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#めめこじ
雫
200
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蓮が泣いてる。
泣きながら、涙が出る側から目元を何度も何度も拳で拭っていく。まるで、泣くことを自分には許さないみたいに。
実際、蓮は許してないんだろう。
そんな悲しそうな顔、しないでよ。
俺は蓮をいつだって笑顔にしてあげたいのに。
蓮に嘘を吐かれたのが悲しかった。不調を素直に伝えることも出来ないくらい、蓮が離れてしまったんだって思って。
そうなったのは自分のせいなのに、それを蓮にぶつけてしまった。
ごめんな、蓮。言いたくなかったこと、言わせてごめん。
たけどさ、ねえ、蓮。
未練って何? 悲しいのは何で??
それじゃまるで、蓮がまだ俺のこと好きみたいに聞こえるよ。
「…ごめんね、佐久間くん」
「え…」
「俺、勝手なことしか言ってない。全部自分の問題なのに。もう俺、佐久間くんにこれ以上未練がましいこと言いたくないんだ…」
「…何が駄目なんだよ」
「え?」
「未練がましくて何が駄目なんだよ。そんなこと言ったら、俺だって未練しかないよ…っ」
俺がそう言うと、蓮が目を大きく見開いた。
思いの外子どもみたいな、蓮の表情の中でも上位で好きな顔。
自分の前では無防備になる蓮が俺は好きだったから。
久し振りに見たらあんまりにも可愛くて、思わず蓮の顔に手を伸ばす。
頬に少しだけ触れた手を、蓮の手がそっと握った。
迷子の子どもみたいな戸惑った顔で、恐る恐る口を開く。
「…ねえ、佐久間くん。未練って何…? 何の、どれに対しての未練の話?」
「……蓮の、こと」
「俺…?」
まだ理解が追いついてない顔で聞き返す蓮に、こくりと頷いてみせた。
俺が後悔してるのも未練があるのも、全部全部蓮のことだけだよ。切り換えの鬼なはずの俺が一つも切り換えられないのは、蓮のことが好き過ぎるから。
「ねえ、佐久間くん。一つだけ教えて。俺が海外に行く前、佐久間くんは俺のこと好きって思ってくれてた…?」
「それは…」
「お願いだから教えて、佐久間くん」
俺の手を握ったままの蓮の手に力が入る。痛いわけじゃないけどそれだけ蓮が切実なのが分かって、ちゃんと答えなきゃって思った。
「好き、だった…ずっとずっと、蓮のことが好きだったよ。俺が蓮の一番の味方でいたかった」
「そっか…」
蓮が嬉しそうに、でもやっぱり悲しそうに微笑んだ。何でそんな顔するの?
俺の手を握り直して、ゆっくりと頬を摺り寄せる。
「ずっと、確かめるのが怖くて逃げてた…でももう、ちゃんと聞いて前に進まないとだよね…」
「どういう意味…?」
「うん…振られるなら、ちゃんと振られないとね」
振る? 誰が、誰を??
蓮が俺を、にしては言い方がおかしい。
訳が分からなくて首を傾げる俺を見て、蓮が小さく笑う。
「同情とかはいらないから、ちゃんと本当のこと教えて? …今は、俺のことどう思ってますか…?」
「えっと…好き、だよ?」
「え…っ?」
蓮がまた目を大きく見開いて驚いてる。そんな顔したいのは俺の方だよ。
え、まさか俺が蓮を振ると思ってたの…?
「…俺は今でも蓮が好き。蓮がそうじゃなくなっても、俺はずっと好きなままだよ」
「俺が佐久間くんを好きじゃなくなるなんて、そんなの有り得ないから…! 俺だってずっと、ずっと佐久間くんが好きで、向こうにいる間も会いたくて仕方なくて…っ」
訳が分からないまま顔を見合わせて、同時に視線を逸らした。
多分今、どっちも同じことを考えてると思う。
もしかして、どっちも失恋したって思い込んでた…?
盛大な勘違いで、すれ違いだったってこと??
コメント
1件
ああもう、このすれ違い…! お互いがお互いを想ってるのに、どっちも「振られる」って思い込んでたなんて切なすぎますよ…。蓮くんが泣きながら「未練がましいこと言いたくない」って言うシーン、胸がぎゅっとなりました。でも最後に「好きだよ」って伝え合えて本当によかった…! お互いの手を握り合う描写が優しくて、ずっとこの瞬間を待ってた気持ちになりました。続きが気になります!