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観測者l!!@暑すぎて溶けた☆
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菜津/natsu
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2人は、静かに手を取りあった。
そこにはただ_互いの傷を、分け合おうなんてそんな誓いに近きものなのかもしれない。
2人は、空っぽの心を、互いの心で半分埋めた。
「生きていきましょう、絶対に」
御茶屋は、メテヲに向けそう呟いた。
2人は取り合った手を離し、気がつくと雑談に夢中になっていた。
陽も本格的に沈み、半分しか見えなくなった頃に、御茶屋は椅子から立ち上がり。
御茶屋は笑顔で、病室の前に立った。
「今日は、本当にありがとうございました…!」
そういう御茶屋は、メテヲには見せたことの無い、夏の陽のように眩しい、満面の笑顔を浮かべていた。
メテヲは、御茶屋がこちらに心を開いたことに、安心を覚える。
だって同時に、メテヲも_御茶屋に心を開いていたのだから。
「…メテヲさん!」
「メテヲさんって、ずっと洞窟にいたんですよね? 」
御茶屋は改めて、そう問いかける。
メテヲはそれに頷いた。
御茶屋は思いっきり、まるで義理の親から愛されていた茶子のように、明るく笑い、提案した。
「明日!外、歩いてみましょうよ!」
メテヲの傷が、今外を歩くのになにか不自由をもたらすことはないだろう_。
そう考えたメテヲは、それを快く承諾した。
「はは、わかった!」
メテヲはそう言って、からっと笑った。
そこにはめいっぱいの光が、まっているかのようであった。
今にも涙を流しそうであった。だがこらえて、御茶屋がこの場を去るのを待った。
___
「…茶子ちゃんが戸籍を消した…」
ヒナは何度もその仮説を反芻する。
信じられないし、受け入れられないような、嫌な考えだ。
だがルカの目は、嘘のようには到底思えなかった。
(…あんなに必死なルカ兄見たこともない。)
(…初めて…いや、そういう訳でもないけど、何年ぶりとか…だし。)
_ヒナは思考する。
(…でも、それが本当なら…どうしようもないじゃん…!)
涙を流したいし、早く見つけて、解放されたい。
さあ、と降り出した雨が屋敷と、周りに植えられた草花を叩きつける。
「…どうしたら……!!」
その時、ヒナの部屋の扉が軽く叩かれる。
「…入ってどうぞ。」
「…失礼します!」
入ってきたのは、1人の新人メイドと、菓子だった。
「…なんで菓子ちゃんまで…?」
ヒナは一緒にいる菓子に、疑問を持つ。
「お忙しいところすみませんっ!モルス財閥のめめ様から手紙を預かっております!」
「…めめ様から…ですか?」
「はいっ、封筒には…」
「“貴方が探している方について”」
「…と…。」
ヒナは、酷く驚いた。
雨音に飲み込まれそうなほどの静寂と、それにそわそわする菓子。
頭が追いつかないようであった。
「…………え?」
ヒナは掠れた声で、そう問いかけた。
_探している人…十中八九茶子だ。
茶子の何かを掴んだというのか?
「あ、ありがとう…」
ヒナはゆっくりと手紙を受け取り、手を震わせながら封筒を開く。
嫌な予感がどうしても頭をめぐる、これが良い報告でなかったらどうしよう?
折りたたまれた手紙を、開いた。
『拝啓、プサ・ユンゲス財閥妃のヒナ様。』
『突然のお手紙申し訳ございません。』
『結論から申し上げますと、貴方が探している方に会った可能性があります、ただ私の直感のようなものですので、どうか確信には変えないよう、お願い致します。』
「…会った…?」
ヒナは安堵したと同時に、疑問を覚えた。
_それを胸に、読み進める。
『私は夜、趣味として散歩に出かけるものでして、その道中で、薄緑の髪の方を助けました。』
『…ピンクのリボンのようなアクセサリーはなく、スーツ姿で、髪はショートカットです。』
『…本当にその方なのかは分かりませんが、念の為こちらに手紙をお送りしました。』
『どうか、お姉さんが見つかることを祈っております。』
それは、ヒナにとって盤面がひっくり返るものであった。
菓子も、驚いていた。
「この方…優しいんですね。」
めめとの会談より後に入ってきたメイドは、めめの優しさに感心していた。
ヒナはぼうっと、手紙を眺めた。
見つかるかもしれない_そんな希望を、掴み取ることができたのだ。
「…ルカ兄に…言わなきゃ。」
「菓子ちゃん、もしかしたらお姉ちゃん見つかるかも!」
菓子は、漢字ばかりの手紙をよく分からないといった様子で眺めていたが、それを聞き、目を輝かせた。
「ほんとう!??」
「本当本当!だからもう少しだけ!待ってて…!」
菓子は幸せそうな、無垢な笑みを浮かべた。
「うんっ!!絶対だよ!約束!」
「うん、約束。」
ヒナは菓子の近くでしゃがむと、小指を出す。菓子もそれにつられて小指を出した。
「…指切りげんまん!」
二人の間には、幸せが流れていた。
ヒナはゆっくりと立ち上がり、胸踊るような声色で言う。
「それじゃあ、ルカ兄のところ行ってくるね!」
「はいっ!菓子ちゃん、お姉さん見つかるといいね…!」
新人メイドも、菓子に笑いかけた。
___
「本当…なのか!?」
手紙を見て、ルカもひどく驚いていた。
「…菓子ちゃんのためにも、絶対見つけてやる。」
「ヒナ…本当に、本当にありがとう…!」
「…終わりが見えてくるのって、こんなに嬉しいんだな…。」
ルカは心底安心したかのように、今までの不安をこのため息にのせて全て吐き出した。
深い、ふかい息は雨音と混ざり合い、ずっと張り詰めていた心も、空間も、少しはつっかえが取れるような感覚になる。
「…めめ様に、ありがとう_って、伝えてくれないか?」
「見つかった後にも、また手紙を送ろう。」
「わかった。」
_ルカが安心する気持ちも、ヒナには痛いほど分かるものであった。
もう、茶子を探して半年が経とうとしていたからだ。