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「……ギルバート、一つ聞きたい」
「お、珍しいっすね。公務の相談っすか?」
書類を整理していた側近のギルバートが顔を上げると、カイルはひどく真剣な面持ちで、彫像のように腕を組んだ。
「女性……いや、ソフィアのような女は何を贈られたら喜ぶのだ?」
「……は?」
ギルバートの動きが止まる。カイルは待ってましたと言わんばかりに、あらかじめ用意していたであろう「もっともらしい理屈」を滔々と並べ立てた。
「勘違いするな! 俺が想っているのは聖女だ。しかし、世継ぎができるまでは彼女と事務的な関係を円滑に維持しなくてはならん。不仲のままで義務(夜伽)を果たすのは著しく効率が悪いし、精神的な摩擦は公務にも響く。つまり、これは将来的に聖女との幸せな生活を勝ち取るための、いわば不可欠な先行投資であって――」
(そんなにソフィア様との夜を充実させたいってことだろ。……御託がなげぇんだよなぁ)
ギルバートは喉元まで出かかった本音を飲み込み、生暖かい視線を向けた。
「へぇー、先行投資っすか。それなら、宝石とかドレスよりは、夜に使う『最高級の香油』とか『着心地の良い薄い寝間着』とかの方が、殿下にとっても……その、『効率的』なんじゃないっすか?」
「なっ……! 貴様、何を破廉恥な……っ。……しかし、確かに効率の面では、理に適っている、な」
カイルが赤くなった顔を伏せ、真面目な顔で手帳に「寝間着(薄い)」とメモするのを見て、ギルバートは確信した。この主君、もう手遅れだ。