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第二章:偽りの日常
玄関の前で儀式的な行動をしようと試みた。
カラスが「今日からあなたの正式な妹ってことね、愛」と、どこか不機嫌な面持ちで言ったその時、玄関のドアが勢いよく開いた。
「カラスーっ!」
弾けるような声とともに、一人の少女が飛び込んできた。彼女はカラスに抱きつき、その明るい笑顔はゴシック調の屋敷に光を灯した。陽理だ。彼女は親友の首に腕を回して喜び、ふと視線を愛に向け、不思議そうに尋ねた。
「この子、誰なの?」
陽理の無垢な好奇心に、愛は完璧な笑顔を張り付けた。
「私の名前は黒井愛。よろしくね」。
陽理も屈託なく「私は陽理。よろしくね、愛」。と答え、愛の手を握った。愛の心には、彼女の温かさがひどく滑稽に感じられた。
「いい知らせがあるの!」
陽理はそう叫ぶと、スマホを取り出した。画面には、Zが踊るホラーナイトのプロモーション動画が表示されていた。陽理はSNS(インスタグラム)で、大阪のUSJのホラーナイトに行かないかとカラスと愛に提案した。今年のホラーナイトのテーマは『Aの唱』。不気味なメロディとZのダンスが、すでにSNSを賑わせていた。
「私、大阪に行ったことないから…」
東京から出たことのない愛は、戸惑いの表情を見せた。カラスもまた、旅行という概念自体に興味がなく、無言で陽理を見つめた。
それだけでなく、カラスはある鋭い指摘をした。「ホラーナイトは確か1月までだった? あれはハロウィーン・ホラーナイトのことよね?」
陽理「実はね!この『ホラーナイト』のZのダンスが人気過ぎて2月まで延長したんだって!」と喜んでいた!
愛「航空券はまだしてないよね?」と心配した。
陽理「大丈夫だよ!航空券はもう準備してあるから!」
陽理は気にすることなく、明るく言い放った。彼女の目には、二人の不安な顔が映っていなかった。
「ZたちがAの『唱』に合わせて踊るんだよ。私たちも似た者同士なんだから、一緒に踊ろうよ!」
陽理の無邪気な誘いに、愛は無邪気な笑顔で応じた。愛は、陽理の言葉を自分とカラスを繋ぐ架け橋だと捉え、喜びを隠さなかった。
3人は航空券を手に飛行機に乗り、東京の羽田空港から大阪の関西国際空港へと降り立った。
3人は飛行機内のテレビで、『13日』というJ.V.が出てくるホラー映画を鑑賞していたのだった。
丁度、2026年2月13日だったのだった。
大阪旅行関西国際空港に無事に着いた時、あることに陽理とカラスは驚愕していた。それはエスカレーターに乗る位置だった。ここで愛が無邪気に解説した。「確かに関東でエスカレーターに立つ時は左だよね?関西だと右なのよね!これにはまあ地域の差もあってさ、京都だけ例外で、左たちなんだけど。関東の「左立ち」は、かつて刀を左に差していた武士の慣習が関係しているという説があり、関西の「右立ち」は、特に阪急電鉄が1960年代に左側を空けるようにアナウンスしたことがきっかけで広まり、1970年の大阪万博で定着したとされてるんだって!面白いでしょ?!」と。
カラスは「…そうなの?」と真顔で言い、陽理は「ありがとう!この面白い違いがあったなんてね!さてさて、空港を出て、大阪の街並みを楽しもう!」と喜んで言った。
愛にとって、初めての大阪の街は新鮮だった。
彼女は、大阪の街並みを眺め、心の中でこれから始まる「ゲーム」を思い描いていた。
愛はカラスに近づき、姉妹としての信頼を得たと確信していた。愛にとって、カラスの雰囲気は理想の姉そのものだったからだ。しかし、愛が妹として懐けば懐くほど、カラスは愛を怪しむという不思議な姉妹関係が築かれていった。
USJへ行く前に、3人は道頓堀を訪れ、
『ライオン・ハート(獅子心王)』という店に入った。一見すると偉大かつ威厳があって近づきがたい見た目の店とは裏腹にいざ中に入ると、大阪特有の人情味溢れる雰囲気だった。
陽理の送り犬の血が入った完全ヒューマン型ミュータント特有の嗅覚過敏で、とても繊細な味を引き出す淡口醤油と昆布だしの香りが漂った人気の店で大繁盛していたからである。
カラスは「この人誰なの?」と疑い深い目でオーナーを見つめる。すると、ハイテンションでフランクなイングランド人男性のオーナーのリチャード・ライオンが「ヘイユー!君たち3人、変わってるね!大阪は初めて?!」と話しかけてきた。
陽理が「初めてです!」と答え、愛が無邪気に喜ぶ。リチャードは「たこ焼きやお好み焼き、肉じゃががおすすめさ!」と話す。陽理と愛は「ありがとう!」と感謝した。
カラスは相変わらず、疑い深い目で「あっそ」と冷たく言い放った。3人は日本食を頬張り、楽しそうに食べていた。特にカラスは、美味しそうに食べながら珍しく嬉しそうな笑顔を見せた。
食事を終え、店を出た後、陽理はスマホを取り出し、道頓堀の街並みを背景にカラスと愛と三人で自撮り写真を撮った。
近くで3人を見守ったオーナーのリチャード・ライオンは腕を組みながら、嬉しそうな表情で心の中で「3人は変わり者だけど、僕の店に初めて運んできてくれて、食事を満喫してくれて本当に嬉しいよ!しかも、素直に喜んでくれたことに感謝するよ!またいつでもおいでね!」と言った。
コメント
1件
読了しました! 今回もじわじわ来ますね……。陽理さんの無邪気な明るさが、逆に愛さんの内心の「滑稽」という感覚を際立たせていて、その温度差がすごく印象的でした。USJのホラーナイトに「Aの唱」、そして13日の金曜日……楽しい旅行の予定に不穏な空気が重なって、次の展開が気になって仕方ないです! 黒屋さんの伏線の張り方、本当に巧いなあ。
#微センシティブ