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学校が終わり、放課後。ゾムさんは少し予定があるらしく、教室で待たされている。そんな俺は、何をしてよいかわからずボーっとしていた。
「おっショッピやん」
教室にトントンさんが入ってくる。
「あっトントンさん。」「先生を付けろ。」
ト ントンさんは、仲良くしているほぼお友達みたいなもんである。
外を眺め空にたそがれていると、「どした?なんか悩みでもありそうやな。」とニヤニヤとこちらをみてくる。面倒くさそうなので話すことにした。心のもやもやを。
「なんか特定の人をずっと考えてしまうんですよね。」「それは恋やな。」
つかさず合いの手のようなものを入れてくる。
「恋…?男ですよ?」
驚いた俺を逆に不思議そうにみてくる。「別に関係あらへんやろ。まぁ、俺はよくわかんないけど。」
近くの席に座って課題のチェックをしだすトントンさんは、謎の安心感がでてくる。「そうなんですかね。」
俺も席に座る。そして続ける。
「なんかその人、首に紅い跡があって、違うと思うんですけど、きすのあとかなぁって…」
俺はとんとんさんを見つめながら話すとトントンさんの動きが止まる。
「直感ですよ。直感…。」
「直感て、結構当たるらしいで。」
真剣にこちらをみてくる。怖い。
「まぁ、でも…向こうは大丈夫って。」
やっぱり思い違いだったんじゃないかと思考を巡らせ考える。ただ理解するのがやっぱ怖い。
「ショッピがそう感じたんやろ。なら、あり得る話やろな。それで?」
話を続けようとするトントンさんは先生みたいだった。ずんずん話を進めてく感じが特に…。
「わかんないけど…。性的なことで、その人が悩んでいたんかなと思って。」
トントンさんは、同意するわけもなく、否定するわけでもなく黙っていた。ただこちらを優しい目で見る。
「ショッピー!」
走りながらドアを開けてゾムさん教室に入ってくる。少し汗ばんでいて顔は少し紅い。
そんな彼は「かえろっ!」俺の腕を掴み強く引っ張る。後ろなんて見向きもせずに。後輩のこと考えろやっ!て言いたかったが、とりあえず我儘を聞いてみることにした。
「トントンさんありがとうございましたっ。また明日」
トントンさんに手を振る。トントンさんもこちらに笑顔を向け手を振ってくれた。でも少しだけ悲しそうだった。
ゾムさんに引っ張られ階段を降り、下駄箱につく。ゾムさんは急にこちらを向きぎゅっと優しく俺を包み込む。そして俺の耳元で彼はそっと囁く。
「ショッピは、俺のそばにいてくれるよな。」
その声は弱々しく、普段の彼とは比べ物にならないくらいの奥底の幼さを感じ、同じくらいの背丈のはずが小さく感じる。突然だったのもあってか、理解ができず、動きが止まってしまう。これは夢なんかな…。誰も来ることのない下駄箱前の廊下。今彼と鼓動を共有している。彼の音も、自分の音もよく聞こえて恥ずかしいが、今は触れられなかった彼の心に近づいた気がした。