父洋はひとりぼっちの息子に友達を作ってやろうと考えた
しかしいきなり息子と同じくらいの大きさの子供の死体を与えては驚かせると思い
まずは小さな動物の死骸から始め、段階的に慣れさせていくことにした
ねずみ、ねこ、いぬ、イリオモテヤマネコ、たぬき、きつね、ニホンオオカミ……
いずれも父洋が手ずから捕獲・殺害し剥製にした自慢の品物たちである
様々な生き物の死体を相手に、唐澤貴洋は楽しそうだった
死んでさえいれば怖れることなどなにもなく、唐澤貴洋はありのままに振る舞えるのだ
これまで見たことのない息子の楽しそうな顔に感涙した父洋はいよいよ、同じくらいの年の子供の友達を作りに街へ出た
……が、途中で思い直し、しかるべき筋に頼んで自分を人形にしてもらうことにした
自分も唐澤貴洋と一緒になって遊びたいと、願ってしまった心を止めることは出来ない
そして父洋は念願かなって唐澤貴洋の初めての友達になり、唐澤貴洋は父洋人形を末永く大事にしたという