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ある日、私は行く宛てもないまま夜道を歩いていた。どこに行くわけでもなく、ただ足が向くままに。
街の灯りが少しずつ遠ざかっていき、気づけば人の気配のない場所に来ていた。
ふと前を見ると、小さな橋があった。
私は何も考えないまま、その橋の欄干に近づいた。
そして、ゆっくりと身を乗り出す。
その時だった……
『危ないで』
後ろから、一人の男性の声がした。
私は驚いて振り返る。
そこに立っていたのは、背の高い男の人だった。
顔立ちは整っていて、雰囲気も明るくて、いかにも“陽キャ”という感じの人。
こんな場所には似合わないような人だった。
『そんな所で何してたん?』
そう言って、私をじっと見てくる。
……しつこい人だな。
正直、そう思った。
「……言ったところで、あんたに関係あんの?」
私は、わざと冷たく言い返した。
普通なら、ここで引き下がるはずだ。
でも……
その人は、少し考えるような顔をしてから言った。
『死にたいならさ』
そして、まっすぐ私を見て言った。
『俺と一年だけでもええから生きてみぃひん?』
……は?
思わず、そんな声が出そうになった。
この人、何を言ってるんだろう。
見知らぬ私に、そんなことを言ってくるなんて。
正直、変な人だと思った。
でも……
なぜだろう。
私は、その人から目を逸らすことができなかった。
名前も知らない。
どこの誰かもわからない。
それなのに。
なぜか、私は……
この見知らぬ男性のことが、少しだけ気になっていた。
その時はまだ、知らなかった。
この出会いが、私の人生を大きく変えることになるなんて。