主炎は、一瞬眉を顰めたかと思うと、すぐいつもの無表情に戻る。
「ただの麦パンとスープだ。そんな大したもんじゃない」
そして、淡々と簡潔に、昼ご飯の説明をした。
それを、“大したもんじゃない”と言えるのは、戦勝国だからだろうか。
高い主炎の手元にある昼ご飯からはまだ湯気が立っている。
主炎は、机に湯気がモクモクと立ち、まだあったかい昼ご飯を置く。
主炎は一度、部屋を見渡してから、俺と目を合わせる。
一瞬何かを考えてから、主炎は一言、「津炎、少し待ってろ」そう言ってこの部屋を出た。
何を考えているのかも分からない。
ただ、この部屋にもう一度静寂が訪れたのは間違いではなかった。
昼ご飯のいい匂いの中には、毒の匂いは一切無かった。
これでも俺は鼻がいい。毒の匂い位は嗅ぎ分けられるぐらいには。
散々毒を口にして、目の当たりにして、何度死ぬかと思ったか。
何度、いつまで死ねないのかと思った事か。
だが、幾ら空腹を感じたところで、俺の身長ではこの高い椅子に座る事は出来ないだろう。
ただ、いつまでも主炎の顔を見上げるのは首が疲れる。
何か、高台にでも乗れればいいんだが……。
そんな事を思考しながら、部屋をまた見回す。






