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#💛💜
愛日
1
💚「夕星の異能、精神感応系で確定だわ」
事務所にメンバーが集まるなり、開口一番に阿部がそう言った。
🩷「何かあったの?」
💚「寝たら、また真っ暗なところにいて、夕星と喋った。多分、繋がったままか入り込まれてる」
🖤「……何かされなかった?」
💚「ん、ただ喋っただけ。ってか、あの人、まったくこっちの話聞かないから、すっごい疲れた……」
🤍「今も、いるの?」
💚「それは分かんない。だから、異能は共鳴か同調かリンクか……その辺だと思ってる」
💜「つまり、今のままだと害はないってこと、か」
💚「だと思う。俺が相手するのに疲れるだけ」
🧡「それはそれできっついな。話通じんのやろ?」
💚「そー。受け答えにならないというか、都合の悪いことは聞こえないというか……で、気付いたら朝だったからちょっと寝不足」
ふわぁ、とあくびをする阿部。
こんな風に眠そうな阿部は珍しい。いつもシャキッとしているのに。
🩷「なんか、大変だね……」
💚「うーん。どうするかなー。このまま時間が経つのを待つのも嫌だし」
💛「どうするかなって、何か策でもあんの?」
💚「デジタルで録音する時って、音を電気に変えてるのね。つまり、流れてるものは電気だと考えていい。夕星は異能でその電気に自分の異能を混ぜて波長の合う人を探してたんだと思う」
🤍「だから、電気の異能の阿部ちゃんと波長が合ったってことか」
💚「恐らく。俺と繋がってる時に、その電気を辿れば夕星の本体に会えるかもしれない」
💙「それって、阿部ちゃんが場所を特定するってこと?」
💚「そうだね。その情報をラウに読み取ってもらって、その場所に佐久間のテレポートでって感じかな」
🤍「僕、できるかな……」
💚「ラウなら大丈夫だよ。その為の装置、作りに行こう」
🤍「うん!」
元気よく返事をしたラウールにふふっと笑って、二人でコントロールルームに入って行った。
昨日とは打って変わって、阿部は平気そうに見える。
💜「方法は阿部ちゃんに任せるとして、こっちは夕星と会った時のことを考えようか。目的は、阿部ちゃんから引き離す事」
💛「今のままじゃ、ずっと付きまとわれるし、そのうち生贄として連れてかれる可能性が高いからな」
💜「そ。その生贄が何かは分かんないけど、このままでいいわけないからね」
🩷「迎えに来るのがいつかにもよるけど、阿部ちゃん、このままじゃちゃんと寝られないよ」
🖤「寝たらダメっぽいですしね」
💜「あと、そいつの異能が同調とかリンクとか言ってたけど、そういうのと戦った事ないからちょっとどう立ち回ったらいいか……他に使える異能がなければいいけど」
💙「異能って、基本、一人一つだよな?」
💛「場合によるだろ。現に、阿部は電子と電気、康二も岩と重力じゃん」
💙「確かに」
💜「まあでも、三つ以上持ってるって話は聞いたことないな。二つも珍しいし。康二は何で二つ持ってんの?」
給湯室にコーヒーを淹れに行っていた向井に声を投げかける。
🧡「何でって言われてもな……最初は岩を動かしたりだけだったんよ。中学ん時やったかな。その頃やっとったゲームの主人公が、簡単におっきい岩動かしたんがカッコよくて、友達と遊んどったら、できてもうてん」
🩷「めっちゃ中二男子だなー」
🧡「ほんで、高校ん時におっきい地震がきたことあって。じいちゃん家におったから、家が古くってな。潰れるって思てたんやけど、気付いたら家のもん全部が固定されとって、その間にみんなで避難して、みんなが出たら家がぺしゃんこになっとったんよ」
❤️「それが重力だったんだね」
🧡「そん時は何が何だか分からんかったけど、その後いろいろ試して、重力やって気付いた感じやな」
💙「ふっかのふーちゃんは、二つ目の異能にはなんねえの?」
深澤の肩にちょこんと乗っている、オコジョのような姿のふーちゃんを見る。
💜「さあ? でもふーちゃん、基本は鋼だしね。毛はふわふわだけど、くちばしはちゃんと鋼になってんだよ。つつかれたらマジで痛い。気を付けないと、爪も刺さるし」
💙「意外とあぶねーな」
💜「だって、鋼だよ? そもそも鳥ってみんな爪は鋭いけど、俺が普段使ってる武器見たら分かるじゃん。全部、刃物」
(笑)と付きそうな笑顔の深澤。
確かに、いつも使っているのはクナイ、ナイフ、槍などの鋭利な刃物ばかり。鋼という物質の特性上、致し方ないのだが。
❤️「別の異能があったとしても、割と近い分類だよね。電子と電気、岩と重力。全く関係ないのはなさそう」
💛「前に見たのって、身体強化しつつ獣人化した異能か。あれも、どっちも身体系の異能だったし大きく外れてはないな」
💜「だったら、持ってても精神感応系がもう一つってとこか。あとは仲間がいなければ、だけど」
🩷「そこだよなー。仲間がいたらもうお手上げじゃん」
💜「だから、メンバーは慎重に選ぶ必要がある。佐久間の瞬間移動で飛ぶってことは、行けるのは佐久間の他に二人だけ」
💛「臨機応変さを考えると、ふっか、めめ、舘さん辺りかな。俺の炎は相性次第だし、翔太も場所によっては使いづらいだろ」
🧡「照兄、俺は?」
💛「康二は臨機応変とはかけ離れてんじゃん」
🧡「ひどいっ! ツッコミもボケも臨機応変にしかしてへんやん!」
💙「それはまた別の話だろ」
❤️「それこそ、相性で言ったら目黒とふっかがいいんじゃない? 俺の氷と目黒の蔓は一緒じゃない方がいいと思う」
💜「じゃあ、俺とめめと佐久間で対応しよう。あとのみんなは、阿部ちゃんのことお願い」
今できる事を、できる者が最大限に行う。
はっきりと確定したものがない以上、それしかないのだから。
コントロールルームから阿部とラウールが出てきたのは、それから3時間ほど経った頃。
時間がかかっていることで、休憩したりトレーニングしたり事務仕事をしたりと各々で行動しており、現在、事務所にいるのは深澤、宮舘、岩本の三人だけだった。
💜「お疲れー。時間かかったね」
🤍「阿部ちゃんとめっちゃ試行錯誤したよ。阿部ちゃんの電気の異能をちょっとずつ使ってもらって試したから、多分、大丈夫だと思う」
ラウールが持っているのは、白銀のメタリックな太いフレームに水色の淵のない半透明のレンズがついている、少しゴツめのゴーグルだ。
💜「なにそれ、かっこいいな。SFっぽい」
🤍「でしょー。バイオエレクトリックアナライザーです!」
💛「それっぽい名前してんな」
🤍「んふふ。阿部ちゃんと考えました。テンション上がるでしょー」
💚「ラウに、どの英語がいいかなってめっちゃ聞かれたよ」
🤍「ちなみに僕が使ってる道具だと、ルーペはアフターグロウ・スコープで、モノクルはメディカルスキャンで、眼鏡はスペクトラルグラスだよ!」
💛「めっちゃ名前つけてんじゃん。知らなかったけど」
🤍「ちゃんと言ったって、みんな何のことか分かんないでしょ。これは、僕の気分の問題だから」
❤️「阿部もラウールもキッチンの方、来て。ランチ用意してるよ」
🤍「えっ、もうそんな時間?! どうりでお腹ぺこぺこだと思ったー」
💚「ありがと。いただくね」
それから1時間後。
休憩室のベッドに阿部が寝転がり、その傍でラウールがゴーグルを装着する。フレーム部分が青白く光っており、SF感が増したなと佐久間も深澤もそれを見て思っている。
今、室内には阿部、ラウール、佐久間、深澤、目黒が立っており、他の者はラウールの邪魔にならないように応接間の方で待機している状態だ。
🤍「阿部ちゃん、準備できたよ」
💚「……わかった。あんまり気乗りしないけど、会って来るわ」
🖤「無理しないでね」
💚「大丈夫。それより、直接対峙するめめ達の方が危険なんだから。気を付けて」
🩷「ヤバそうだったらちゃんと戻って来るから心配すんな」
💜「ふーちゃんと佐久間がいたら、逃げるのは余裕っしょ」
💚「ふふっ。頼りにしてるよ」
そう言って目を瞑る阿部。
寝不足だったことと、ラウールとのゴーグルの開発で異能を使ったからか、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。
じっと見つめるラウール。
目黒、佐久間、深澤の三人はすぐに動けるように手を繋いでいる。
🤍「……きた。あっちの方から薄く電気信号が伸びてる。その先は……」
電気信号を辿った先にある劇場の住所を伝えると、すぐに佐久間達の姿が消えていった。
🤍「ふぅ……これで大丈夫だと思う。阿部ちゃん、しんどいと思うけど、夢の中でその人の相手、もうちょっと頑張ってね」
目を開けたら、やっぱりそこは真っ暗な空間で、思わず溜め息が出てしまう。
思った通りではあるのだけれど、憂鬱なのも事実。
💚「ねえ、いるんでしょ?」
「ほう。そなたから声をかけてくるとは驚いたぞ」
💚「うわぁっ!」
声をかけると耳元で囁かれたものだから、驚いてぴょんと跳ね、思わず距離を取った。まさか背後から話しかけられるとは思っていなかったので、心臓がバクバクとしている。
💚「ビックリしたのはこっちの方だよ……そんなサプライズいらないからっ」
「ふむ。気に召さなかったか。難しいな……」
💚「俺、あなたと仲良くなる気はありませんから」
「冷たいではないか。我とそなたの仲だろう?」
💚「そんな親密になった覚えはありません」
ピシャリと言い切る。
誰が、自分を生贄にしようとしている人物と仲良くなりたがるというのだろうか。絶対にあり得ないのに。
その時、夕星がピクリと眉を動かし、口元に微笑を浮かべた。
「ほう……まさか、人を送り込んでくるとは。ずいぶん、粋な事をしてくれる」
💚「余裕だね。本体に会われても関係ないってこと?」
「さあ、どうだと思う? 我はここでそなたとのひと時を楽しむだけ」
どういうことか、と眉を顰める。今、阿部は眠っている状態で夕星と会っている。つまり、夕星も意識のない状態である可能性が高い。それなのに、本体のところに佐久間達を送り込んだのに一向に消える気配がないどころか、そのまま居座るという。
仲間がいるから平気ということなのか。それとも、眠っているのは阿部だけで、夕星はこちらで繋がったまま本体は動く事ができるのか。
どちらにせよ、やはり佐久間達の戦闘は避けられないという事だ。
💚「ここでの足止めが無理なら、戻らなきゃ」
夕星の意識をここに繋ぎ止めておければ少しは戦況が良くなるかもしれないと考えていたが、そうではないのなら阿部がここに居続ける意味がない。
しかし、ガシッと強く手首を掴まれる。
「逃がすと思うか?」
💚「大人しくしてると思う?」
阿部の目が碧色に輝き、バチバチッと電気が弾けて夕星が手を離し、距離をとった。
💚(良かった、異能が使える)
ここは夢の中というよりは、別の空間と考えた方が良さそうだ。
ふぅっと息をつく。今、この場所には阿部と夕星しかいない。つまり、気兼ねなく異能を使う事が出来る。
💚「あなたと二人きりで良かったよ」
「む?」
💚「これから見ることは、秘密だよ」
唇に人差し指を当てて、微笑む。翠色の輝きを放っている目の阿部の背後には、無数の蔓が生えていた。
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続きが楽しみです!