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#デジタルイラスト
る あ 。 @低浮
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る あ 。 @低浮
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#クロスオーバー
紫蘭
5,220
スタートーー!
ズガァァン!
爆発音が地下室全体を揺らした。
天井から石片が降り注ぎ、部屋は一瞬で白い砂ぼこりに包まれる。
「美月さん!」
蒼真が美月の腕をつかみ、身をかがめる。
石壁には大きな亀裂が走り、部屋全体がきしみ始めていた。
「このままじゃ崩れる!」
その声に応えるように、怪盗ファントムは白いマントを翻し、地下室の奥へ駆ける。
「こちらです!」
⸻
秘密の脱出路
ファントムが壁の星形の彫刻へ手を触れると、小さな音とともに隠し扉が開いた。
「こんな場所が……。」
美月は驚きながら、その暗い通路へ足を踏み入れる。
壁には古いランプが並び、青白い炎が静かに揺れていた。
「神崎先生が造った避難路です。」
ファントムは走りながら言う。
「昔、この天文台には子どもたちも大勢来ていました。」
「万が一に備えて作られた道なんです。」
蒼真は感心したようにうなずく。
「まるで迷路だ。」
「だからこそ追手をまけます。」
しかし、その時。
背後から銃声が響いた。
パン! パン!
「止まれ!」
黒崎の部下たちが通路へ踏み込んできた。
⸻
崩れゆく迷宮
通路は次第に狭くなっていく。
天井から砂が落ち、小石が転がる。
「急いで!」
ファントムはワイヤーガンを撃ち、崩れた足場を飛び越える。
美月も勇気を振り絞り、そのあとに続いた。
「大丈夫?」
「うん!」
その時、蒼真が立ち止まる。
「待って。」
「どうしたの?」
彼は壁を見つめていた。
そこには、神崎蒼介の手書きと思われる矢印と一文が刻まれている。
『星を信じる者は、北を目指せ。』
「北……。」
蒼真はコンパスを取り出した。
「こっちだ!」
三人は左の通路へ進む。
その直後、右側の通路が大きな音を立てて崩れ落ちた。
「危なかった……。」
⸻
月光の展望台
長い通路を抜けると、視界が一気に開けた。
そこは天文台の裏山にある小さな展望台だった。
眼下には街の灯り。
頭上には満月。
そして、無数の星。
美月は思わず立ち止まる。
「きれい……。」
ファントムも空を見上げる。
「神崎先生が、一番好きだった場所です。」
風が吹き、白いマントが夜空に揺れた。
「先生はいつも言っていました。」
『星は遠く離れていても、同じ空を見上げる人たちをつないでくれる。』
美月は静かにカメラを構える。
カシャッ。
満月の下で初めて、ファントムの後ろ姿を写真に収めた。
⸻
本当の「星の記憶」
ファントムは懐から小さな銀色のケースを取り出した。
中には、一枚の古いフィルム。
「これが、本当の『星の記憶』です。」
「え?」
「神崎先生が最後に撮影した写真。」
「そして、誰にも公開されなかった一枚。」
美月は息をのむ。
「どうして隠したの?」
ファントムは少しだけ寂しそうに笑った。
「写真には、先生と倉橋先生だけではなく……。」
「ある少女が写っていたんです。」
「少女?」
「その子は病気で、写真が公開される前に亡くなりました。」
「ご家族の希望で、その写真はずっと秘密になった。」
「先生は言いました。」
『思い出は、大切な人の心の中にあればいい。』
「だから、このフィルムだけは守り続けてきたんです。」
⸻
黒崎の執念
その頃。
崩れた地下室では、黒崎が静かに立ち上がっていた。
部下が報告する。
「逃げられました。」
黒崎は怒るどころか、不敵に笑う。
「予定どおりだ。」
机の上には、地下室で密かに回収された古い地図。
「彼らは最後の場所へ向かう。」
「我々も行くぞ。」
「星見山山頂。」
その言葉に部下たちは顔を見合わせる。
「まさか……。」
「そう。」
黒崎は月を見上げる。
「本当の秘密は、まだ眠っている。」
⸻
追跡
展望台を後にした三人は、山道を歩き始める。
しかし静かな夜を切り裂くように、遠くからヘリコプターの音が響いた。
バババババ……!
サーチライトが山肌を照らす。
「見つかった!」
蒼真が叫ぶ。
黒崎の部下たちが四方から迫ってくる。
ファントムは冷静に地図を広げた。
「この先に吊り橋があります。」
「渡れば山頂はすぐです。」
「でも追いつかれる。」
蒼真が険しい表情を見せる。
その時、美月が静かに言った。
「私が時間を稼ぐ。」
「だめだ!」
二人が同時に声を上げる。
美月は首を横に振る。
「『漆黒のメモリー』の時、私は守られてばかりだった。」
「でも今は違う。」
「私も、大切なものを守りたい。」
その瞳には、迷いはなかった。
ファントムは少し驚いたように美月を見つめる。
そして、穏やかに微笑んだ。
「……強くなりましたね。」
⸻
ラストシーン
三人は山頂へ向かって走り出す。
背後ではヘリコプターのサーチライトが迫り、黒崎の部下たちの足音が近づいてくる。
満月は雲一つない夜空で静かに輝いていた。
そして山頂には、誰も知らない最後の秘密が待っている。
「もうすぐです。」
ファントムが前を見据えて言う。
「先生との約束を果たす時が。」
美月はカメラを胸に抱き、夜空を見上げた。
そのシャッターが、本当に大切な一枚を切る瞬間が、すぐそこまで迫っていた。
⸻
――第六章 終――
次回・第七章「星空の約束」
星見山山頂にたどり着いた美月たち。しかしそこで待っていたのは、神崎蒼介が残した最後のメッセージと、黒崎レオン率いる一味との対決だった。満月の光が照らす中、「星の記憶」の本当の意味が明らかになり、物語はいよいよクライマックスへ向かって加速していく。
コメント
3件
読了しました、第六章「月光の追跡」。 美月さんが「私も大切なものを守りたい」と自ら立ち上がる場面、じんと来ました。ファントムの「強くなりましたね」という穏やかな微笑みが、すごく優しくて印象的です。それに、『星の記憶』に写っていた少女のエピソードは……切なくて、だからこそこのフィルムを守り続けてきた想いが伝わってきました。満月の下でファントムの背中を撮る美月さんのカメラの音、素敵でした。次回、山頂の秘密がどう明かされるのか、楽しみにしています🌷