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「よかったー、長い付き合いになりそうだし、気楽にいこうね」
「「え」」
長い付き合い? なんで? ブリギッテさんからお礼(お詫び)を貰ったらおしまいじゃないの?
疑問に思ったけど、ユリ姉さんからの質問ラッシュに押されてしまう。
「へえ、サっちゃんとアリアちゃんは幼馴染なんだー」
「はい」
さっきからさっちゃんとユリ姉さんとの会話が続いている。わたしは情報量についていけなくて離脱した。
………早く食堂に着かないかな。広すぎるよここ。支部でこれなら本部はどうなってるんだろう? もしかしたら、領内で一番大きい建物なんじゃないの? いつか行ってみたいなー……。
「はい、到着。そこのメニューから選んで、あそこの窓口で注文ね」
ここも広いなー。100人以上は余裕で入る広さだ。
メニューも多いし、食品サンプルなんて高級レストランでしか見たことないよ。それがズラーっといっぱい並んでる。
……何なんだろう、ここ。本当に小都市の民兵組織? 首都にあるA+の組織って言われても信じちゃうよ。
「ビックリしてる所悪いけど、早く決めちゃおうか。お腹すいちゃったし」
「あ、はい」
わたしは高級お子様ランチにした。
……だって「高級」だよ。ここのメニューでも高い部類だし、値段はわたしのお小遣い半年分だ。これは頼むしかないよね!
「うんうん、アリアちゃんは分かってるね! 私も奢りだったら間違いなくそれだよ!」
「ですよね!」
「……アリアちゃん」
さっちゃんが呆れた様子でわたしを見てくるけど、折角の奢りだよ、遠慮なくいきたいと思う。
……お礼ってこの事かもしれないし、遠慮しちゃ失礼だよ。
「さっちゃんも高いの頼もう! こんなチャンス、もう二度と無いかも知れないよ!」
「でも、少しは遠慮した方が……」
さっちゃんは節約家すぎるよ。せっかく御馳走してくれるんだから、甘えないと!
「アリアちゃん言う通りだよー、サっちゃん。遠慮しちゃ駄目。良いもの沢山食べて、ドンドン強くなろう!」
「……強く」
「そうそう、強くなりたいんでしょ」
……え? さっちゃんって強くなりたかったの?
「それじゃ、この「領主様フルコース」を注文してきます」
「おぉー! 月に一度、出るか出ないかの幻の高級コース! 私にも少し分けてねー」
さっちゃんが注文すると厨房から歓声が上がった。食事中の人達も拍手してるよ。
わたしでも遠慮した最上級メニューを注文するとは……。
「さっちゃんのこと、少し甘く見ていたみたいだね。わたしも頑張って強くなるよ!」
「うん、一緒に頑張ろうね」
「うんうん、お姉さん達に任せなさい。さ、席について料理を待とうか」
……うん? 任せなさいってどういうこと?
疑問に思ったけど、またユリ姉さんからの質問ラッシュが始まった。
矢継ぎ早の質問にわたしは直ぐにリタイアして、代わりにさっちゃんが話してくれる。情報量が多すぎてわたしの頭ではついていけない。
……さっちゃんは凄いな、何で会話が成立するんだろう。似た者同士、なのかな。
ブリギッテさんに似てると思ったけど、もしかしたら「ブリギッテさん寄りのさっちゃん」、なのかも知れない。
「サっちゃんはやっぱりコッチ系かー。ブリギッテさんから話を聞いた時にピーンと来たんだよね」
「はい。私の……はアリアちゃんの為にありますから」
……何だろう。話の内容はよくわからないけど、さっちゃんの雰囲気が固い。折角の高級ランチだから楽しくいこうよ。
「さっちゃん、あんまり深く考えちゃダメ! 楽しく頑張ろう!」
「……うん、そうだね。楽しく頑張ろうね」
うん、さっちゃんは笑顔が一番可愛いいんだから、笑ってくれてればわたしは十分だよ!
「ユリ姉さんも、さっちゃんを変な道に誘わないでくださいね」
「ごめんねー、話を聞いてたらついつい真剣になっちゃった。安心して、君たちの友情の邪魔は絶対にしないよ。さぁ、楽しいランチタイムにしようか」
最初にさっちゃんの領主様フルコースの前菜が来た。
続いてユリ姉さんの日替わり定食、最後はわたしの高級お子様ランチだ。
ちなみに、わたしのランチプレートは天国になっている。そう、いつかの夢の競演だ。カツ天使にハンバーグ天使、加えてオムライスに激甘カレー……完璧だった。今日は一度も悲劇は起きていない。さらに今日は、天国にナポリタンタンと言う名の庭園まで広がっている。ジュースはメロンアイスフロートだ。
「……凄い。わたしは奇跡を見てるよ。これはもう天国じゃない、神の領域だよ!」
「アリアちゃん、カレーでテンション最高なのは分かるけど、少し静かにした方が……」
「アリアちゃんはカレーが大好きかー。神の領域を再現するとはやるねー」
わたしの前には神の領域が広がってるけど、さっちゃんの前にはキラキラした世界が広がってる。
「さっちゃん! わたしの前には神の領域だけど、さっちゃんの前には世界が広がってるじゃない! もっと喜ぼうよ! わたし達は全てを創造したんだよ!」
「創造したのは料理人さんだよ。アリアちゃん、少し落ち着こうか」
さっちゃんに肩を抑えられる。……ちょっと痛いよ。
「……うん、落ち着いた。ゴメンね」
「よかった。冷めないうちに食べよう」
「うん」
ユリ姉さんが笑顔の涙目で頷いてる。これは……笑いをこらえてるのかな?