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夜・ホテル







ハルト、ジョンウ、ジョンファンと同室の〇〇は、




シャワーを終えてベッドに座り、




ふぅと一息つく。




ベッドのサイドテーブルには、




折りたたんだ衣装リスト、スケジュール




そしてスマホ。




軽い気持ちで、スマホを開く。




そこに、見慣れた配信通知があった。





TREASURE

🔴ASAHI🌟がLIVEを開始しました。





〇〇  ( …えっ、ウィバースしてるんや…)




イヤホンをつけて、




音を出さないように静かに配信を開くと、




画面には淡々と喋る朝光の姿が映っていた。




テンションは高くないけど、




ファンにまっすぐ目を向けている、




あの落ち着いた声





💎   「ところでさ、最近一緒にいる若い女の子、誰?」




朝光は少し目線を落とし、




笑うような、照れるような表情になった。




朝光  「あー、それ、気になってる人多かったんやろな。 まぁ…言うてもええか」




〇〇   「……!」




朝光  「何人かはもう気づいてるかもしれへんけどな。ちょっと前から、女の子のマネージャーが1人増えてん。」




朝光  「…実はな、その子、俺の妹やねん。」




コメント欄がざわざわし始めた





💎  「え!?妹?!」




💎  「え、マネージャーってあの子?」




💎  「びっくりしたけど可愛いと思ってた」




💎  「でも嫌かも、プライベート知ってるなんて…」




💎  「若いのに頑張ってるよね」




💎  「〇〇ちゃんって名前の子?ダンサーだったって子?」




💎  「お兄ちゃん優しい…」





スマホを握る手が少し震える〇〇。




コメントを読むたびに胸が締めつけられる




朝光  「まだ高校生やからな、学業と両立してるんやけど…ほんま、毎日めっちゃ頑張ってるねん。」




朝光   「俺、兄としては心配もあるけど…自分の意思でやるって決めたから。応援してくれたら嬉しいな。」





その言葉を聞いた瞬間、




〇〇の目に涙が溢れ始める




声も、出なかった。




知られたくなかった訳じゃない。




でも、自分の存在が




“ 誰かに迷惑になるかもしれない ”




って、どこかで怯えてた。




「妹」と言われることすら、




どこかで許されない気がしていた。




だけど今、




兄の口からまっすぐに「妹」と言われたことで、




すべての否定が、




肯定に変わったような気がした。




〇〇   「…ありがとう、 さひにぃ…」




そのとき、ふいにハルトが振り向く。




ハルト「…お前、泣いてんの?」




〇〇  「えっ、いえ、ち、違います…!」




ハルト(ぼそっと)「嘘下手やな」




泣いたのをごまかせるはずもなく




ハルト「朝光のライブ、見てたん?」




〇〇は小さく頷いた。




ハルト  「そっか…あいつ、すっげぇちゃんと話してたな。言葉数少ないくせに、大事なことはちゃんと伝えるんやな。」




〇〇の隣に座って、そっと肩をポンポンと叩く




ハルト  「大丈夫。お前がどんな気持ちで毎日頑張ってるか、ちゃんと伝わってるから。少なくとも俺には、全部見えてるで。」




〇〇  「…ありがとうございますハルトさん…」




ハルト  「今は泣いてええからな。あしたからまた、〇〇らしく笑ってればええ。」




〇〇が少しだけ微笑む。




その頬にはまだ涙がつたっている。










翌朝


移動前のホテルロビー




朝光はいつも通り、




落ち着いた様子で車を待っていた。




そこに、〇〇が小さく駆け寄る。




〇〇「…おはようございます」




朝光「ん、おはよう」




一拍あけて、〇〇が少しだけ真剣な表情になる。




〇〇  「昨日、ウィバース見ました」




朝光  「…見てもうたか」




〇〇   「ありがとう。…うれしかった」




朝光は何も言わずに、




軽く〇〇の頭をぽんっと叩いた。




朝光  「ほんなら、今日も1日がんばろか。

俺らスタッフに支えてもろてんねんからな、ちゃんと働いてや」




〇〇  「はいっ!」














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