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 青年は携帯の一つを耳元に持っていき、話し始めた。鞄から出した数冊の手帳を履歴書の上に載せ、続いて鞄から筆箱を取り出し逆さまにする。ボールペンがざらざらと出てきた。そのうちの一本をつまみ上げ、手帳の一つにこする。インクが出ない。次のを拾った。それも出ない。次も。その間、話し相手を待たせている。ようやく出るボールペンに当たった。

青年は携帯を耳からはずし、戻れる、自動車部品の工場に、と言った。

彼は初め、少し浮かれているように見えた。しかし、店内に流れる一曲が終わる頃には、言葉数が減っていった。次の曲が終わる頃には、黙ってチャイを飲むだけになっている。

「どうした?」

旅人が沈黙を破った。青年は、空のチャイを一飲みした。

「不思議だね。落とされるときはがっかりするけど、いつも心のどこかでホッとしてた。採用されてみると、よかったとは思うけど、どこか息が詰まる」

旅人は皿に乗っている角砂糖をつまみ上げた。

「それが、現代社会だよ」

旅人が角砂糖をグラスの中に落とすと、空気を吐き出しながら底に落ち、崩れた。

「君の国もそうか? アジア大陸の反対側の先も」と青年は言った。

「どころか。僕なんか毎朝満員電車に詰め込まれて。毎晩終電で帰ってた」

窓の外のオベリスクに陽が当たりはじめた。鳥、人、ライオン、羽の象形文字、彫り込まれた一つ一つの絵は分かっても、それらをつなげた意味は不明だ。

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