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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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 しっかりと挨拶して、しっかりお小遣いを貰う! 

よし、今日の目標は決まったよ! 頑張ろう!


「……もうそろそろかな? どう、さっちゃん?」

「うん、この辺りだと思うけど……あ、あれかな」


 さっちゃんが地図と建物を見比べ、大きな建物を指差して答えてくれる。 

……うん、大きい。わたしの家が余裕で100個は入りそうな大きさだ。


「なんか、民兵組織って言うより領政府の庁舎って感じだね。入口に民兵さんが立ってるし」

「そうだね。首都に建っててもおかしくない立派さだね」


 恐る恐る近づくと、入口にいた民兵さんが話しかけてきた。


「こんにちは。ここは初めてかな?」

「あ、はい。えっと……ここって、レクルシアのファルメリア支部であってますか?」

「あってるぞ。基本的に出入り自由だから、用事なら中にいる受付に言うと良い」

「あ、ありがとうございます」


 特に何事もなく通してくれた。……良いの?


「ここって出入り自由なんだ……珍しいね」

「そうだね。近所の組織では関係者以外立ち入り禁止が普通だからね」


 わたしの知っている組織では、関係者以外立ち入り禁止が普通だ。 

普通は中に入ると大きな部屋が一つあって、そこで数人の民兵さんが事務仕事をしている。

 大きな施設だと訓練所なんかもあるけど、基本的にはすぐに仕事場なので用事がなく入ったら怒られる。でも、ここは……。


「ひろーーーい!」

「アリアちゃん、声が大きいよ」


 さっちゃんに怒られてしまった。 

でも思わず声が出てしまうくらいには広い。学校のグランド並みの広さに2階までの吹き抜けだ。立派な照明がぶら下がっていて、掲示板がいっぱい立ってる。 

……領政府の庁舎より立派なんじゃないの?

 中には人がいっぱいいて、その物量に圧倒された。受付がいっぱいあるし沢山の人がいる。沢山あるテーブルでは何かの話し合いをしてるし、待合のソファーにも沢山の人が座ってる。でも、わたしたちみたいな子供はいない。 

……良いの、これ? わたし達の場違い感がすごいよ?


「……ねえ、さっちゃん。わたし達、ここにいて良いのかな?」

「いいと思うよ。ブリギッテさんに招待されたんだから。お手紙で今日の来訪も伝えてあるし大丈夫だよ」


 さっちゃんはそう言うけど、わたしたちの場違い感MAXだよ、これ。

 ……いや、わたしだけか。 

さっちゃんは余所行きの格好でビシッと決めているけど、わたしは普段着で可愛さ重視のフリフリの格好だ。


「アリアちゃん、まずはあそこの受付に行ってみよう」


 言われた方向を見ると、受付のお姉さんが笑顔でこっちに向かって軽く手を振ってる。案内看板には「初めての方はこちらへ」と書かれている。

 唯一誰もいない受付だ。 

呼ばれてるみたいだし、初めてだから行かないわけには行かないよね。

 ……でも、なんだろう。なんか負けた気がする。


「いらっしゃい、アウレーリアちゃんとザナーシャちゃん。一応、ブリギッテさんの名刺を見せてくれるかな?」

「ほえ?」


 思わず変な声が出た。 

……わたし、まだ何も言ってないのに展開が早いよ!


「アリアちゃん、しっかりして。こんにちは、これで大丈夫ですか?」


 さっちゃんが、二人分の名刺をお姉さんに渡してくれる。

 わたしが失くさないようにさっちゃんが預かっていてくれたのだ。


「はい、確認しました。返すわね」

「えっと、ブリギッテさんに招待されたんですけど……何をくれるんですか?」

「アリアちゃん……」


 さっちゃんが溜息をついている。 

挨拶したし、もうねだってもいいよね?


「ふふ、素直で可愛いわね。なるほど、ブリギッテさんが好きそうな性格ね」

「あの……」

「あ、ごめんなさいね。ブリギッテさんが直接会ってお礼をしたかったそうなんだけど、急な来客があってお話し中なの。だから少しだけ待ってもらっていいかしら。お昼ご飯は食べた?」

「まだです」

「じゃあこれ、ここの食堂の食券。何でも頼めるから自由に食べていいわよ。案内だけど……ユリカ!」


 ……テンポ早いなぁ。凄くテキパキしてるよ。

 感心してると受付の奥の部屋から若い女性の民兵さんが出てきた。


「ユリカ、この子達が例の子達。ブリギッテさんが空くまで施設の案内をお願い」

「はーい、事前に全部聞いてるから大丈夫だよ。任せておいてー」

「お願いね」


 女性の民兵さんが受付横から出てきた。

 20~30代くらいで黒目黒髪セミロングの美人さんだ。 

受付のお姉さんとのやり取りで元気が有り余ってそうな感じの話し方をしてたけど、すごく明るい感じの人だ。

 高そうな銀縁のレザープレートに、変わった形の短剣を腰に2本下げている。


「こんにちは、私はユリカ。よろしくね」

「アウレーリアです。よろしくお願いします」

「ザナーシャです。よろしくお願いします」

「うんうん、二人ともよろしくねー。それじゃ、お腹すいたし食堂にいこっか!」

「「はい」」


 ユリカさん、ブリギッテさんと似てる気がする。なんていうか、すごくフレンドリーな感じがする。


「二人のこと、あだ名で呼んでいい? アリアちゃん、サっちゃん。私のことはユリ姉とでも呼んでね」


 ……もう呼んでるし、拒否権なんかないよね。ぐいぐい来るタイプだ。


「えっと、大丈夫です。さっちゃんもいいよね?」

「うん、アリアちゃん」

「よかったー、長い付き合いになりそうだし、気楽にいこうね」

「「え」」


 ……長い付き合い? なんで? ブリギッテさんからお礼(お詫び)貰ったらおしまいじゃないの?

 

永遠のフィリアンシェヌ ~友情と愛情の物語~

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