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番外編60 『闇に染まる心と血の契約』中編
控え室
『この血を模したラズベリージャム凄いわね…。』
(臨場感を出すため提案してみたけど、やっぱり怖いわね…。)
『あ、いたいた。主様差し入れ。』
『ハナマル。これは?』
『俺が作ったおにぎりだ。片手で食べられるものがいいと思って握ってきた。』
『ありがとう。頂きます。』
『っとその前に主様口元すごいな。』
『あ、これはラズベリージャムで――』
ペロッ。
『っ!?』
ハナマルに口元を舐められる。
『な、何して…』
『何って…美味しそうだったから?』
『理由になってな…っ。』
ドサッ。
片手を掴まれ、テーブルに押し倒される。
『一緒に劇出たら…喜んで主様に血を捧げてやれるのに…。』
ハナマルは私の首元に息を吹きかける。
『ん…っ。』
『ヴァンパイアが人間に噛み付いたら…そいつも同じヴァンパイアになる…なぁ、主様。俺を同族にしてくれよ。ヴァンパイアになって闇の中で生きようぜ?』
『っ…!』
その時――
『何してるんですか?ハナマルさん。』
『げっ!ゆ、ユーハン!』
『主様を押し倒すなんて…っ。』
私は怒りを露わにする。
『ちょ、ちょっと脅かしただけだって!』
『全く…。主様。飲み物を持ってきました。どうぞ。』
『あ、ありがとう。』
『にしてもヴァンパイアの役、お綺麗でしたよ。』
『よ、良かったわ。少し恥ずかしいけどね…。』
『ふふ、私も早く主様に襲われたいです…。』
『誤解を生むからやめて!』
第2幕――
語り手『ミヤジが変わり果てた姿で見つかる。全身の血を抜かれ、部屋には無惨に血で染まっていた。』
『そんな、どうしてミヤジさん…っ。』
『…ヴァンパイアがミヤジさんを殺したのか?こんな…っ。』
『どうしたんですか?』
『まさか、ヴァンパイアが……?』
麻里衣さんと百合菜さんが起きてくる。
『っ、2人とも見てはいけません!』
ユーハンさんの背中に隠れる。
だけどそれは無意味だった。鼻を突き抜ける香りが私達を侵蝕する。
『う……っ!』
『お姉ちゃん!』
『はぁ、はぁ、ごめんな、さい、私…っ。』
『女性には辛いっすよ…ルカスさん…。』
『分かってる。顔に布をかけてあげよう。』
語り手『ミヤジの顔に布をかけ、黙祷し、談話室へ戻る。』
『あんな、あんな惨いこと…人間に出来るわけねぇ…。』
『ヴァンパイアの仕業だ。くそっ。俺達がそう簡単にやられてたまるかよ。おい、この中に占い師と騎士がまだ残ってんなら名乗り出ろよ。』
『……。』
『フフ、敵か味方か分からないのに名乗り出ろだなんて…。死にに行くようなものですよ。』
『あ?じゃあお前がヴァンパイアか?』
『さぁ?』
『てめぇ…』
『喧嘩はやめよう、この状況で争ってる暇はないよ。』
『君達、残念だったね。ミヤジはヴァンパイアの餌食になってしまった。さぁ、投票まで残り10分。話し合いで処刑する人を決めるんだ。』
20
『あの、処刑ってどんな風に…?』
『ふふ、決まってる。君たちの手で殺すんだ。』
『え…っ?』
すると箱が現れ、そこには凶器が入っている。『ひっ!』
『殺し方はなんでもいい。息の根を止めればそれで終わりだ。』
『私たちの、手で…?』
『…死を覚悟して言うしかないね。』
『る、ルカスさん?』
『私が騎士だ。昨日の夜守ったのは…百合菜さんだ。』
『わ、私を……。』
『ルカスさんが、騎士…じゃあ占い師は…』
『……殺されたミヤジさんかもしれねぇし、
はたまた俺達の中に残ってるかもな。』
『…あ、思い出しました。そういえば、ロノさん。昨日の夜…ミヤジさんの部屋に行ってませんでしたか?』
『は…?』
『ロノ君、そうなのかい?』
『え、っと…行きました、けどそれがなんなんですか?』
『ミヤジさんと最後に会ったのは貴方だけです。そして翌朝…ミヤジさんは死体で発見された。つまり貴方が――』
『っ、何を言い出すんだよ!確かにミヤジさんの部屋には行ったけど……!』
『何の用で行ったの?』
『ミヤジさんの音楽を聴きに…。眠れなくて1曲弾いてもらおうと思って……ほら、音楽家で楽器を弾いたことあるって言ってたから…。』
『こんな状況で音楽聴くって…ロノ怪しいっすよそれ。』
『っ、ちが、おれは……!』
『――右上を見て話す。それは視覚的想像。嘘を考えてる時の人間の心理よ。』
『っ!!』
『私の仕事は探偵って言ったわよね。私の前で隠し事は出来ないわ。』
『ち、違う。俺は、本当に――』
『時間切れだ。投票の時間だ。ヴァンパイアだと思う奴に指を差せ。』
『ごめんなさいね。ロノさん。』
一斉にロノに票が集まる。
『1日目の投票で処刑されるのはロノに決まった。さぁ、武器を取って処刑しろ。』
『……。』
私は箱まで歩み寄りナイフを手に取る。
『やめろ!嫌だ!!死にたくない!!』
『ヴァンパイアなら…心臓を貫かないといけないんじゃない…?』
『私がやるわ。』
『麻里衣さん、貴方――。』
『逃げれば苦しみが続くだけ。動かないで。』
ロノはドアまで走り、ダンダンっと叩く。
『来ないでくれ、やめ…っ!!』
グサッ!!
私はロノの心臓目掛けて刺す。
そして、辺りが血に染まり再び赤い照明が照らされた。
『これで…ヴァンパイアは居なくなったんだよな?』
『答え合わせは明日の朝だよ。君達、部屋に戻るんだ。おやすみなさい。』
2日目の夜――
ラトが変わり果てた姿で部屋の前の廊下で発見された。
『新たな犠牲者が出てしまったね。君達の処刑は失敗。ロノ君は村人だ。可哀想に…。』
『……。』
『お姉ちゃん……?』
『…あ、ごめんなさい。少し貧血なだけよ。』
私はフラフラと頭を抱えた。
『残ってるのは7人か…。』
『ルカスさん、あんたは昨日誰を守ったんだ?』
『私かい?私はアモン君を守ったよ。』
『……そうか。少なくともロノは村人。
ラトも役職がないようだったし、ミヤジさんと役職についてるようには見えなかった。つまりは、村人は残り5人。騎士はルカスさん。と絞れた訳だ。』
『あの、いいかしら。私…占い師なの。』
『なっ!?』
その言葉を口にした途端、ユーハンが立ち上がる。
『嘘はやめてください!占い師は私です!』
『占い師が2人……?』
『そんなことありえないよ。つまりは、どちらかが嘘をついてる。』
ユーハンと私は睨み合う。
現段階
ミヤジ 1日目の夜に襲撃され死亡 村人
ラト 2日目の夜に襲撃され死亡 村人
ロノ 投票により処刑 村人
アモン 生存 (?)
ボスキ 生存 (?)
ルカス 生存 騎士
ベレン 生存 (?)
ユーハン 生存 占い師?
麻里衣 生存 占い師?
百合菜 生存(?)
『占い師だって言うなら証明してくれよ。2人とも。』
『『証明――?』』
『どうして今まで言わなかった?そして、どうして3人死んだ今のタイミングで告白した?そして最後に…。1日目と2日目。誰を占った?』
『言えば…ヴァンパイアに狙われるからよ。』
『同じくです。』
『役割は大体もう明らかになってる。それなら今明かした方がいいわ。私が占い師よ。』
『隠す必要もないから言ったまでですよ。』
『そしたら……1日目と2日目は誰を占ったんすか?まずは、ユーハンさんから。』
『私はミヤジさんとラトさんです。2人とも村人でしたよ。』
『私はアモンとボスキを占ったわ。2人とも村人だったわ。』
『……。』
(俺たちは確かに村人だ。どちらの意見も正しいように思える。だけど、なんだ?この違和感。)
『…待ってくれ。占ったって言っても…。
ミヤジは1日目の夜に襲撃されているし、ラト君も同じように襲撃され殺された。2人を占っ後に殺されるなんて…おかしくないかい?』
『っ!ぐ、偶然ですよそんなの!私が2人を殺した後、カードを盗み見たとでも言うんですか!?』
『ヴァンパイアなら…可能…だよね?』
『…ち、違…。私はヴァンパイアなんかじゃ…っ。』
『投票の時間だ。』
みんながそれぞれ指を指す。
『あ、ああ…っ!!』
『ユーハン。楽に殺してやるよ、暴れるな。』
『嫌、辞めてください、私はヴァンパイアなんかじゃありません!!』
『……。』
あぁ、哀れな…私の嘘も見抜けない馬鹿な人間。私の命の礎になるなんて。フフ、アハハハハハハ…っ!!
ユーハンの心臓にナイフが突き刺さる。
3日目夜――
10人いたのに、もう6人になってしまった。
そして、今夜の犠牲者が――
『……!』
俺は目を開ける。
『…はぁ。あんただったんすね。』
アモンが薔薇の蔓に巻かれ、廊下の窓に括り付けられている。
『くそっ!!』
ボスキが壁を蹴り上げる。
『……。』
『ふざけんな…。俺達はいつまでこんなゲームを…っ!!』
生存者 残り5人。
犠牲者 5人。
村人 3人。騎士1人。ヴァンパイア…1人。
次回
後編へ続く!
コメント
1件
ああ…読み終わったよ。この人狼ゲーム、緊張感がすごくて息が止まるかと思った…。麻里衣さんの「嘘を考えてる時の心理」って台詞でロノを追い詰める場面、めっちゃ印象に残った。しかも彼女が実はヴァンパイアなんだろうなって思わせる伏線がじわじわ効いてくる…。ユーハン可哀想すぎるし、騙されてる側の焦燥感がひしひし伝わってきたよ。後編、心臓バクバクしながら待つね。