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水瀬菜音
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マロン
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mako
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コメント
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うわ、この「言えるわけない…っ!」の畳み掛け、心臓に来ました……。ずっと自分を責めて「権利がない」って身を引こうとする蓮くんと、「それでも見抜きたい」って泣きながらぶつかってくる佐久間くん。お互いに気持ちを隠そうとして、でも隠しきれないもどかしさが痛いほど伝わってきました。続きが気になります。
「蓮」
少し躊躇いのある、遠慮がちな呼び掛けが聞こえた。俺の大好きな声で。
聞こえた瞬間、自分の肩がびくっと跳ねたのが分かった。
恐る恐る振り返ってみると、そこには困ったような顔の佐久間くんが立っている。
「…何か、用…?」
佐久間くんから声を掛けられたのが久し振り過ぎて、何て返したらいいのか分からなくない。
結果、他人行儀な答えになる。
それを聞いた佐久間くんは、少し悲しそうな傷付いたような顔をした。
何で、そんな顔するの?
「えっと…元気かな、って…思って」
そう言って気まずそうに視線を逸らす佐久間くん。
他の誰にも、そんな風にしたことないよね。
メンバーとしての距離すら離れてしまってる事実を突き付けられる。
こんなの目の当たりにしたくなかったなって、勝手な思いが過ぎった。
「…元気、だよ…」
「……本当、に?」
ぎこちないけど当たり障りない答えを返すと、俯いたままの佐久間くんが更に重ねて問いかけてくる。
元気なんかじゃないけど。でもそれを佐久間くんにぶつけるのは絶対違うと思ってる。
だから「元気だよ」って、もう一度返すしかなかった。
俺の答えを聞いた佐久間くんが、大きく息を吸い込んで。意を決したみたいに顔を上げた。
「元気には、見えなかった。ここ最近ずっと。だから、えっと…心配、で…」
「…そっか、ありがとう。でも、佐久間くんは俺の心配なんてしなくていいんだよ。俺は大丈夫だから」
「っ、だから! 大丈夫に見えないから心配してるんだろ…っ」
俺の言葉に、佐久間くんがじれったそうに言い返す。
本当にいいのに。
臆病者の俺は佐久間くんに心配してもらう資格なんてないんだから。
ラウールに言われたことの意味をずっと考えてて、悲劇の主人公みたいな気分に浸ってたことに気付いた。
だから、佐久間くんが側にいなくても大丈夫にならないといけない。
佐久間くんへの想いを抱えながら、俺はちゃんと1人で立たなきゃいけない。
だから、心配なんてしちゃ駄目だよ。
「…少し疲れてるだけだよ。ごめん。ちゃんとするから」
そう言って、出来るだけいつも通りに微笑んでみせる。
佐久間くんに気付かれるなんて、まだ隠しきれてない証拠だ。
ちゃんとしなきゃ。1人で立たなくちゃ。
上手く笑えたつもりだったのに、佐久間くんは更に悲しそうな顔になった。
「…何で?」
「佐久間くん? どうしたの…?」
「何で、そんな嘘吐くんだよ。元気でも大丈夫でもないのなんて、見れば分かるよ! もう俺、お前にそんな嘘吐かれるような距離になっちゃったのかよ…!!」
佐久間くんの目から、ぽろぽろと涙が溢れ始める。
まさか泣くなんて思ってなくて、びっくりし過ぎてどうしていいか分からない。
距離が近かった時は涙を拭いてあげたり肩を抱いたりしていたけど、今の俺にそんなこと出来ない。
「俺の前で無理させたくないって思ってたのに…いつだって笑顔にしてやるんだって思ってたのに。もう俺、蓮にそんなこともしてやれないの…っ?」
「そ、そんなことない。佐久間くんはいつだって俺に元気をくれてたよ」
「だったら何で嘘吐くの? 何でそんな辛そうなのに何にも言ってくれないんだよ…っ!!」
「…言えるわけ、ないよ…」
「え…?」
思わずぽつりと呟いた本音に、佐久間くんがじっと俺の顔を見る。
その頬を伝う涙が綺麗だと思う。けど、俺のせいでそんな顔させちゃいけないんだ。
「だって、言えるわけないだろ…っ。佐久間くんが離れていったのは自分のせいって分かってるのに! それなのに悲しいって、未練しかないって…そんなの佐久間くんに言えるわけない…っ!!」
「れ、ん…?」
「悲しくなる権利も、未練を引きずる権利も俺にはないのに…っ! ましてやそれを佐久間くんにぶつけるなんて、そんなの出来るわけない!!」