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ー第4話ー グロ・流血・死亡有
🍪視点
🍪「じゃぱぱさんっ…!えとさん…」
生徒玄関から何とか逃れた私は、近くの女子トイレに入って泣いていた。いきなり「赤い人」に2人も殺された…さっき、うりさんの叫び声も聞こえたし…現実を飲み込めなかった。
少し涙が収まり、トイレから顔を出す。あたりは真っ暗。誰かいないかな…
そう思いながら、廊下を見ていた時。
「みんなと一緒に過ごしたい~」
🦊「やだっ…!離し、て…」
「赤い人」の歌声と、どぬくさんの声が聞こえた。「赤い人」の声は高くも低くもない不気味な声で、聞いているこちらまで恐怖を感じる。
「私のお手手は届かない~」
…まずい。歌声が近づいてきた。トイレのドアに身を隠し、息を潜める。
「どうしてどうして離れてく~」
🦊「う゛ぅ~…っ」
背後に迫る歌声と、どぬくさんの声。苦しそうなメンバーの声を聞くと、こちらまで胸が痛くなる。
「どうしてどうして違うんだ~」
どぬくさんの背中に腕を回しながら、「赤い人」は歌い続ける。
「夢のためでも苦しいの~」
トイレの前を通り過ぎたのを確認してから、再び顔を出す。
「幸せそうなみんなの顔…」
🍪「あれ…旋律が止まった、?」
「赤い人」はしがみついたまま歌うのをやめた。
🦊「っ…離せ、っ」
どぬくさんは止まった隙に腕を引き剥がそうともがく。
…その時だった。
「羨ましい」
「赤い人」の低い声と共に耳に入る、肉が潰れる音。
🦊「っぁ…、」
🍪「っ…!!」
「赤い人」の腕がどぬくさんの体を縛り上げ…
上半身と下半身が分断された。
⚡️視点
⚡️「はっ…は、っ…もうやばいってぇ」
大慌てで走ったから、息が上がって苦しい。もう、どうなってるか分からなかった。とにかくあいつから逃げなければ殺される。それだけが理解出来た。
この学園はとても広い。さっき居た生徒玄関を中心に、左右に伸びる校舎。今は東館に移動して、上がった息を戻そうと足を止めた。
(スタ…スタ…)
⚡️「っ?!誰かおるん、?」
微かに耳に届いた足音は、少しずつこちらに近づいてくる。廊下の突き当たりから、月に照らされ影が浮かぶ。
🐑「たっつん…?!」
突き当たりから姿を現したのは…
腹部に血が付いたヒロくんだった。
⚡️「えちょ、ヒロくん…?!それどうしたん… ?」
ヒロくんは、腹部が真っ赤に染まっていた。
🐑「あ~…これ、うりさんがやられた時に近くにいたから、返り血浴びたんだよね…俺は大丈夫だよ」
そう言ったヒロくんは笑顔を浮かべた。どこか余裕そうな表情だった。ヒロくんは結構ホラー耐性があるからだろうか。
⚡️「ヒロくん…一緒におってくれん、?俺一人だとおかしくなりそうやねん…」
さっきまで一人で逃げて、過ごして。さすがに恐怖に押しつぶされそうで、その場にしゃがみこんだ。俺は、自分が思っていたよりも大変な状態だったのかもしれない。
🐑「たっつん…大丈夫だよ」
頭上から優しい声がかかる。と同時に、頭に温もりを感じた。我慢していた何かが切れた気がした。
⚡️「ぅ…っ」
小さな嗚咽を漏らしながら、俺は泣いた。
そんな俺を、ヒロくんは一言も話さずに、頭を優しく撫でてくれた。
涙が収まり、立ち上がった俺は、ヒロくんと一緒にカラダを探し始めた。
⚡️「カラダ言うてもなぁ…どないしたらええんやろ?」
🐑「とりあえず、そこら辺の教室、適当に探してみよっか」
1番近くにあった、「2-A」と書かれた札がぶら下がっている教室に入ることにした。
ドアを開けると、ガララ…と音が鳴った。電気がついていない、暗い教室だった。綺麗に消された黒板がそびえ立ち、机が規則正しく並べられ、前には教卓、後ろには個別のロッカーと掃除ロッカー。電気がついていないこと以外は、普通の教室だ。
⚡️「俺机の中見てみるわ」
🐑「じゃあ俺、ロッカー見ておくね」
分担してカラダを探せば時間短縮にもなる。そう思って、1番前の机の中を覗いたときだった。
「いっぱい幸せが欲しいな~」
教室の外から、あの歌が聞こえた。
🐑「たっつん…!」
背筋が震えた。見つかったら殺される…そう思うと、足がすくんだ。
⚡️「ヒロくん…隠れんと…!」
しかし、教室に俺らの背丈を隠せるほどのものは無い。どうする…迷っていても殺されるだけだ。焦りが募り、汗が滲み始めた時。
🐑「たっつんごめん!今は許して」
そう言うとヒロくんは、俺の手を握り、掃除ロッカーを開けた。中に入るように促され、ヒロくんもあとに続く。
⚡️「ヒロく…」
🐑「しーっ…!狭いけど我慢して」
狭くて暗い掃除ロッカー。やばい、顔近すぎる…って、変なことを考えている場合じゃない。
「活動するのが楽しいの~」
歌声がすぐそこに迫っていた。お願いだから、他の教室に行ってくれ…
…バン!!
そんな俺の願いをかき消すように、勢いよくドアが開けられた。入ってくる。「赤い人」がいる。
⚡️「…っ」
掃除ロッカーの隙間から外を見ると、「赤い人」が机の周りを歩いているのが見えた。
ガンッ…ガンッ…
机に乗った「赤い人」はそのままジャンプをし、机を渡る。「赤い人」が踏んだ机には、どろどろの血が垂れていた。
🐑「大丈夫かな…」
横から心配そうな声がした。
⚡️「きっと大丈夫や」
そう言って微笑み、再び隙間から覗こうとした時…俺は見てしまった。
隙間から見えのは、教室の風景ではなく…
こちらを睨む、「赤い人」の両目だったのだ。
⚡️「ぁ…」
ヒロくん、逃げて。そう言うよりも、掃除ロッカーが開けられたのが先だった。
黒くて長い髪、血がついた服、赤い目。「赤い人」はこちらを見ながら、笑みを浮かべた。
「たっつんくん、ひろくん…
迫り来る赤い腕をどうすることも出来ず、一瞬にして、俺の視界は赤く染まった。
意識を手放す寸前に、俺が最期に見たのは…
足元で倒れ、その四肢を引きちぎられて、血を流しているヒロくんと、そんな彼の四肢を引きちぎりながら楽しそうに笑う、「赤い人」の姿だった。