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『狂おしいほど、君の異形を愛している』
「……もふ、くん。お願いだから、もうこっちを見ないで……っ」
薄暗い研究室の奥。九尾の血を引く狐のハーフであるどぬくは、ふさふさとした真っ白な狐耳を伏せ、大きな九本の尻尾で自分の身体を隠すようにして壁際にうずくまっていた。
妖力が高まる満月の夜。人外としての特徴――怪しく光る黄金の瞳や鋭い犬歯、そして圧倒的な妖狐の本能が抑えきれなくなり、彼は自分の「異形」の姿を酷く恐れ、恥じていた。
そんな彼に、静かな足音を響かせて近づく男がいた。
白衣を纏い、冷徹な眼鏡の奥に狂気的なまでの愛を宿した科学者――もふだ。彼はからぴち異種族研究機関の若き天才であり、どぬくの「保護者」であり、唯一の理解者だった。
「どうして隠れるの、どぬ。俺に見せられない姿なんて、君にはないはずだよ」
「ダメだよ……! 今の俺は、妖力に呑まれて何をするか分からない、化け物なんだ……っ」
どぬくは美しい九本の尻尾で必死に顔を隠そうとするが、もふは躊躇なくその前にしゃがみ込み、どぬくの手をそっと包み込んだ。
「化け物? ――そんな安っぽい言葉で君を定義させない。君が人間の姿をしていようが、妖しく美しい狐の姿をしていようが、僕が愛しているのは『どぬ』という存在そのものだよ」
もふはそう言うと、どぬくの顔を隠す白い尻尾を優しく掻き分け、その白頭の髪から生える狐耳の根元を、愛おしそうにそっと 撫で上げた。どぬくの身体がビクッと甘く跳ねる。
「もふ、くん……。俺、怖くて、自分が分からなくなりそうで……っ」
「怖がらなくていいよ。どぬのその妖力も、人外としての孤独も、すべて俺が研究し、理解し、生涯をかけて受け止める。……だから、俺の前でだけは、その綺麗な姿のままでいて」
もふの冷たい眼鏡の奥にある真っ直ぐな瞳と、指先から伝わる確かな体温が、怯えるどぬくの心を内側から優しく溶かしていく。
科学者と、自らの異形に怯えながらも愛を乞う狐のハーフの、種族を超えた深くて甘い約束が交わされる。
コメント
5件
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あぁああ”あああ“あ😭 好きッッッ……(??
うわー、第2話、すごく素敵でした……! 自分の異形の姿を怖がるどぬくくんと、それを「安っぽい言葉で定義させない」って言い切ってもふくんの、その真っ直ぐな愛が胸に沁みました。狐耳を撫でるところとか、細かい仕草に二人の距離感がぎゅっと詰まってて、すごく好きです。続きが気になります!
ことおと
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