この作品はいかがでしたか?
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今日、学校では運動会の話で賑わっていた。6月の上旬に校内の運動会がある、種目は全員リレーやダンス、騎馬戦や綱引きなどたくさんある。中でも学年別リレーはクラス内の代表5人が走るものだ、クラス内では誰が選手になるか言いあっている。
「俺じゃね?」
「いやお前遅いだろって笑」
「緑川とか行けるくね?」
「私は絶対遅いって!」
「私は勝原さんだと思うけど?」
「そうだよ勝原、お前50メートルバカ速かったらしいじゃん!」
「そんな、私なんて全然だよ笑」
「勝原もそうだけど赤井、お前は?」
「お前もそう思う?俺も自分だと思う笑」
「うん、調子乗んな笑」
「はぁぁ?」
クラス内での言いあいが激化してくると先生が怒った。
「皆さん静かにしてください!」
「は、はーい….」
「いいですか、皆さん。皆さんがどう騒いでも結果はもう出てるんですよ?」
「わかってますよ、でも、、、」
「では発表します」
めぐみはボーッと先生を見ていた。誠と海斗はもしかしたらという望みをかけていた。愛菜はまず自分はありえないとタカをくくっていた。
「第1走者、原本 誠君」
「え、、、」
「マジか誠!」
「お前かよー!」
誠は信じられなかった、周りの声なんて一切耳にはいらない。え、俺が?俺そんな早くないだろ絶対、ありえないって。
「すごいじゃん誠くん!」
我に返ったのはめぐみの声だ。
「え、ああ、うん。じゃなくて先生!」
「静かに!」
「うっ….」
「では続いて第2走者、勝原めぐみさん」
「あ、はい!」
「やっぱ勝原じゃん笑」
「私の分も頑張りなさいよ!」
「う、うん!」
やはりめぐみだった、そりゃそうだろう。まことはクラス全員の計測の記録を担当していたがめぐみがダントツで速かったのだから。
「マジか、お前もかよ」
「お前もって何よ、文句ある?」
「いや、別に?」
「何かあるんでしょ、なに?」
「はいはい静かに!」
先生の怒号で教室が静まりかえる。
「じゃあ第3走者、緑川さん」
「え、私?!」
といった感じで運動会の予定はどんどん決められて行った。最後に先生から運動会が6月15日であることを伝えられ、次の日から早速リレー選手の特別練習が始まるのだが、、、
その日の夜、相撲の道場にて。
「最後だぞ最後、勝原!」
「はい!」
「まわしを取れ、お前は四つに組んじまえば絶対勝てんだぞ!」
「はい!」
「んでもって佐藤、お前はまわしを取られないように頑張んだよ!」
「はい!」
めぐみは素早くまわしを取り、土俵際まで寄る。めぐみの勢いに負け佐藤が倒される。
「佐藤、回しは絶対取られるなと言ってるだろ!」
「はい、すみません!」
「ただめぐみの速度に前回より少しはついていけてる、明日だ、明日こそ勝てよ!」
「はい、ありがとうございます!」
「勝原、お前は完璧だ、ただそろそろ力だけでは通用しなくなってくる」
「はい」
「明日からは速さをあげて一つ一つの動きにキレを出していく練習をするぞ!」
「はい!」
「牧野、お前はスピードはいいが足腰がとにかく弱い、もっと稽古に励め!」
「はい!」
「来たる6月16日の全日本選手権、絶対に勝つぞ!」
「え、、」
「はい!」
「ん、どうした勝原、返事は!」
「あ、はい!」
稽古が終わり帰ろうとすると佐藤が呼び止めた。
「めぐみ、一緒に帰ろ?」
「うん、いいよ」
帰り道、いつもは途中で佐藤と別れるのだが今日は自分の家の方向までついてくる。
「なんでめぐみはあんなに相撲上手いの?」
「え、そう?」
「腕力もあるし体格もいいし反応も早くて動きも素早いし」
「そんなことないよ、真優美ちゃんだって動き早いじゃん?」
「いや、めぐみすごいじゃん。だってこの前握力計で測った時いくつだっけ、たしか両方39くらいなかった?私は26とかしかなかったのに」
「あ、うん、確かにあったけどね….笑」
「それに他にもスポーツやってたんだからすごい反応速度早いじゃん」
「そんなに早い?」
「早いよ、だって私が動こうとする前に動くんだもん」
「そっか、、、」
「どしたのめぐみ、なんか今日は元気ないよ?」
「いやさ、大会の前日運動会だから….」
「え、じゃあめっちゃ疲れた上でさらに試合やるの?!」
「うん、そういうことになるかな」
「大丈夫?」
「うん、多分大丈夫だよ笑」
笑顔で返すめぐみだったが内心大丈夫なんかではない。ただでさえ運動会をやったあとは疲れるのにリレー選手に抜擢され、挙句の果てには次の日が日本一を決める全日本選手権。本調子を出せるかと問われても答えられない、わからない。相撲は好きだし何もなければ全日本選手権なんて喜んで挑むだろう。しかし、リレー選手と普通の運動会種目じゃいくら自分の体力があったとしてもキツい。めぐみは悩みながら横にいる真優美とたわいもない話をするのだった。
ちなみになぜ引っ越してきためぐみが真優美と仲がいいのか。実は岡山には父方の実家があり道場のコーチと父親は友人関係にあった。帰る度に道場へ行かされ、稽古をしていた。真優美は小三で道場へ通い始め、めぐみと親しくなったのだ。そして今回、めぐみがちょうど岡山に引っ越してきたことでこのような状態になっている。
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