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不安な彼女 二口堅治
最近、彼女の〇〇の様子がおかしい。
俺が話しかけに行くと、前までは笑顔で話してくれたのに最近は微妙な笑顔しかしない。
もしかして、冷められた?
いや、そんなことはないはず。
スキンシップだって欠かさないし、好きの言葉も毎日言ってる。
「なぁ、〇〇」
俺は、隣の席の彼女に直接聞いてみることにした。
「え、ど、どしたの?」
「お前さ、何か俺に言いたいことでもある?」
「え?」
まるで図星のように、驚いた顔をする彼女。
やっぱ何か隠してんな?
「そんな…言いたいことなんてないよ?」
中学時代から嘘が下手な〇〇。
3年間も一緒にいるんだ。それくらいわかる。
「んで?何があった?」
「だから…何もないってっ」
不安が募って、泣きそうな目をする彼女。
俺…そんなに不安させたか、?
「わ、私…ちょっと御手洗行ってくるから、!」
「おい!〇〇!」
彼女はそう言って、教室から出ていってしまった。
〇〇ver.
絶対何か怪しまれたかもしれない。
でも、堅治にはこの気持ちは隠しておきたい。嫌われたくない。
この気持ちがバレて、堅治に「重ッ」とか言われたらもう立ち直れないかもしれない。
最近、堅治と一緒にいても不安が募ってしまうのは女の子と距離が近いから。
「はぁ…絶対堅治…怪しんでるよね、」
堅治は昔から、変に勘がよかったから少し勘づいてるかもしれない。
「…素直に言った方がいいのかな、」
「あっ、いたいた~笑」
「え?」
声をした方を見てみると、派手目のグループの3人組の女の子達がいた。
美人な子…と見惚れていると、女の子からこんな言葉がでてきて目を見開いた。
「あんたさ、堅治くんと付き合ってるんだっけ?」
「え?」
なんで名前呼びなの?
嫌な思いが頭の中を徘徊している。
「私ね~1年生のときからずっと堅治くんのこと好きだったんだよね~」
「私の言いたいこと分かってくれる?」
大体はわかる。
堅治はカッコよくて、誰にでも好かれる存在。
こんなこと言われるのだってもう慣れたこと。
「堅治くんと別れて?」
あぁ…やっぱり。
堅治と付き合ってから、こうやって言われることは何回もあった。
けど、本気で好きになってずっと側にいたいと思ったのは堅治が初めて。
こんな素敵な人、もう二度と現れない。
「い、嫌です!!」
私は精一杯の声を出して女の子に言った。
「は?」
さっきの可愛い声とは比べ物にならないくらい、女の子達から怖い声がでた。
「ねぇ、あんた何か勘違いしてない?」
「…えっ、?」
怖い
この感情が頭の中を左右する。
助けて欲しい。
堅治っ、
「堅治くんは、あんた何かと比べ物にならないくらいかっこいいから」
そんなこと、言われなくても分かってる。
それを承知して付き合った。
「お前みたいなブサイクと堅治くんは釣り合わないのよッ!!」
「分かったらさっさと別れろよ!!」
「このブスがッ!!」
私がブサイクなのは充分わかってる。
だけど、少しでも堅治に似合いたくてたくさん努力した。少しでも可愛くなれるように。
「あんたより、私の方が堅治くんに似合ってるから笑」
そんなこと言わないで欲しい。
確かに、この女の子は凄く綺麗で可愛い。
けど、堅治の隣は譲りたくない。
「け、堅治とは…別れません、!」
やばい、泣きそう
怖い
「調子乗ってんじゃねぇよ”!!」
殴られるッ!!
そういい、目をつぶった。
……
え?
ゆっくり、瞼を開けた。
「…けん、じ…?」
「…ばーか」
「俺のいないとこで殴られそうになってんじゃねーよ」
「いたっ」
堅治はそういい、私にデコピンをした。
優しくて、少し痛い。
堅治がきて、ほっとした自分がいる。
「け、堅治くん…」
女の子の方も驚いて、目を見開いている。
「お前、俺の彼女に何しようとしてんだよ」
後ろ姿でもわかる、堅治が怒ってる。
それもかなり。
「ち、違うの!堅治くん!」
「話をきいて、!」
「お前と話すほど、俺は優しくねぇんだよ」
女の子は肩をびくっとさせて、怖がっている。
「金輪際、〇〇に近づくなよ」
「近づいたら、殺す」
どす黒い声が廊下に響く。
女の子は泣いて、走って消えていった。
「…大丈夫かよ」
こっちを向いた彼は、さっきとは違う優しい声で私を心配してくれている。
「うん、大丈夫だよ」
「助けにきてくれてありがとう」
私なりの精一杯の笑顔。
本当は怖かった。逃げ出してしまいたかった。
けど、堅治と別れろって言われて逃げる程私は臆病なんかじゃない。
「…不安にさせたのは悪かった」
「え、?」
「…気づいてたの?」
「…お前とのやりとり思い出して、不安になったんだなって思った、」
子犬みたいに落ち込む彼が今は可愛い。
「…もう、不安な思いはさせねぇ…」
彼に強く抱きしめられ、私も抱き返す。
どんどん力が強くなってく彼に、私は笑みが零れた。
「お前も、すぐに言えよ」
「…ふつーに、話してくれると…嬉しいんだよ、隠すな、俺に話せ」
「うんっ」
堅治が素直になった事に、今は嬉しい。
彼とは、隠し事はなしの約束をした。
「嫉妬かぁ…」
「堅治も私に嫉妬したことある?」
「はぁ?」
「そりゃ、何百回も」
「…へっ、?」
そんな会話をしたのは、2人だけの秘密。