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黙々と勉強するリーゼロッテを、ルイスは静かに眺めていた。


(もしかしたら、リーゼロッテの友人に同じ名前を持つ者がいたのか? ……いや、それは無いだろう)


リーゼロッテは、まだお茶会等に出席したことはないはず。

この辺境の領地は、他の貴族領からだいぶ離れていることもあり、辺鄙な土地を好んでやって来る者など居ない。同年代の友人を作ることさえ難しいのだ。


(それに……)


知り合いの貴族は限られている。ルイスが把握している中に、その名を持つ者はいない。


ブランディーヌの所でも、誰かと会ったとは聞かなかった。屋敷で久しぶりの二人での時間を楽しく過ごしていたと、ブランディーヌ本人から直接言われたのだから。


(やはり、考えられるのは……)


リーゼロッテの動向を観察していても、以前と何ら変わりは無かった。

以前と言っても「お父様」と呼んだあの日からだが――。むしろ、それより前のリーゼロッテの方が、別人のようだ。


(成長したと言った方が良いのだろうか?)


フランツや家庭教師がいる時は、子供らしく無邪気な姿を見せた。

逆に、テオと二人で居る時は、やたらと落ち着いて見える。


(気のせいか? いや……テオと二人の時を、注意して観察してみるべきかもしれないな)



◇◇◇◇◇




ルイスが観察し始めて暫く経った。


その日、リーゼロッテとテオは屋敷の中には見当たらず、庭でお茶をしていると侍女から聞いた。


声をかけるつもりは無かった。

だが、気配を消して近付くと、テオの声が耳に入ってきてしまったのだ。


「そもそも、何故ルイスに隠す必要がある? ブランディーヌにも、ある程度は知らせていたではないか」


途切れ途切れに聞こえてくる、会話の内容の意味が理解できない。


「全て話したら……きっと、以前のリーゼロッテとは別人だと認識される気がするの」


(以前のリーゼロッテとは別人? ……どういうことだ?)


ふと眼を凝らすと、テオがリーゼロッテの頬に愛おしそうに触れていた。


(……なっ?!)


気が付いた時には――足は勝手にのリーゼロッテに向かい、背後から声をかけてしまっていた。

ふたりの視線がルイスに向く。


(後戻りは出来ない……か)


リーゼロッテがリリーだったらと仮定し、魔石と同じ色の瞳を見つめて――鎌をかけた。仕事柄、会話で相手の思惑を引き出すのには慣れている。


半信半疑だったそれは、リーゼロッテによって確信へと変わった。

つい、キツめに問い質してしまい後悔する。出してしまった言葉は、戻すことなど出来なかった。


(私は……父親としての余裕がまだ無い。未熟だな)


そんなルイスの自己嫌悪と同時に、リーゼロッテは言った。


「お父様! 騙してごめんなさいっ!」


謝罪の言葉と共に、目の前で変身したリーゼロッテ。


リリー姿になったリーゼロッテに、何を言ったらいいか分からなかった。あれ程までに会いたかった人が、まだ幼い自分の義理の娘だったのだから――。

こんな魔法が使えるのはフェンリルであるテオだと思い、騙されたという怒りの矛先はテオに向いた。


だが、そうではなかった。




誰にも聞かれたくないとのリーゼロッテの希望で、場所を変え結界を張る。


話し始めたリーゼロッテの口調は落ち着いていて、見た目は子供なのにリリーそのものだった。

しかも、想像だにしない内容。

異世界からの転生、桁外れの魔力、リーゼロッテの2度目の人生……次々に信じ難い言葉がやってくる。


ルイスは頭が混乱した。


(けれど……それら全てが本当ならば、今迄の出来事の辻褄が合う)


そして、何よりも驚かされたのは、これらの大本であるきっかけが、15歳のリーゼロッテの死である――と。


(リーゼロッテは、私を助けようと?)


15歳の女の子が、どんな思いで死を迎えたのかを知った。リーゼロッテはその辛い記憶を残したまま、必死で回避しようと奔走していたのだ。


(7年後の私は、一体何をしていた! 子供たちを守れないなんて……騎士とは名ばかりか!)


現役を退いたとはいえ、不甲斐ない自分自身に腹がたった。

そんなルイスの心を見透かしたかの様に、テオは言う。


「さて、ルイスよ。我が主人は全てを話した。次は、我々の番ではないか?」


テオの言葉に、この辺境の地について……当主ではないが、リーゼロッテには知る権利があると思った。


代々伝わる資料を見せ、子供たちには隠していた兄夫婦の死の真相を伝えた。

また、テオも自身が捕らえられた経緯を話した。プライドの高いフェンリルにとっては、あまり言いたくはなかっただろうが。


暫く考え込んでいたリーゼロッテは、大きく息を吐き、真っ直ぐにルイスを見据えて言い切った。


「私が、全てを守ってみせます」と。


(この娘は、どこまで自分を犠牲にするつもりなのか? 全く……)


呆れて、思わず笑ってしまう。


「「何を言っているのだ?」」


テオと同時に言葉が出てしまった。


(リーゼロッテを守るのは、私の役目だ。同じ苦しみを、絶対に味わわせるものか)


必ずやリーゼロッテを守ると、ルイスは密かに誓った。

転生してループ?〜転生令嬢は地味に最強なのかもしれません〜

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