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第13話 〚真実を知る夜〛
その日の夜。
澪は、実家のリビングで家族と夕食を囲んでいた。
テレビの音。
湯気の立つ料理。
いつもと変わらない光景。
……なのに。
「澪、どうしたの?」
母の声に、澪は箸を止めた。
少し迷ってから、
意を決して口を開く。
「……最近」
「誰かに、見られてる気がするの」
空気が、止まった。
父が、静かに言う。
「それは、いつからだ?」
「……前から、少しずつ」
澪は、図書室のこと、
下校中の視線、
胸騒ぎのことを、
一つずつ話した。
家族の表情が、真剣になる。
「一人で帰らないこと」
「何かあったら、すぐ言うんだ」
その言葉に、
澪は小さく頷いた。
夕食を終え、
風呂に入り、
自分の部屋に戻る。
布団に入り、
仰向けに寝転がる。
(……今日は、疲れた)
目を閉じた、その瞬間。
――ずきん。
頭に、激しい痛みが走った。
「……っ」
息が、詰まる。
視界が、暗転し――
妄想が、洪水のように流れ込む。
中二の運動会。
校庭の端。
こちらを見つめる視線。
登校する澪の後ろ姿。
曲がり角。
図書室の棚の影。
――同じ、男。
名前が、はっきりと浮かぶ。
西園寺恒一。
澪の鼓動が、早くなる。
「……っ、やだ……」
恒一の視線。
歪んだ笑み。
「澪は俺のものだ」という声。
そして――
暗い廊下。
倒れる海翔。
血。
澪は、はっと目を開けた。
「……っ、はぁ……はぁ……」
額に、冷たい汗。
(……そうだったんだ)
(私を、見ていたのは……)
恐怖と同時に、
確信が胸に落ちる。
――これは、妄想じゃない。
――予知だ。
澪は、布団の中で、
スマホを強く握った。
(……一人じゃ、無理)
えま。
しおり。
みさと。
そして――海翔。
助けを求める決意が、
静かに、固まっていく。
夜の静けさの中で、
澪は初めて、
「敵」の正体を知った。
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