探りで手を伸ばして、頭に触れた。
あぁやっぱり、仁人か…笑
そしてそのまま顔に優しく触れると、頬が濡れていた。
勇『何泣いてんの笑』
仁「だって…っ___勇斗、、それ___目…っ___」
勇『うん。見えてないよ。』
そう答えるとその場で仁人は悲嘆に暮れた。
自分を追い詰めるように、哀傷めいた声が聞こえた。
あぁ、ほらやっぱり。
自分を追い詰めてると思ったわ、、
苦しい思いさせてたな…
勇『あ〜あ、泣かない泣かない。ほら、おいで』
仁「___っ,,.ごめ…っ,,___はやと…ごめ,,__っ,,」
勇『大丈夫、大丈夫。苦しかったな。俺もごめん。大丈夫だからもうそんな追い詰めんな、』
しばらく仁人は俺の腕の中で泣いた。
啜り泣きが治まってきた頃、仁人の顔をすくい上げ親指で涙を拭った。
勇『落ち着いた?』
仁「うん…ごめん、勇斗、」
勇『大丈夫だって…笑とりあえず、椅子座っていい?』
仁「あぁ…うん、はい、、ここにある」
勇『さんきゅ。柔もありがと』
柔「全然。」
勇『とりあえず一段落ついたことだし、質問ある人ー?』
舜「いやいや、ありまくりやろ…」
勇『はいじゃあそんな舜太から』
舜「普通に驚いてんねんけど、ほんまに目みえてないん?」
勇『全くってわけじゃないよ。顔に近づけたら見えるかなくらい。色とかだったら細かく無ければ』
舜「そっか…」
勇『はい次ー』
太「はい」
勇『はい、太智!』
太「柔太朗は知ってたの?」
勇『おー!良い質問だねぇ!知ってたよ。それこそ病院ついて行ってくれたからね。ちなみに、その後はずっと柔太朗の家にいたよ』
舜「えー!?なんで連絡くれなかったん!柔ちゃんも言ってや…」
柔「まあまあ、勇斗の気持ちを優先してよ?」
太「マジで心配した」
勇『てかお前ら忘れてね?俺見えないから。大変なんだよメッセージって』
舜「あー…」
勇『じゃあ順番的に、、最後仁人!』
仁「…俺の事嫌いになった…?」
勇『笑笑笑まぁたそんなん言って…笑仁人おいで』
そう言って声のする方へ小さく手招き、手を伸ばした。
仁人が俺の手をとったのがわかると、そのまま引き寄せた。
勇『嫌いになってないよ。でも許してもない。俺の目が見えなくなったのは仁人のせい。』
俺は"許す"なんて言わなかった。
きっと仁人はそんな答えを望んではいないと思ったから
仁人は俺の視力を奪った枷を
俺はこれから仁人の罪を弱みとして利用して恋心を縛る枷を
それでいいと思った。
仁「___っ,,」
勇『でもね仁人、だからって自分を責めることはなし。目が見えなくても、耳は聞こえてんだから。なんかね、視覚がなくなったからなのか、今までよりも仁人の歌声がちょー響くの。』
仁「ごめん…」
勇『だからもうごめんはなし。はい、もう1回,,仲直りのハグしよ』
そして再び互いを抱き締めた。
仁「俺ね、勇斗のこと好きだった」
勇『うん。柔太朗から聞いた。俺もね仁人のこと好きだったよ』
仁「…ごめん、うそ、、ほんとは,,今も好き…でも、俺なんかが勇斗のそばにいちゃいけないから,,」
勇『なんで?』
仁「だって…実際やったの俺だし…。」
勇『でもあの時先に手出したの俺だし、事の発端は俺だよ』
仁「でも…」
勇『…じゃあさ、仁人が俺の目になってよ。』
仁「え…?」
勇『俺が見えない分、仁人が見たものを俺に教えて?』
仁「どうやって…?」
勇『ねぇ、柔〜?俺仁人と一緒に住んでいい?』
柔「いいよ笑」
勇『ってことだから、お前と住むわ』
仁「え?…わ、わかった。」
勇「言っとくけど大変だぞ?まぁ俺も大変だけど、配置覚えなきゃいけねぇし」
仁「勇斗はいいの?」
勇『え?なんで、いいに決まってんじゃん。好きな人と住むって、ほぼ同棲してるようなもんでしょ』
仁「それはお互い様…笑」
勇『舜太と太智も一回来てー。ハグしよー』
そうして一人一人抱きしめた。
やっぱ誰が誰だかわかんだよなぁ笑
こんだけ一緒にいればそりゃわかるか…笑
勇『舜太細すぎ!また痩せたんじゃねぇの?笑』
舜「痩せた笑これでもちゃんと食べてるんよ?笑」
勇『こうして見ると、太智の安心感半端ないわ笑』
太「笑笑笑」
勇『よし、じゃあみんなで飯食おう!』
舜「いいねぇ!!」
柔「1番面倒かかるやつが言うんかい笑」
太「え、ちょっ…笑」
勇『大丈夫、大丈夫笑一緒に住んでた時大体いつもこんな感じだから笑全然いじっていいから笑』
柔「そうそう笑」
勇『じゃあ仁人、』
仁「ん?」
勇『さっそくなんだけど、俺今日白杖持ってないから、腕こうやって?』
仁「はい」
勇『よし、なるべくいつもよりはゆっくりめで歩いてくれると助かる』
仁「わ、わかった。」
勇『じゃあ行くぞー!!!』
舜「いつもの勇ちゃんやね笑」
太「中身は変わってへん笑安心!笑」
柔「う〜ん…結婚式かな?笑」
太「笑確かに!」
勇『聞こえてるからなー笑』
柔「笑笑笑」
エレベーターを降りて、それぞれの車で向かった。
勇『M!LKかけていい?』
仁「あぁいいよ…って俺がやんのか」
勇『そう笑これからこう言うの多いよ?大丈夫?』
仁「いいよ。俺があなたの目になるんでしょ?これで許されるとは思ってないけど、勇斗の為ならなんでもするよ。どこまでも一緒にいる。」
勇『死ぬ時も?』
仁「うん。死ぬ時も一緒」
勇『じゃあ一生俺ら離れられないね笑』
仁「それでいいよ」
end.
コメント
6件
感動しました😭 毎回、どの作品も凄いですね👏 私には書けないです💦 プレッシャーを与えるかもしれませんが、これからも楽しみにしてますね。
白さんの作品本当に大好きです、 今回のも切ないですがハピエンで良かったです😭❤