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学校鬼ごっこ

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学校鬼ごっこ

6 - 第6話 過去の日誌

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2024年10月30日

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美咲は翔太の体を抱きしめ、冷たくなっていく彼の手を握りしめていた。

夜の冷たい風が吹き抜け、校庭の静寂が二人を包んでいた。

しかし、その静けさは、これから訪れる悲しみを予感させるだけだった。

「翔太…」

美咲の声は震え、涙が止まらなかった。

逃げ切ったはずの安堵が、一瞬で絶望に変わる。

鬼ごっこから逃げることに成功したが、翔太の命がもう長くないことは、痛いほどわかっていた。

「なんで…なんでこんなことに…」

美咲は言葉にならない怒りと悲しみを抱えながら、必死に翔太を揺さぶった。

しかし、彼の体は冷たく、反応することはなかった。

「翔太…お願いだから、目を開けてよ…!」美咲の叫びは、夜の静寂に虚しく響くだけだった。

彼女は何度も何度も、彼の名前を呼び続けた。しかし、翔太は二度と目を開けることはなかった。

時間が経つにつれて、美咲は呆然としたまま、翔太の体を抱え続けた。

涙はとうに枯れ果てていたが、心の中の痛みは増すばかりだった。

なぜこんな悲劇が自分たちに起きたのか、何度も問いかけたが、答えは見つからない。

それでも、彼女には進むべき道が残されていた。

翔太の最期の言葉が、彼女の頭の中で何度も繰り返された。

「君は…逃げ延びて…絶対に…」

美咲は震える手で翔太の顔を撫で、彼の言葉を胸に刻み込んだ。

彼が望んだことを果たすためにも、彼女はこの場に留まるわけにはいかない。

「ごめんね、翔太…」

美咲は小さな声で呟き、彼の体をそっと地面に寝かせた。

彼が逃げようとした希望の光を無駄にしないために、彼女はこれから進むべき道を見つけなければならない。

美咲は立ち上がり、ゆっくりと校庭を歩き始めた。

彼女の心には、翔太との別れを受け入れる決意が固まっていた。

「絶対に…逃げ延びてみせる…」

美咲は自分に言い聞かせるように呟いた。

校庭を歩いていくと、美咲の目に異様な建物が見えてきた。

それは学校の一角に隠れるように建っている、古びた小屋だった。

小屋は今まで誰も近寄らない場所にあり、普段は誰も気に留めていなかった場所だ。

「もしかして…ここに何かが…」

美咲はその小屋に向かって歩みを進めた。

近づくにつれて、何かが違うことに気づいた。

小屋の周囲には、まるで結界のような不気味な力が漂っていた。

空気が重く、息苦しさすら感じる。

それでも、美咲は怯まず、小屋のドアに手をかけた。

扉は意外にも簡単に開き、内部には古びた木の床と、薄暗い光だけが差し込んでいた。

だが、その中心には何かがあった。

古い机の上には、一冊の古びた日記が置かれていた。

美咲は慎重にその日記を手に取り、ページを開いた。

そこには、過去にこの学校で起こった出来事や、鬼ごっこの起源が書かれていた。


「鬼ごっこは、ただの遊びではなかった。この学校には、古い契約があり、生徒たちを犠牲に捧げることで、校舎そのものが何かを保ち続けているのだ。その契約に逆らわずに逃げ延びた者は、ただ一人だけ。そして、その者はこの場所に秘密の出口を残した。」


その記述に、美咲ははっとした。

これは、翔太が言っていた「逃げ切った生徒」のことに違いない。

その生徒が見つけた出口が、どこかにあるはずだ。

「まだ…望みはある…」

美咲は心の中で決意を固めた。

その時、再び遠くから足音が聞こえた。

それは、もう一人の鬼が近づいてきている証だった。

美咲は急いで日記を抱え、小屋から飛び出した。

そして、彼女の前には、まだ終わらない戦いが待ち受けていることを感じた。

翔太のためにも、彼女はこの命がけの鬼ごっこを終わらせる方法を見つけなければならない。

次なるステップは、日記に記された「秘密の出口」を探し出すこと。

果たして美咲はこの残酷なゲームから無事に脱出できるのか――それとも、さらなる試練が待ち受けているのか。

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