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ライブ本番・夜
ステージの照明が落ち、
会場を埋め尽くした
何千というライトスティックが一斉に輝く。
「TREASUREーーーー!!」
その叫びは地響きのように〇〇の耳に届いていた。
舞台袖、黒いスタッフTシャツを着た〇〇は、
インカムを耳に入れ、
最終ブロックのセットリストを手に、
必死に緊張を飲み込んでいた。
〇〇 ( 大丈夫。段取り通り。次はBeautiful…そのあと最後のMC、アンコール…!)
ステージの中で踊るメンバーたちの姿は、
リハーサルのときとはまるで別人のように、
照明の中で“アーティスト”そのものだった。
その姿に、ただ、見惚れていた。
〇〇( …すごい。こんなに、こんなにかっこよかったんや)
スタッフとして、マネージャーとして、
今まで何度も近くで見ていた
メンバーたちのパフォーマンス。
でも、“観客の視線の先”から見るのは、
これが初めてだった。
MC
ヒョンソク 「今日はありがとう!」
ジフン 「実はこのステージの裏では、たくさんのスタッフが支えてくれてて」
ヨシ「そして…俺らの大事なマネージャーたちも!」
アンコール終了後・舞台袖
最後の曲が終わり、
メンバーたちがステージから戻ってくる。
汗で髪の毛が濡れたままのジョンウ、
息を切らしながら水を飲むドヨン、
興奮気味に「やった!」と叫ぶジュンギュ。
その中で、朝光が〇〇の前で立ち止まり、
にこっと笑う。
朝光 「お疲れさん。泣いてへん?」
〇〇 「…泣いてへん、です」
朝光 「いや、泣いてる顔やで、それ」
〇〇 「…だって、すごかったから…。会場の全部が、キラキラしてて…、 TREASUREが、ほんまに、すごくて…」
こぼれる涙は止まらなかった。
〇〇 「私、舞台には立ってへんけど、あんなにたくさんの人がTREASUREを見て、 応援してくれてて…なんか、うれしくて」
その言葉に、朝光は静かに頷いて言った。
朝光 「それ、お前が頑張ってるのも含めて、届いてるってことやと思うで」
〇〇 「…え?」
朝光 「〇〇が全部準備して、動線確認して、メンバーに水配って、 バタバタしながら支えてくれてたんや。 ファンには見えへんけど、TREASUREには、ちゃんと見えてる」
〇〇は、小さく息をのんで、
また涙があふれそうになった。
その とき、背中を軽く叩く手。
ハルト 「おーい、泣きすぎたら顔むくむで」
ジフン 「明日また早いんだから、切り替えて!な!」
ドヨン 「でも〇〇、いい顔してるよ。すっきりした顔」
ジェヒョク 「てか、マネージャーで泣くのかわいすぎん?アイドルみたいㅎ」
ジョンウ 「それなㅎ」
〇〇は、涙ぐみながら笑った。
〇〇 「…私、やっぱりこの仕事、好きです」