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#願いを叶える
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主が意識を手放すと、ミヤジと後輩は主を抱き締めながら眠りにつこうという時、ミヤジは主に優しく独り言を言った。
「…主様、どんなに辛くても それは必ず過ぎ去っていく、 生きてさえいればね。」
翌朝─
主はミヤジの声で目が覚めた。
「おはよう、主様。気分はいかがかな?結城君もおはよう。2人とも支度が出来たら食堂へ行こうか。」
主と後輩は服を着替え、ミヤジと一緒に食堂へ向かいロノの作った朝食を食べていた。
「ロノが作るご飯は、いつも美味しいし栄養も考えられてて朝から幸せだよ♪」
「…ふふ、◯◯さん、前に俺がいつも美味しそうなお弁当ですねって言った時、執事さん達の事が言えなかったのか誤魔化していましたよね♪」
後輩はそう言いながら、笑い出した。主は図星を突かれ、2人して笑いながら美味しい朝食を食べて仕事に向かう準備をした。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
ハウレスが挨拶をすると、主と後輩も行ってきますと言い、主の世界へと向かった。
「ふぅ…行ってしまった、か。毎回笑顔でお見送りはするがやはり、寂しい瞬間だな。 だが弱音を吐いているヒマはない。
執事のリーダとして、もっとしっかりしないとな。 他のみんなも、主様が帰って気が抜けてないだろうか?」
ハウレスは仕事モードになり、屋敷の設備管理やロノとバスティンの稽古をつけに行く事にした。
†††
主と後輩はロノが作ってくれたお弁当を持って、それぞれの車に乗り職場に向かって行った。
そして2人は時間をずらして医局に行き自身のデスクに着くと、主の同僚は1週間の謹慎処分を終え出勤していた。
周囲のざわつきは当の本人も気分が悪いらしく、苛ついているようだった。主の同僚が主と後輩を見た途端、睨みつけながら歩みを主と後輩に向けた。
「お前ら何で、」
後輩は殴り掛かりそうな勢いで怒鳴ってきた主の同僚から庇うように、主の1歩前へ立った。
「こうなってしまったのは身から出た錆でしょう?貴方の場合、火のないところに煙は立たないとも言いますか…」
後輩は淡々と冷静にいさめた。
普段の愛嬌のある親しみやすそうな感じとは打って変わって、前にショッピングモールで会った時のような冷たい視線を送っていた。
主は後輩が両親の話をしていた時と同じ顔をしている事に気が付いていた。 後輩は何処か悲しくてやりきれないような、嫌なものをみるような顔をしていた。
「…殴りますか?そんな事したらどうなるかなんてご自身で分かっているはずでしょうし、聡明な先輩ならきっと何もせず仕事することを選ぶでしょうね。」
後輩の皮肉たっぷりの言葉に何も言えず後輩の言葉通りに自身のデスクに座り仕事の準備をし始めた。
†††
午前中の診療時間も終わりお昼休憩にそれぞれが入った頃、主と後輩はロノが作ってくれたお弁当を堪能していた。
後輩はずっとコンビニやスーパーなどのお惣菜が多かったのもあって、わざわざ買ってきたようなお弁当箱に入ったお弁当はとても嬉しかったようだった。
(…温かいな、こういうのって。誰かが居るって良いもんだな。)
後輩は涙が出そうになるのを抑え、お弁当を掻き込みお手洗いに駆け込んだ。それを見た主は心配になり急いで残りのお弁当を食べた。
後輩は誰にもバレないように普段誰も使わないお手洗いに駆け込んだ。そして、声を抑えながら1人で涙を流していた。
すると、主も追い付いて来たのだろう後輩が入ったお手洗いの入口付近に立ち後輩に話し掛けた。
「どうしたの?…急にどっか行っちゃうんだもん、心配になって来ちゃった。」
後輩は涙を拭い、お弁当を食べながら感じていた事を話し出した。
「お弁当食べてたら温かいな〜って思ったんです。誰かがいるって良いもんだな〜って思ったんです。
俺…今までずっと1人だったから、嬉しくて誰かとこうして幸せを分かち合えるような関係ってなかったから…」
後輩は父親の自⚫︎、母親の獄中⚫︎、兄弟が居ない事で、心から誰かに頼る事も甘える事も出来ずにずっと孤独を感じていたのだろうと主は思った。
「大丈夫だよ…もう結城君は1人じゃないから。私達が居るから。だからミヤジの言葉が嬉しかったんだよね。」
後輩は2人しか居ない事を確認した後、主の胸の中で思いっきり泣いたのだった。
今まで誰にも頼れず、ずっと虚勢を張って生きて来なければ生きていけない状況にあったのにも関わらず、生きてくれた事に主はありがとうと言ったのだった。
「今までたくさん頑張ったね。もう頑張らなくても大丈夫だから…産まれてきてくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう。私と出会ってくれてありがとう。 」
主は後輩の背中を擦りながらずっと側についていた。
午後の入院患者さんの回診の前─
「…ありがとうございます。」
後輩は少し視線を逸らしながら言ったその時には、いつもの後輩の雰囲気に戻っていた。 少しだけ違ったのは、1人じゃないという安心感が後輩の心に生まれた事だった。
自身の事を見付けてくれた主に感謝と愛情をしっかりと感じて、心の内がとても温かくなるのだった。
(1人じゃないのってこんなに心がぽかぽかするんだ、知らなかったな。)
「回診は行けそう?私、こっちだからじゃぁまたね。」
「あ…あの、今は1人にはさせられなくて、一緒に回診行きませんか?時間はかかりますけど…」
主は同僚の事もあって心配してくれているのかな、と思い後輩の提案をのむ事にした。後輩は別の意味で誘ったのだが筋が通ったので良しとしたのだった。
「これでもう…終わりかな。」
主と後輩は時間は少しかかったが、2人分の入院患者さんの回診は終わった。
「ちょっとお手洗い行ってくるね。もう医局もすぐそこだし、大丈夫だよ。結城君は先に戻ってて。」
後輩は流石にお手洗いまではついて行けないと思い、すぐに来る事を願い後ろ髪を引かれながら医局へ行った。
主は用を済ませ手を洗い、白衣のポケットからハンカチを取り出し拭きながら医局に向かおうとすると、待ち伏せをしていた同僚に話し掛けられた。
「◯◯…お前ら回診もずっと2人で居るから◯◯だけになるのどれだけ待ったか。結城のやつ俺の事かなり警戒してんだな…
でも詰めが甘くて助かったわ。どうせクビになるなら最後に良い思い出作らせてくれると俺としては嬉しいんだけど…?」
同僚はそう言いながら、主を壁の方まで追いやると白衣の上からゆっくりと胸元から下半身を撫で始めた。
「またあの時の声聞かせろよ…すげぇ可愛い顔で気持ち良さそうにしてたの堪んなかったんだよな。」
主は震える手で、思いっ切り同僚の頬を叩いた。パーンと誰も居ない廊下に音が響き渡り、何の音かと廊下に人が集まって来た。
「…人を凌辱してそんなに楽しい?あんたはそこまで落ちぶれたわけ?あの時のあんたはそんなんじゃなかったはずだよ。
少なくとも、ここに居る誰よりも私はあんたの事を知ってる。…私が外科から別の科に異動しようとした時の事覚えてる?
お父さんの説得を私と一緒にしてくれた事。あんたが医局の中でも腕が優秀だったから聞いてくれたんだよ?
異動させてくれないなら辞めるって言ってくれた時、嬉しかったんだから。…絶対に辞めちゃ駄目! 」
同僚は目を見開き、力なくその場に座り込んだ。主がそんな前の話を覚えてくれていた事が嬉しかった。
「…覚えてたんだな。○○はもう忘れたのかと思ってたわ。…あん時、お前ボロボロだったじゃん。 ほっとけなかったんだよ。
あーぁ…どうしよ。お前の親父マジで怖ぇんだよ。だいたい俺…ここ辞めたら行きたいとこねぇもん。」
主は同僚に手を差し伸べ、立たせると行くよと言って何処かへ向かって行った。後輩は気になって、遠目からつけて行った。
†††
主と同僚が向かって行った先は、院長室だった。そして、ノックをし相手の返事を待ちドアを開けた。
主は心臓が飛び出しそうな程に鼓動を感じていた。それもそのはず、主の父親は病院の院長だったからだ。
「なんだ…○○か。碓かそっちの君は今回の騒動の。何をしに来た?」
「お話があります。…今回の件、お咎めなしに出来ないでしょうか?確かにあの音声データの事は事実ではあります。
しかし、病院の経営としてはこの人を失うのは痛手ではありませんか?…だから前も私と一緒に外科から異動させたのではないですか?」
主は不安と恐怖で押し潰されそうになるのを耐えながら、父親であり院長に進言した。同僚は何も発する事が出来ずに居ると、院長が口を開いた。
「お前はどうしたい?辞めたいか、此処に残りたいのか。」
同僚は残りたいですと言うと、院長は少しの間があったが好きにしろと言い放った。主はこんなあっさりと収まった事に驚きはしたが何か裏であったのだろうかとも思っていた。
「あ、ありがとうございます。」
主と同僚は深々と頭を下げ、院長室を後にした。院長室の奥の扉が開き、理事長が出て来た。
「…立派な娘さんになったな。だいたいお前は娘さんに厳し過ぎる。…病気の事も話してないんだろう?」
院長はふんっと鼻であしらい、どこか物憂げな表情をした。
「…あいつには、何も言わなくて良い。」
†††
院長室から主と同僚が出て来たのを見付けて後輩は2人の元へ駆け寄った。
「あの…俺、余計な事をしちゃって…」
主は首を振り、後輩の言葉を否定した。
「この事がなかったらこいつはちゃんと反省しないし、何も変わる事は出来なかったはずだよ。ありがとう。結城君のおかげだよ。」
主が後輩に話し終えると、急に力が抜けたようでその場にへたり込んで体を震わせて動けなくなってしまっていた。
「お、おい!…俺のために頑張ってくれてありがとな。怖かったよな…◯◯、俺はお前が居ないとやっぱ駄目だ。
俺、大学生の時からずっと◯◯の事が好きだったんだよ。彼氏が居ないなら…俺と付き合ってくれよ。」
後輩は院長室から離れてはいるものの廊下でこんな話をするのはと思ったが何も言えなかったし、こんな弱気な主の同僚を見る事が初めてで戸惑ってしまった。
主は同僚からの告白を受けるとは思わなかったが、アモンとの事もあるのでキッパリと断った。 同僚は食い下がってきたが、溜め息をつきはっきりと言った。
「私、彼氏居るから無理。」
「はあ!?知らねぇよそんなん!俺の知ってる奴か?結城か?それとも前に俺の事殴った奴か?…じゃぁ、白と赤の髪の奴か?」
アモンの事だと分かる特徴を挙げられ、同僚から目を背けた。
「俺はあんな奴に負けたのかよ…おい、あいつのどこが良いんだよ?教えろ。じゃないと諦めつかねぇ。」
「…言えないよ。いつの間にか好きになってたんだもん。」
同僚は主が顔を背けながら頬を赤らめているところを見て何なんだよそれと言いながら立ち上がり、医局に向かおうとしていた。
「…何してんだよ?」
「腰抜けた…動けない。」
後輩が手を差し出す前に同僚が主の腕を自身の肩に回し、立ち上がらせると横抱きにして歩き始めた。
「ちょ、ちょっと!降ろしてよ!」
「黙って抱かれときゃ良いんだよ。…俺は◯◯の事、別の意味で抱いても良いんだけどな。」
主と後輩は呆れたような顔をし、3人は医局へと向かった。
コメント
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おお…第24話、めっちゃ良かったわ…! 後輩くんがやっと「1人じゃない」って実感できたところ、もう胸が熱くなった。 「産まれてきてくれてありがとう」って主のセリフ、刺さりすぎてもうダメ。 で、まさか同僚がまさかの告白!?しかもアモンとの恋愛要素がここで顔出すとは思わなかった。 「言えないよ。いつの間にか好きになってたんだもん」って照れる主、可愛すぎんだろ。 人間関係がどんどん動いてて、次の話が待ちきれない🔥