中学一年生の国語で習った
「少年の日の思い出」
授業でエーミール目線で書いたやつ発掘.
出してみるか…ってことで投下。
少年がエーミールに会いに行く(蝶壊した後)
から。
________絶対事項_________
無断転載.パクリ=✕
参考(連絡.記名無し)=✕
参考(連絡.記名有り認知or返信有り)=○
_____________________
エーミール▶︎僕
僕▶︎少年
直すことも難しくなってしまったクジャクヤママユは猫に壊されたのではなく、隣の家の少年に壊されてしまっていた。
少年は詳しい説明を試みていた。
ただ、僕にはどうでもいいことだった。
少年は誘惑に負け、欲望を感じ盗んでしまったこと。
良心が目覚め気づいたときには壊れてしまっていたこと。
僕はここら辺ではまだ誰も持っていなかった蝶をさなぎからかえした。
僕はその蝶を台無しにされてしまったことに少し腹を立てていたがそれよりも腹が立っていたことがある。
それは出来ることなら何もなかったことのようにしようとしていたことだ。
ただ、ここまで来ると怒りから呆れに変わっていた。
「ちぇっ。」
僕は少年を見つめながらそう呟いた。
「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」
そう言うと少年は
『持っているおもちゃをみんなやる。』
と言ってきたが僕はそれに応じる気持ちはない。
すると少年は
『蝶の収集をみんなやる。』
と言ってきた。
だが僕は
「結構だよ。僕は、君の集めたやつはもう知っている。そのうえ、今日また、君が蝶をどんなに取り扱っているか、ということを見ることが出来たさ。」
そう断った。
冷静になった今、僕にも悪いところがあったことに理解が出来た。
鍵を掛けずに留守にしたなら、猫に入られようが、泥棒に入られようが、仕方がないことなのだから。
少年は今すぐにでも僕の喉笛に飛びかかってくるようだった。
だが、もうどうしようもないことに気づいたのだろうか。
少年は僕を見つめながら後悔をしていたようだった。
まるで、生まれたての子猫のように。
ただただ一点を見つめながら。
きっと少年は僕のことが嫌いだろう。
数年前、少年が僕のもとへ青いコムラサキを見せに来た。
僕は珍しいことを認めた。
だが、僕はその時にコムラサキの欠陥を見つけて、言ってしまった。
少年は悲しそうな顔をした。
やってしまったという後悔も虚しく少年はもう、捕まえた蝶を見せには来なかった。
僕は少年に謝りたかった。
少年の喜びを傷つけてしまったことを。
だが謝れなかった。
謝ることがなく数年が経ってしまった。
僕は少年の喜びの気持ちを悲しみに変えてしまった。
だから僕は怒る資格なんてない。
蝶を壊れてしまっても。
冷静になると少しずつ感情の整理ができてきた。
僕はただただ少年を見つめた。
罵ることも、怒鳴ることもせず。
ただただ少年の前で。
少年が帰ってから僕は自分の蝶を見つめた。
それはもう治すことは出来ない。
きっと少年もこんな気持ちだったのだろう。
いや、もしかしたらもっとバラバラだったかもしれない。
僕はこんな形になってしまった蝶を見つめた。
いや、見つめるしか出来なかった。
この蝶を直しても僕と少年の仲は治らない。
もし治ってもそれは薄い糸が繋がっている位になってしまう。
僕はもうどうしようも出来ない。
なぜあのときにあんなことを言ってしまったのだろう。
なぜあのとき謝らなかったのだろう。
そんな後悔に囲まれた。
他の人にならすぐに謝ることが出来るだろう。
でもなぜ、少年には素直に謝れないのだろう。
それはきっと、同じような気持ちがあり、プライドがあり、謝るという行動に慣れていないからなのではないだろうか。
僕はこの先少年と仲良くなれるだろうか。
僕は数年前のあの日。
一度起きたことは償うことの出来ないものだと悟った。
はずだった。
僕はあの日のことを謝りたかった。
「あの日はごめん、君が傷ついたのは分かっていたのに謝れなかった。償えなくても、許さなくてもいいから。」
この二言で、もしかしたら仲が戻ったかもしれないのに。
僕は自分でチャンスを逃した。
僕は後悔する資格なんてない。
今日のことで、もっと。
今はもう誰にも言えないこの悩みを解決したかった。
僕にも悪いところがあったことに気づいているのに。
僕はいつもこのプライドのせいで悩まされる。
プライドだけではないことにだって気づいてる。
それなのに僕はいつもプライドのせいにして逃げている。
少年はすごい。
いつだって逃げずに向き合っている。
クジャクヤママユのことたつて、包み隠さず話に来た。
逃げずに。
自分と向き合って。
僕は逃げたのに。
あの日のことも。
今日のことも。
全部僕が悪いのに。
少年は優しすぎるんだ。
あの日少年に言ってしまったことも、鍵を掛けずに出ていたことも僕の自業自得で、悪いのは僕一人なのに。
僕は少年のことで頭がいっぱいだった。
今日、僕には蝶を収集する資格なんてなくなった。
もしかしたらあの日からずっとなかったのかもしれない。
今日のこれは、きっとあの日謝らなかった僕へ神様からの天罰だろう。
そんな複雑な気持ちを抱えながら僕は窓からクジャクヤママユやこれまで収集した数々の蝶を捨てた。
風に攫われるクジャクヤママユ達はなんだかとても綺麗に見えた。
僕はそれをただただ見つめた。
これで少年への罪悪感を紛らわせると信じながら…。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!