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父洋は一計を案じ、まず家中の壁という壁に五十音順を書き記した表を貼った
居間、トイレ、寝室、風呂、土蔵から屋根裏から縁の下まで唐澤貴洋の目に入るところすべてにあいうえお表を敷き詰めた
しかし生憎唐澤貴洋は生来、嫌いなこと嫌なものを視覚情報からシャットアウトする性質の持ち主であり
このような消極的かつ受動的な手段では、唐澤貴洋の知能向上にはなんら役に立たないのだった
しびれを切らした父洋はマンツーマンで唐澤貴洋に五十音を教えこむことにした
参考にしたのはパブロフの犬の実験である。耳に聞くベルの音が口腔に涎を分泌させるが如く
唐澤貴洋の身体刺激の反射としてあいうえおを直結させることを思いついたのだ
「いいか? これが【あ】だ」父洋は大きな声で「ああああ」と言いながら脱糞してみせた
父親の愉快な姿に釣られた唐澤貴洋も、一緒になって「ああああ」と言いながら脱糞をした
「違う! それじゃあ払いが逆じゃないか!!」「縦の棒は突き抜けるんだ!」「違う!!ああもうこのクズめ!!!」
父親の親身な教育指導の賜物か、以降唐澤貴洋はちゃんと間違えることなく五十音を書けるようになったという