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未だ少し重い瞼を何の抵抗も無く、閉じようとした時、足音が聞こえた。
反射的に俺は、上半身を起こし、床に座った。
体感で数分が経ったが、誰も来ない。
こうも体調を崩すと、幻聴まで聴こえるのだろうか。
妙に冷静で、疲労が原因であろう妙な思考回路。おかげで、恐怖心は今のところほとんど無い。
ただ、心の中に、黒い靄として、虚無感や無力感だけがある。
そんな事を考えている時だった。
――ガチャ、ギィー
そんな耳障りにも思える音を立てて部屋のドアが開いた。
視線を上げると、そこには主炎が居た。
こちらを何故か心配そうに見ながら。
その心配は、本心なのか。はたまた敵の罠か。
戦争が終わったとて、俺の苦労も、苦しさも絶えないらしい。
電気のついていないこの部屋に主炎の居る方から、光が差し込む。
少し眩しい。
主炎は何かを考えながら、彼の肩程の高さにある電気のスイッチを押した。
――カチッ
そんな音と共に、一瞬で部屋が眩しく思えるほどの明かりに包まれた。
何か考え事が終わったのか、主炎は相変わらず感情の読み取れない声で話す。
「津炎、飯だ」
チラッとしか見えていないが、主炎の手元にある木のトレーにはスープとパンが見えた。
久しぶりに見る、スープとパンと言う食事。
「…御馳走、なんですね」
心の声が漏れ出た。
久しぶりに口に出来る物を見たのだから、喜びの滲んだ声になるのは仕方が無い。