テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#時が流れる絵
柘榴とAI

655
麗太
513
1,024
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
登校。
並んで歩く。
沈黙。
でも気まずくない。
「ソウヤ」
「ん」
「今日、帰り一緒に帰れる?」
「……多分」
少し考えて答える。
結衣は頷く。
「そっか」
教室。
授業前のざわつき。
「ソウヤ」
横から声がした。
タジだった。
田島 達(たじまとおる)。みんなからは「タジ」と呼ばれている。
俺とは、小学校からの幼なじみである。
巨体にメガネという完全なるオタクキャラでもある。
椅子を逆にして、背もたれに腕を乗せている。
「昨日さ、 どこ行ってたん?」
「用事」
「即答すぎて草なんだが」
軽く笑う。
その口調は独特だった。
「タジまたそれ?」
近くの男子がツッコむ。
「いや気になるだろ。
突然ログアウトとかイベント発生してるし」
「ゲーム脳すぎ」
「人生はクソゲー。効率プレイ大事」
さらっと言う。
クラスでは、ちょっと変わったやつ扱いだ。
アニメ、ゲーム、ネット。
その話になると急に早口になる。
「昨日も秋葉(秋葉原)?」
「いや、神引きしてた!!」
「うわ出た」
「完全勝利なんだが?」
軽口が飛ぶ。
しかし、次の言葉でタジが少しだけ声を落とす。
「昨日の件、マジで何だったん?」
空気が、一瞬だけ変わる。
「……用事だって」
「そっかー」
「まあ詰めてもイベント進まんしな」
そう言って、前を向いたのであった。
昼休み。
教室に残る。
珍しい選択。
「珍しいね」
結衣が隣に座る。
「屋上行かないの?」
「たまにはな」
机に肘をつく。
結衣は少しだけ見る。
「……ねえ」
「何」
「ほんとに大丈夫?」
今度はストレート。
「……何が」
「さっきから」
視線を外さない。
「ちょっとおかしいよ」
言葉が詰まる。
「……気のせいだろ」
「そうかな」
結衣は少し考えて、
「まあいいや」
でも。
「限界来る前に言ってね」
それだけを残してどこかに行ってしまった。
放課後。
帰り道。
結衣と二人で歩く。
「ソウヤ」
「ん」
「無理してるときってさ」
少し間を置く。
「無理してないって言い方、ちょっと変になるよね」
何も言えない。
図星だった。
「……別に」
それだけ返す。
結衣はそれ以上何も言わない。
そのとき。
頭の奥に違和感。
足が止まる。
「ソウヤ?」
「……なんでもない」
再び歩き出す。
その瞬間。
――見つけた。
はっきりとした“意思”。
思考に混じる。
(……またか)
呼吸が乱れる。
でも。
隣には結衣がいる。
それだけで、少し落ち着く。
(……大丈夫だ)
そう思う。
だが。
その手は、わずかに震えていた。