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──ステージの上の七瀬リオは、まぶしいくらいにキラキラと光り輝いていた。
バンド全盛の時代に、最後のアイドルとまで言われ、今や女性アイドルの頂点に立った彼女は、最高のきらめきを放ってた。
「リオー!」
「リオちゃーん!!」
「リオちゃんっ、大好きー!」
たくさんの声援にこたえて、
「あたしも、みんなが大好きだよーっ!」
と、声を張り上げる。
そのあたしの声に、また、たくさんのファンの声が返ってくる。
ホールを包む大きな歓声は、津波のように押し寄せて、七瀬リオに降り注いだ。
ステージは、あんまり好きじゃなかったけれど、
でも、この、みんなと一体になれるようなライブ感は、嫌いじゃなかった。
この感覚をいつまでも味わえるなら、
ずっとアイドルでいてもいいかもなんて、あたしは思ったりもした。
『ねぇーみんなー! もうすぐツアー終わるけど、リオのこと、忘れないでねーっ!』
「忘れないーー!」
「リオちゃん、ありがとうーっ!!」
「絶対、忘れないよー!」
もうすぐ、このツアーは幕を閉じる。
最終日までは、あと1日――
ギリギリになって、あたしの歌はやっと全部が完成した。
ようやくあたしは、本当のあたしを解放してあげられるって、そう思ってた。
だけど、そんな思いを粉々に打ち砕くような出来事が、
この日のライブ終わりに、起きた──。