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番外編60 『闇に染まる心と血の契約』後編
本番まで残り数日を切った。本番に向けて私達は練習を続けた。
『主様、少し根詰め過ぎではないですか?』
『ベリアン…。大丈夫よ、仕事だからちゃんと、しない、と……。』
台本を読みながら階段をおりていたらガクンっと足から力が抜ける。
『主様!!』
ベリアンの手が届き私を支える。
『べ、ベリアン…』
『お怪我はありませんか…!?』
『え、えぇ……。』
『…主様。失礼します。』
ベリアンは私をお姫様抱っこして私の部屋へと向かう。
『あ、歩けるわ……下ろして…』
『フラフラなのに何を言ってるんですか。私だって男なんですよ。主様1人抱えるくらい大したことありません。』
『ベリアン……。』
部屋についてベリアンが私を優しくベットに下ろす。
『今日はもうお休みください。主様。』
『うん……分かったわ。』
ベリアンに頭を撫でられ私は目を閉じる。
数日後――いよいよ本番の日。
私たちはそれぞれの衣装に着替える。
『主様、最前席で見守っておりますね。』
『頑張れよ、主様。』
『うん!みんなありがとう!』
『百合菜、緊張してない?』
『うん!頑張る!』
第一幕、第二幕は無事に終わり、最終の第三幕へ突入した。
『くそっ!!ふざけんな…なんであいつが死ななきゃいけねぇんだよ。』
『残ってるのは…ボスキ君、私、ベレン君、麻里衣さん、百合菜さんか。』
『麻里衣さん。昨日は誰を占ったの?』
『…その前に1ついいかしら。昨日の投票で私を指したルカス、ボスキ。どうして私に投票したのかしら。何か理由があるの?』
『『……。』』
2人は黙り込む。
『ロノ君を処刑した時の君の瞳だよ。
あれは人間の目じゃない。人の命を弄んでいる目だった。』
『っ、お姉ちゃんになんてこと……!』
『最初に言っただろ…身内なら庇うのは当たり前。そうだ、最初からこうすれば良かったんだ。』
俺は武器を取り出し、麻里衣に歩み寄る。
『最初からあんた達2人が俺達の敵なんだよ。身内同士なのはあんたら2人だけだからな。』
『ちょ、ボスキ君…』
ジャキッ!
麻里衣に剣先を向ける。
『人の形をした異常者の目をしたあんたが…今回の黒幕であり、5人を殺したヴァンパイアだろ――!』
『お姉……ちゃん?嘘、だよね……?』
『ンフッ。フフ、アハハハハハハ…♡♡』
私はおかしくなって笑い出した。
そして、舞台が暗くなると同時に私は着替える。
真っ黒な闇と血を纏ったような衣装に。
『牙と…黒い翼が…。貴方がヴァンパイアだったのですね……どうして、どうしてこんな……っ!!』
『お姉ちゃんがヴァンパイア……?そんなの、うそだよ…嘘って言ってよ、そんな…』
『百合菜。そう。私がヴァンパイアよ。このゲームの本当の黒幕。みんなを集めたのも私。』
『んでだよ……どうしてあいつらを殺した!』
『人間は私の居場所を奪った。大切なものを全て……。だから次は私が壊すの。私が全部奪ってやるのよ。』
私は手を広げ催眠をかける。
『うぅ…!!』
『辛いわよね…人間には…。』
『耳が、痛い…頭が割れる…!!』
『人間には辛い超音波が流れてるはずよ。
さぁ、貴方達の血を寄越しなさい。』
コツコツと床にひれ伏すみんなに近付く。
と、その時――
グサッ!!
『え……っ。』
私の背後に回り込んでいたボスキに刺される。
『これで、終わりだ…っ。』
『っ……こんなの、浅いわ…。人間ごときが私を殺せるなんて…。ゴフッ!』
口から鮮血が滴る。
『…はぁ、はぁ…』
『流石ヴァンパイア…だな。これくらいじゃ死なねぇか…。杭を打ち込んで…あいつらの仇を打ってやる…』
ボスキが私に近づく。
『待って!』
『百合菜……。今更庇うのかよ。あんたの姉は…』
『違う。肉親の最期を…他人に任せたくない。』
『百合菜……。』
私は杭と金槌を持つ。
倒れ込むお姉ちゃんの胸にそっと触れる。
『貴方に最期を看取られるなら…死んでも構わないわ。』
『お姉ちゃん…なんで、こんなこと…。』
『ヴァンパイアと人間が交わり生まれたのが私たち双子…だけど貴方は普通の人間よ…。私とは、違う…。』
『お姉ちゃん……』
『さぁ…貴方の手で終わらせるのよ。ヴァンパイアは心臓に杭を打ち込まないと死なないの。お願い…百合菜…。』
語り手『百合菜はゆっくりと杭を差し込み、強い力で金槌を振るう。5人の犠牲者を出した惨劇はこれにて幕を閉じる。悲しきヴァンパイアと人間の心情が入り乱れる。人間の生き血を吸ってしか生きられないヴァンパイア。けして相容れることなど出来ない――。』
パチパチ……。
静かに照明が消え、拍手が送られる。
舞台裏
『お疲れ様麻里衣ちゃーん!』
オーナーに抱き締められる。
『杭がまだ胸についてるんですから痛いですっ!』
『あら、ごめんなさいね。やはり私の目に狂いはなかったわね。ふふ、凄くロマンティックなヴァンパイアだったわ。』
『お、恐れ入ります……』
『また今度もよろしくね?お代はたっぷり弾むわ。』
『全く……。』
『大成功だね!お姉ちゃん!みんな!』
『あぁ。主様の迫真の演技には驚かされたな。』
『フフ、えぇ。主様に殺される時のあの瞳は忘れられません。』
『演技だからね?』
『俺もっすよ…主様に牙を立てられるなんて……』
『演技だって言ってるのにー!』
しばらくデビルズパレスは私のヴァンパイアブームになっていた。
『主様、血に飢えてないか?俺のならいくらでも噛み付いていいぞ。』
『お、俺も……主様と劇出られなかったのでいま沢山吸って欲しいです…』
『ハナマルにフェネスまで…。』
『収集つかねぇなこれ…』
『呆れてないで止めてあげてよボスキ…』
『面白いからしばらくはこのままでいいんじゃないっすか?』
『お姉ちゃん……お気の毒に……』
めでたしめでたし♡♡
コメント
1件
ついに本番!麻里衣ちゃんのヴァンパイア演技が迫真すぎて鳥肌立ったよ…🦇💕 百合菜ちゃんに看取られるラスト、姉妹の絆と運命が切なすぎて泣きそうになった😭🌙 でも最後のメンバーの「血吸わせて」騒ぎで一気にほっこりしたw めでたしめでたしで良かった〜🎭✨