テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ちょっと···あの神社って本当に凄いかもね」
元貴がそういうのも無理はない、俺たちは3年になっても同じクラスで授業を受けているんだから。これはまさに運命じゃない?ってふざけて言ったら元貴は照れもせずに運命だよっていうから、俺のほうが照れた。
お昼を一緒に食べて、たまに放課後デートして週末はお泊りして···そんな毎日が幸せだった。
週末なので元貴の家にお泊りしている俺はベッドの中で元貴を後ろから抱きしめる。付き合い初めてからは一緒のベッドで寝ることが多くなった···元貴は俺の腕の中が安心するって、言ってくれるから。
「明日、ちょっと遠くに行きたい」
「珍しいね、そんなこというの。どこ行きたい?」
「···水族館デート」
「行きたい、行こ、うわ楽しみ」
「俺も楽しみ···早く寝なきゃ···ねぇ、おやすみのキスして···」
顔だけこちらに向けた元貴に軽くキスしてもう一度抱きしめる。
···可愛すぎて、眠れないかも。
ドキドキを抑えながら俺も必死にねむりについた。
「ペンギン可愛い!イルカショーもしてるって!」
翌日は快晴でまさにデート日和だった。元貴は大はしゃぎでずっと魚たちに夢中だった。
「デート凄く楽しかったね···でも、どうして今日、いきなり水族館だったの?」
またお揃いが増えるねって一緒に選んだキーホルダーを鞄につけながら座って大きな水槽を眺める。
「してないことをしようと思ったの」
「うん」
「初めての水族館デートがしたかった。去年のクリスマスから初めての事をたくさん経験して俺、幸せで···付き合って初めてのクリスマス、年越し、初詣にお花見···。映画も行ったよね。まだまだしたいことあるんだ、プラネタリウムも行きたいし、プール、夏祭り、花火に秋は紅葉見に行くの」
「最高の1年だ」
「うん···俺の初めてを全部若井で埋めたいんだ。全部、何もかも···初めては若井とがいい」
水槽の青い色と光がゆらゆらと輝いて元貴を彩る。そんな姿は 魚たちよりもキラキラと輝いて俺には見えた。
それと同時に元貴が言う『初めて』の意味と重みが俺に届いた気がした。
「俺の初めても全部元貴がいい。初めての恋人、初めてのキスも···こんなに好きになったのも···だからね、全部俺にちょうだい」
俺の気持ち、も伝わったかな。
元貴の幸せそうな笑顔も輝いて見える。
そっと元貴の手に自分のを重ねた。
そして俺はある計画を立てる。
元貴の最高の想い出を作れるように。
夏休み、進路を決めて勉強に忙しくなった俺たちだったけど一緒に勉強したて、塾にも通った。
それでももちろん、恋人としての時間も忘れないようにそして合間を縫うようにアルバイトにも励んだ。
「···宿題はだいたい終わったよね、あとはひたすら受験勉強か」
「若井はバイトもしてたのに俺とほとんど変わらないくらいのタイミング出終わらせたよね···これからもバイト忙しい?」
あまりに俺が忙しくしていたのが気になったのか、心配そうに見つめてくる。
ペンを置いてちゃんと元貴に向き合うと、元貴もなにか感じてちゃんと、俺を見つめてくる。
「バイトはもうおしまいにした、目標達成したから」
「目標···?」
「元貴、今週末の土日俺にちょうだい」
「···うん?もちろんいいけど、何かするの?」
「2人きりで、お泊りしよう。海の近くのコテージで···初めて本当の意味での2人きりの時間を過ごそう」
ここなんだけど、と見せたパンフレット。この日の為に俺はアルバイトをしていたから、ようやく元貴を誘えて嬉しくて仕方ない。
「えっ···?本当に?ここに泊まれるの?2人で?」
「実はここ、親戚の人が働いてて···親に頼み込んで、予約してもらった。もちろんバイト代で払ったし、その···コテージだから、色々人の目とか気にしなくていいかなって」
元貴が俺に力強く抱きついてきて思わず倒れそうになりながら受け止める。
「···嬉しい、ありがとう。俺の為に」
「最高の夏の思い出にしよう 」
元貴が喜んでくれて良かった。
夕焼けに染まる部屋で長い時間、俺たちは静かに抱きしめあっていた。
コメント
3件
癒やされるコンビだなぁ。好き🩷
なんですかこのカワイイ2人は…🫠 若井よく頑張った!お泊まりも頑張って🫣❤️