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確かに…
ーキーンコーンカーンコーンー
いつもと何も変わらないチャイムの音を合図に僕は本を閉じた。クラスメイトのやつらもその音に気づいた途端に自席へと戻っていった。
「起立!気をつけ!礼!」
その声に合わせてそれぞれの動きをこなし席についた。僕は先生が何か話す前にもう教科書を手に取り中身を開いた。
「ねぇ」という声が隣から聞こえてきたため、僕はその声の主に視線を送る。
「なんで君は本ばっかり読んでるの?ねぇ、なんで?」
彼女は朝谷零だったか。隣の席であったが、人との関わりを持つことは少ないため名前も朧げであった。
「え?どうしたの?急に」
「いいから、どうして?」
「本が好きだからだよ‥‥」
「えぇ!?本が!?」
半ば強引に尋ねられた為、至極真っ当と思われる返答をしたのだが、彼女にとっては普通ではなかったのだろうか。授業中とは思えない声量を発した彼女には視線が集まり、あからさまに悪目立ちをしていた。
「おい、朝谷うるさいぞ。私語は慎め」
「あ、はいすみません」
勿論先生に注意された。
「ちょっと」
「……」
「ちょっと!」
「何さ?」
「『何さ?』じゃないでしょ!私は君のせいで怒られたんだからね!わかってるの!?」
「え?」
「え?」
唖然とした。彼女が勝手にあんな声量で喋りだしたのに事の一端は僕にあるようだ。
「なんで僕なの?」
「そりゃぁ君がふざけたことを言うから!」
「ふざけたこと…?もしかして、本が好きってことかい?」
「そうに決まってるでしょ!本が好きなんてどうかしてる!」
「えぇ……」
どうやら僕はどうかしているらしい。