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深夜の出来事

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深夜の出来事

1 - 第1話

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2025年08月16日

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午前2時17分。 寝室の携帯がけたたましく震え、俺――城戸遼介は渋々目を開けた。

 画面には「署長」の文字。嫌な予感しかしない。


「……城戸です」

『城戸、すぐ来い。第三区の倉庫街で殺人だ』

「こんな時間に? 所轄の事件じゃ――」

『被害者は……警察官だ』


 その言葉で、一気に眠気が吹き飛んだ。


 現場は港近くの錆びた倉庫だった。パトカーの回転灯が赤く地面を舐め、雨粒が光を反射して揺れている。

 白いシートの下、見慣れた制服の袖口が覗いていた。


「被害者、巡査部長・佐藤誠、三十六歳。今夜は非番だったはずです」

 鑑識係が低い声で報告する。

 俺はしゃがみ込み、シートをめくった。

 佐藤の顔は蒼白で、左胸には拳銃で撃たれた痕。至近距離、しかも――警察官が使う9ミリ弾。


 背筋が冷たくなる。

 警察官が、警察官に殺された可能性が高い。


 ふと、倉庫の奥の闇から何かがきらめいた。

 近づくと、それは小さなUSBメモリだった。

 拾い上げた瞬間、背後で声がした。


「……城戸さん、それは署に持ち帰らないほうがいい」


 振り返ると、そこには見慣れない刑事が立っていた。所属も名乗らず、ただ鋭く笑っていた。

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